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MAB投信だより

長期資産形成への潮目を読み取る

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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Business Finance Marketing Recession Concept

サマリー

● 投信市場全体では、「バランス型」「年一回決算型」ファンドへ資金流入の動きが見られる。これらは分散効果や複利効果の点で長期投資に向くとされている。

● この動きは「貯蓄から資産形成へ」政府の長年にわたる働きかけが資金フローの変化となって顕在化したものとも見て取れる。

● ただし、資金の純流入が継続しているバランス型ファンドにはリスクを抑えるタイプが目立ち、毎月分配型への偏重が見られる。長期の資産形成を目指しファンドを選ぶ際には、その商品性を理解したうえで決定することが望ましい。

市場トレンドの変化

過去5年間の投信市場における資金流出入を見ると、2015年頃を境にバランス型ファンドが市場平均をやや上回る資金を集めていることがわかる(図表1)。また、決算回数別においてもこれまで主流であった毎月決算型を年一回決算型が上回る傾向が見られる(図表2)。

図表1 資産別資金流出入

図表2 決算回数別資金流出入

※ ETF、DC専用、ラップ専用、公社債投信等を除いた公募投信。総額を本数で除し平均値化したもの。(2017年8月末時点)

※ ETF、DC専用、ラップ専用、公社債投信等を除いた公募投信。総額を本数で除し平均値化したもの。(2017年8月末時点)

これらは資産のリスク分散効果や再投資機能による複利効果といった点で、長期投資に適しているといえる。こうした変化が生じている背景について確認していきたい。

金融庁は「国民の安定的な資産形成を実現する資金の流れへの転換」を方針として掲げ、 「NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」などの投資非課税制度を整備し、運用機関のガバナンス強化や金融機関による顧客本位の運営(フィデューシャリー・デューティー)の確立等の施策を進めてきた。

こうした動きを受け、税制上のメリットや複利効果を狙った若年層による投資が徐々に浸透し、銀行や証券会社は高配当を謳う単一資産型のファンドから、資産形成に適した年一回決算型ファンドやバランス型ファンドに販売の軸足を移し始めたものと考えられる。

長期間資金の純流入が継続しているファンドの特徴

長期の資産形成として選好されているファンドをみるため、積立投資の影響が大きいと思われる、設定来3年以上にわたり資金の純流入が継続しているファンドを抽出してみると、公販ファンドのうち16ファンドが存在した(図表3)。これらの内訳をみると、複合資産に投資するバランス型や低コストのインデックスファンドが中心となっている。

一方、3年前の8月末時点において同様にファンドを抽出すると(図表4)、最長で2年以上継続して純流入となっているファンドが6ファンド存在し、そのうち4ファンドは単一資産へ投資する毎月分配型であった。

図表3 資金純流入継続ファンド(2017年8月末時点)

図表4 資金純流入継続ファンド(2014年8月末時点)

※ ETF、DC専用、ラップ専用、公社債投信等を除いた公募投信。

※ ETF、DC専用、ラップ専用、公社債投信等を除いた公募投信。

以上の結果からも、政府の「貯蓄から資産形成へ」向けた制度推進の影響が、資金フローの変化となって顕在化し始めたと読み取ることができる。

ただし、図表3の上位に位置するバランス型ファンドには機動的に資産配分の変更を行いリスクを抑えるタイプが目立ち、また、毎月分配型が選好されていることには以下の点において注意が必要である。

機動的に資産配分を変更することでリスク資産の割合が引き下げられれば、通常得られたはずの投資効果が得られない可能性がある。また、毎月分配型は元本を取り崩して分配金が支払われる場合もあり、分配金には通常20%の税金がかかる。

長期の資産形成を目指しファンドを選ぶ際には、こうした商品性について確認したうえで決定することが望ましい。

(MABファンドアナリスト 福本)