初心者にお勧めしたい投資本3冊も紹介

漫画『インベスターZ』三田紀房流、投資初心者の心得

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「僕の実家は商売をしていたので、商品を売って稼ぐことが当たり前でした。儲けることに対して悪い印象を抱いたことがないので、日本の文化が不思議なんです」(三田先生) 撮影=花村謙太朗(URBAN NIGHT PICTURE Inc.)

「僕の実家は商売をしていたので、商品を売って稼ぐことが当たり前でした。儲けることに対して悪い印象を抱いたことがないので、日本の文化が不思議なんです」(三田先生) 撮影=花村謙太朗(URBAN NIGHT PICTURE Inc.)

投資を始めようにも、知識がない状態では不安は大きい。勉強しようと本屋へ足を向けても、関連書は多く、何を選べばいいやら…。そんな時、目についたのが、漫画『インベスターZ』だった。“初心者の中学生が巨額を運用する”という型破りなストーリーで、投資テクや哲学が詰まっている本書を描く漫画家・三田紀房先生。きっと先生なら、初心者の心得を教えてくれるに違いない。投資の心構えを語ってもらった。

■「投資に準備はいらない。まずは買う」

「投資を始めるのに準備はいりません。勉強しているうちに熱量が下がり、購入に至らないケースはよくありますし、どのくらい勉強すれば準備万端といえるかという基準もわかりませんよね。まずは深く考えずに買ってみましょう。株でも投資信託でも国債でも構いません」(三田先生・以下同)

始める前から知識を増やすと「儲けるために工夫しよう」という下心が働き、うまくいかないことも多いという。「ピュアな状態で、興味のある分野の商品を買うのが一番」とのこと。好きな事柄なら情報を仕入れやすく、値下がりしても復活を信じることができて、長く付き合えるからだ。

右下:主人公・財前孝史、左:投資部の先輩・神代圭介。『インベスターZ』でも、主人公はこう告げられている 画像/『インベスターZ』1巻より (C)三田紀房/コルク

右下:主人公・財前孝史、左:投資部の先輩・神代圭介。『インベスターZ』でも、主人公はこう告げられている 画像/『インベスターZ』1巻より (C)三田紀房/コルク

ただし、1つだけ購入する際に意識するべきポイントがある。それは“タイミング”だ。

「投資の鉄則は“安く買って高く売る”。値が下がっている時に買う方が利益を生みやすいので、相場が好調な時は逆に手を出さない方がいいんです。失敗したくないという心理から、初心者ほど好調なものに飛びつきやすいですが、それはリスクになります。2017年1月現在、日経平均株価は2万円近くまで上がっていて、日本株の購入は僕なら勧めません。値が下がるまで待ちましょう。今ならローリスクな国債がいいかもしれませんね」

「知識を増やすのは、株や国債を保持して、値動きを見てからで十分」と話してくれたが、その際には『会社四季報』を読むといいという。

同書には四季報マニアの松井というキャラクターも登場。『会社四季報』は上場企業の上位個人株主名や今後の事業予測など、ページは細かい字でびっしり 画像/『インベスターZ』12巻より (C)三田紀房/コルク

同書には四季報マニアの松井というキャラクターも登場。『会社四季報』は上場企業の上位個人株主名や今後の事業予測など、ページは細かい字でびっしり 画像/『インベスターZ』12巻より (C)三田紀房/コルク

『インベスターZ』でも『会社四季報』は紹介されているが、オススメする理由とは?

「国内の全上場企業の情報を1冊にまとめた書物は、世界的に見ても『会社四季報』くらい。貴重な情報源なんです。企業の歴史から現在の業績まで、あらゆる情報が詰まっているので、暇な時に読む習慣をつけると自然と経済知識が増えていくと思いますよ。投資をする人の中には『四季報』オタクみたいな人もいます。僕も暇な時にパラパラと眺めています」

■「お金を儲けるならどんな手法でも一緒」

“結果を出すこと”に対する哲学を語る三田先生 撮影=花村謙太朗(URBAN NIGHT PICTURE Inc.)

“結果を出すこと”に対する哲学を語る三田先生 撮影=花村謙太朗(URBAN NIGHT PICTURE Inc.)

三田先生の作品には、投資においても受験勉強においても結果を出すためのテクニックがちりばめられている。これは手法を伝えるだけでなく、日本人が持つ「テクニックを用いて成果を得ることに罪悪感を抱く文化」に一石を投じる働きもあるという。

「試験の点数だけで評価するならテストに出る範囲だけ覚えればいいはず。しかし、教科書の1ページ目から順を追って勉強するプロセスが重んじられがちです。矛盾していますよね。お金に関しても同じ。汗水を垂らさずに儲けることを不純だと見なす文化がありますが、決して責められることではないはず。結局、お金を稼ぐのですから。僕はどの作品でも“努力より結果”を強調していて、『ストレートに結果を取りに行くべき』という考え方を表しています。また、多くの人が密かに抱いている『テクニックを使って何が悪い』という本音も意識していますね」

さらに、「結果を出すには自分を信じることも大切だ」と話す。“正道”“邪道”という判断は主観でしかない。自分の感覚を信じて意味があると思うことを実践するべきなのだ。

「人の意見に左右されると、投資は失敗すると思います。値が下がっている株を買うなど、投資は常に人と逆にいかなければいけない。人に薦められた株を買っても大体うまくいきません。一介の大学の先生でありながら投資で巨万の富を築いた本多静六も、意志がブレない人だったようです。何があっても給料の4分の1を貯蓄し、投資は鉄道と山林にしかしないと決めて、貫き通したことで大儲けした。投資は、自分で自分を信じられる人が成功するんですね。借金さえしなければ、損をしても死ぬわけではないので、投資を考えているなら始めてみましょう。お金を扱うと肝が据わって、女性にもモテますよ(笑)」

思い立ったが吉日。タイミングにだけ気をつけて、まずは買ってみること。運用経験を積みながら、資産を増やす術を学んでいくとしよう!

(有竹亮介/verb)

(関連書籍1)
インベスターZ
『週刊モーニング』で連載中の投資漫画。創立130年の進学校・道塾学園にトップ合格し、晴れて進学した主人公・財前孝史が「投資部」に入部するところから物語は始まる。部員が生み出した利益で学校経営が行われるため、決して失敗できない中、投資や日本経済の歴史を通じて、財前が成長していく姿が描かれる。
インベスターZ 1巻 フルカラー版

(関連書籍2)
会社四季報
2016年に創刊80周年を迎えた企業情報誌。四半期ごとに刊行されており、約3600社にも及ぶ上場企業のすべてを網羅。各企業の企業概要や歴史、実績などのデータが掲載されている。また、業界担当記者が個別取材や分析を行い、今後の業績や配当金額を予想する記事が誌面で展開されているところが大きな特徴だ。

(関連書籍3)
私の財産告白
「人生即努力、努力即幸福」をモットーに生きた本多静六の名著。“月給4分の1天引き貯金”を元手に、鉄道と山林への投資を繰り返し、巨万の富を築いた本多は、定年とともに全財産を寄付したという。本書には「『天才マイナス努力』には、『凡才プラス努力』のほうが必ず勝てる」など、彼の名言が数多く収録されている。

<プロフィール>
三田紀房
profile
漫画家。代表作『ドラゴン桜』で第29回講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。現在は『週刊モーニング』で『インベスターZ』、『ヤングマガジン』で『アルキメデスの大戦』を連載中。
三田紀房公式サイト
漫画家 /三田紀房 (@mita_norifusa) | Twitter
『インベスターZ』1巻フルカラーまるごと試し読み

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