フィンテックの最前線を追う!

スマホ決済の裏にあるこだわりは「はやい・やすい・かんたん」

「コイニー」が目指すのは“良いお店が街に増える”こと

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2012年に創業したCoineyは、フィンテックによってこれまでにない手軽な決済をもたらした。

2012年に創業したCoineyは、フィンテックによってこれまでにない手軽な決済をもたらした。

金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)の融合を意味する「フィンテック」。未来を担う市場として急激に拡大を続けており、フィンテックの普及に対応した法改正も行われるなど、私たちの生活に関わってくることは必至だ。

とはいえ、まだフィンテックの実態がよくわからない、あるいはセキュリティ面で少し怖い…なんて人もいるはず。そこで、業界内でもパイオニアと言える企業を直撃し、フィンテックの本当のトコロを明らかにした。

■スマホと専用端末だけでカード決済OKに

今回伺ったのは、クレジットカードの決済サービスを中心に展開するコイニー。同社は、スマホでのカード決済を可能にする機能を2013年4月より提供してきた。当初は、円型の専用端末をスマホのイヤホンジャックに差し込み、そこへカードを通すと決済が行える仕組みだった。

その後、カードブランドのセキュリティのレギュレーション変更などがあり、現在は円型ではなくICカードに対応した四角い端末となった。「Coineyターミナル」という名称で、端末とスマホやタブレットをBluetoothでつなぎ、ターミナルにカードを差し込んで決済を行う。タブレットPOSレジや会計ソフトとの連携も可能だ。

円型の端末によるカード決済で有名になったCoiney。その後、よりセキュリティの高いICカード対応として四角い端末に生まれ変わった。

円型の端末によるカード決済で有名になったCoiney。その後、よりセキュリティの高いICカード対応として四角い端末に生まれ変わった。

このサービスにより、フィンテックの代表企業として取り上げられることも多いコイニー。では、どの部分が“フィンテックの象徴”と言えるのか。同社取締役の井尾慎之介氏に聞いた!

「店舗などでクレジットカードを決済する方法は、もちろんそれまでもありました。ただ、スマホで行えるようになったのが当時大きかったと思います。また、これまでは有線だったため、決済の際はレジ付近に来なければなりませんでしたが、無線化したことで持ち運び可能になり、決済をする際の利便性と自由度が格段に上がりました」

時代が変わる中で「現金やクレジットカード、電子マネー、コンビニ決済など、決済の手段はいろいろ混在し、人によって選ぶものが違います」と井尾氏。となると、店舗はできるだけ多くの決済に対応するインフラを用意したい。Coineyターミナルは、なるべく手軽に店舗が導入できるよう、手数料を3%台に抑え、利用開始まで最短3日。この点にもこだわっているようだ。

井尾慎之介氏は、かつてワインバーの経営をしていたという。そんな経営者目線も、Coineyのサービスに生かされているのかもしれない。

井尾慎之介氏は、かつてワインバーの経営をしていたという。そんな経営者目線も、Coineyのサービスに生かされているのかもしれない。

■病院でも導入が進む「Coiney」。その理由は

さらに同社では、オンラインでクレジットカード決済を行えるサービス「Coineyペイジ」を昨年リリースした。店舗側が決済用のウェブページを作成し、そのURLを相手に送ると、相手はそのページを開いてカード番号などを入力する。それだけで決済が完了する仕組みだ。

ただ、こういったサービスについて「セキュリティが心配」というイメージを持つ人もいるだろう。井尾氏にその質問をぶつけると、こんな答えが返ってきた。

「Coineyは、クレジットカードの主要5ブランドが定める国際的なセキュリティ基準『PCI DSS』に準拠しています。また、カード番号の非保持化も実現。カードを読んだ瞬間に全て暗号化され、端末、アプリやサーバーなどに一切保持されません。つまり、ハッキングしてカード番号を入手しようとしても、どこにも保存されていないのです。さらに、Coineyを採用するお店側の審査もしており、決済内容もリアルタイムでモニタリング。もし不審な決済があればすぐに確認します」

たとえばカフェが営業時間外に高額な決済をしたり、同じ店舗が短時間にまったく違う地点で決済をしたりした場合は、ログデータやGPS機能によって即時チェックできるよう運用システムをルール化しているという。これもITだからこそできるセキュリティだろう。

Coineyを使うのは飲食店や小売店、美容院等の店舗がメインだが、医療機関でも導入が進んでいるという。緊急時の受診はお金を用意しにくく、会計額も事前にわかりにくいので、クレジット決済の利用ニーズが高い。また、場所を問わず決済できるので、患者は動かなくても良い。これらが理由にあるようだ。

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「今はクレジットカード関連のサービスが中心ですが、今後はユーザーの動向に合わせていろいろな決済のサービスを提供していきたいですね。また、Coineyの仕組みは他の企業の開発者の方も利用できるので、この機能を使って、もっと面白いサービスが生まれるのもウエルカムなんです。たとえば、CoineyペイジはAPI(ソフトをWEB上に公開し、機能を共有できるようにする)化によってさまざまなECサイトに組み込み可能となっています」

井尾氏は「僕らはいわば、はやい・やすい・かんたんの三拍子揃ったビジネスOS」だと言う。それを導入することで「みなさんの事業を支援する」のがコンセプトだ。実際、Coineyで集まった決済データを事業者の融資に活用するサービスも開始予定。この広がりの根幹には“事業支援”の姿勢がある。

「こういったサービスにより、店舗の方が事務作業に追われず、手数料や導入の煩雑さに追われなくなって、なるべく本業に費やせる時間を増やしたいんです。結果、世の中に新しいお店や長続きする事業が増えればいいですね」

一般消費者は、今後お店や病院、ECサイトなどでお金を払う際に、Coineyのサービスと出合うことが増えるだろう。フィンテックが生んだ新たな決済は、安全の中で店舗や利用者の負担を減らし、利便性を上げている。そのイノベーションは、“良いお店が街に増える”ことへつながるのかもしれない。

(有井太郎)

※記事の内容は2017年5月23日現在の情報です