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金貨、純金積立、投信、ETF…長期投資のおすすめは?

徹底比較!金投資方法のメリット・デメリット

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pixta_17572021_m古来より人を魅了し続けてきた金。実物自体に価値を持つ金は「有事の金」とも呼ばれ、株式や債券とは異なる値動きをする投資対象として重宝されてきた。

そこで金の特長や投資方法の紹介と、それぞれのメリット・デメリット、長期投資への向き・不向きをご紹介しよう。

金の特長

金属としての金の特長は、「酸化しにくく、密度が高く、加工しやすい」こと。そして何より、英語の「Gold」がサンスクリット語の「輝く」を語源としているように(※1)、先史時代から聖書・古代エジプトの時代を経て現代まで、その妖艶な美しさは人を魅了してやまない。

とはいえ、どんなに美しい金属であっても、どこからでも産出されるのであれば価値は高くならない。金の価値を考えるうえで最も重要な点は、その「希少性」だ。

人類が掘り出して精製した金の総量(地上在庫)は2016年末時点で約19万トン(※2)。この量は長さ50mのオリンピックプールの約1.5杯分、日本の鉄鋼業界が約15時間で生産する粗鋼の量と同じでしかない(※3)。一方で金の総量を価格に換算すると約7.7兆ドル(約850兆円)(※2)。いかに金が希少性の高い、価値のある金属かがわかるだろう。

こうした「美しさ」、「希少性」、「保存のしやすさ」、「加工のしやすさ」という特長から、金は歴史上、価値の保存と権力の象徴として「貨幣」として重用されてきた。紀元前687年には現在トルコに位置するリュディアで初めての金の貨幣(エレクトラム貨)が鋳造され、大いに流通していたという(※4)。

その後、19世紀に確立した金本位制において、金は各国政府または中央銀行が発行する兌換紙幣の価値の源泉として保有された。1978年に金本位制が廃止されたのちも、各国政府・中央銀行は準備資産として金の保有を続けており、その量は各国合計で約3.3万トン(※5)、金の総量の約18%になる(2017年8月時点)。

金価格の値動きの特徴

金はそれ自体に価値があり、その価値ゆえに世界のどこでも換金できる。「有事の金」と呼ばれるように、政治・経済の混乱やインフレに強い資産として投資家に好まれてきた。

金価格の変動要因としては、①需要と供給のバランス、②米ドルの価値、③各国の経済動向、④各国の金利の状況、⑤原油等の資源価格、⑥地政学リスク、⑦多量に保有する政府・年金基金等の参入、などが挙げられる。

一般的には、例えばインフレによって通貨の価値が下落する場合、または地政学リスクが高まって米ドルを回避するような動きがある場合などで、金価格は上昇することが多いといわれている。

なお、金は国際的に米ドル建てで取引されることから、日本の投資家が日本円で金に投資する場合、国際的な金価格の値動きだけでなく、米ドル/円の為替相場の影響も受ける(円安になると国内金価格が上がる、円高はその逆)。

金に投資する方法

世界における確認可能な金現物への投資(金地金、金貨、金ETF設定のための貯蔵)は、2016年は過去最高の1,580トン、金額に換算すると610億ドル(約6兆7千億円)。うち50%が金地金、33%が金ETF設定のための貯蔵、17%が金貨への投資となっている(※2)。

実は、金地金や金貨といった金現物への投資量は年々減少している。2013年と2016年を比較すると、金地金は1,444トン→787トン、金貨は429トン→271トンと半減している(※2)。後述する金ETFのような、便利で新しい投資手法が出てきたことがこの要因の1つと言われている。

それでは具体的に、個人投資家が金に投資できる方法を見てみよう。主なものとしては、①金貨・金地金、②純金積立、③投資信託、④金ETF、⑤金先物・CFDの5つある。それぞれの特徴やリスク、投資のコストを以下にまとめてみた。

金投資方法の特徴とリスク

投資方法 販売会社 金現物の保有 盗難リスク 業者の破綻リスク
金貨・金地金 宝飾店、地金商、金属メーカーなど 可能 あり 保管方法によってあり
純金積立 地金商、金属メーカー、証券会社、商品先物業者など 可能 なし 保管方法によってあり
投資信託 証券会社、銀行 不可 なし なし
金ETF 証券会社 一部可能 なし なし
金先物・CFD 証券会社、商品先物業者 不可 なし なし

(東証マネ部調べ)

金投資方法のコスト

投資方法 購入金額* 売買手数料 年間管理コスト**
金貨・金地金 5000円~500万円 ・スプレッド=中値×0.3%~1%
・売買手数料=1~20%(500g未満の場合)
0~3000円程度
純金積立 1000円~ ・スプレッド=中値×0.3%~1%
・売買手数料=購入価格×2.5~3.5%
0~3000円程度
投資信託 1000円~ 購入価額×0~2%程度 資産残高×0.50%~0.83%
金ETF 4000円~4万円 売買代金×0~0.1%程度 資産残高×0.25%~0.50%
金先物・CFD 7000円~10万円 ・先物=証拠金×0.5%~0.7%
・CFD=中値×0.02%~1%
なし

(東証マネ部調べ)

それではここから各投資方法について、その特徴と長期での資産形成の観点からのメリット・デメリットを見てみよう。

① 金貨・金地金

●メリット: 金の現物を手元で保有できる
●デメリット: 盗難リスクあり、保管コストが掛かる、手数料が高め(少量だと特に割高)、売却益が一定額を超えると確定申告が必要

・金貨
最も手軽に金を所有する方法は金貨の購入だろう。宝飾店やデパートなどで購入できる。有名なものでは、オーストラリア・パース造幣局発行の「カンガルー金貨」、オーストリア造幣局発行の「ウィーン金貨ハーモニー」、カナダ王室造幣局発行の「メイプルリーフ金貨」などがある。

購入は1/10トロイオンス(約2万円)、1/4トロイオンス(約4万円)、1/2トロイオンス(約8万円)、1トロイオンス(約16万円)が一般的(1トロイオンス=約31.1035g、2017年8月末日現在)。

金貨は美しいデザインのものが多く、持っているだけで金投資の実感を味わうことができる。一方、金地金に比べると売りまたは買いのスプレッドが広く(4~5%、金地金は0.3~1%程度)、さらに傷がついた場合には買い取り価格が下がってしまう。

・金地金
金地金は「インゴット」や「バー」ともいい、平らな板状の形をしている。一般的に「金の延べ棒」と呼ばれるものがこれにあたる。表面には通常、金塊番号、販売元の商標、重量、素材、品位(ほとんどが純度99.99%(フォアナイン)の純金)、精錬分析者マークなどが記載される。

金地金は地金商や金属メーカー、商社などで購入が可能だ。購入できる地金のサイズは販売業者によって異なるが、最低は1gからで5g、10g、20g、50g、100g、200g、300g、500g、1kgなどとなっている。

1gあたりの手数料・税込の販売価格は約5000円、50gだと約25万円、500gで約250万円、1kgで約500万円程度になる(2017年8月末日現在)。なお金地金の購入には消費税がかかるが、売却時には逆に消費税額を受け取ることができる。

為替の取引と同様、販売業者の金地金の販売価格と買い取り価格には価格差(スプレッド)があり、この価格差が販売業者の実質的な手数料となる。業者によって異なるが、金地金購入の場合、売り買いの中値と比較して1gあたり約0.3~1.0%の売買手数料が含まれているといえる。

スプレッド以外にも、500g(約250万円)未満の金地金を売買する場合にはスモールバーチャージという加工手数料が別途かかる。スモールバーチャージは購入価格の1~10%程度で、重量が少ないほど手数料の割合は高くなり、5g以下だと手数料の割合が20%近くなることもある。少額で投資をする場合は、スモールバーチャージと買いスプレッドのが高くつくため、結果として金貨の方が低コストとなるケースもあるのでよくよく比較してみよう。

金貨・金地金への投資では手元に金の現物を保有できるのがメリットだが、一方で大きなデメリットは盗難リスクだ。耐火金庫(小型金庫で3~10万円程度)を購入して自宅に保管したとしても、盗難リスク自体はなくならない。銀行などの貸金庫(年間手数料2~5万円程度)や、販売業者の保護預り(年間の保管手数料等で無料~3000円程度、金額は重量等によって異なる)を利用するのも手だが、追加のコストが発生する。

税金については、一般的な会社員などのケースでは、積み立てた純金を売却した場合の所得(譲渡益)は譲渡所得として課税され、その他の所得と合わせて所得税の総合課税対象となる(※6)。年末調整をしている会社員であっても、給与・退職所得以外の所得が一定額を超えると確定申告が必要となるので注意しよう。

② 純金積立

●メリット: 少額から始められる、自動積立ができる、盗難リスクなし、金の現物に交換できる
●デメリット: 手数料が比較的高め、保管方法により業者の破綻リスクあり、売却益が一定額を超えると確定申告が必要

金貨や金地金への投資は投資額が比較的大きく、また投資のたびに購入手続きをするのも面倒なもの。そこで販売業者(地金商、金属メーカー、証券会社、商品先物業者など)が提供をしているのが「純金積立」という方法だ。

純金積立は、申し込みをしておけば定額または定量で毎月自動的に金を購入してくれる方法で、通常1000~3000円から1000円単位で積み立てができる。定額での積み立てであれば「ドルコスト平均法」によって、定量で買うよりも購入単価を抑えることもできる。業者によっては、積み立ての月額を営業日で日割りして、毎日少額で購入してくれるところもある。

株式や投資信託などと同様、インターネット経由で純金積立の申し込みをできる業者も増えてきている。またスポット取引を利用することにより、ボーナス月などで毎月の積立額に加えて臨時で買い増すこともできる。

手数料としては、金地金と同様に売値・買値のスプレッドが掛かるほか、購入手数料、入会費・年会費(無料~1000円程度)、保管手数料(無料~年間3000円程度)がある。

特に購入手数料は2.5~3.5%掛かるケースが多くなっている。金のETF(0~0.1%)や投資信託(0~2%)の購入手数料などと比較するとやや割高といえる。

積み立てた金の引き出しや、ジュエリーや金貨への等価交換ができるのは純金積立のメリット(交換できないところもある)。ただし等価交換の場合、3000~5000円程度の引き出し手数料と郵送手数料が掛かることがある。

なお、純金積立において、長期投資の観点で最も注意しなければならないのが「保管方法」。純金積立における金の保管方法は、「消費寄託」と「混蔵寄託(特定保管)」の2パターンある。

「消費寄託」は銀行預金と同じ仕組み。金の保管会社(販売業者)が積み立てた金を使って運用することで、銀行預金の利息と同様、預けた人はその収益の一部をもらうことができる。ただし、所有権は保管会社に移っており、保管会社が破綻した場合には預けた資産が目減り・返却されないリスクがある(銀行預金は元本1000万円とその利息まで預金保険で保護される)。

「混蔵寄託(特定保管)」は複数の顧客から金を預かって混合して保管する方法。保管会社は預かった金を勝手に運用に使うことはできないので、運用収益の一部を利息として受け取ることはできない。ただし所有権は預けた人のままなので、保管会社がきちんと自分と顧客の財産を分別管理していれば、保管会社が破綻した場合でも預けた資産が戻ってくる。

純金積立ではほとんどが消費寄託での保管であり、混蔵寄託での保管は一部の販売会社に限られている。消費寄託で長期に投資をする場合には、保管会社の経営状況に注意しておく必要がある。

純金積立における税金は、金地金と基本的に同じとなる。

③ 投資信託

●メリット: 少額から始められる、自動積立ができる、証券口座で一元管理ができる、業者の破綻リスク・盗難リスクなし
●デメリット: 金を手元に保有できない、管理費用が金ETFと比較して高め

投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株や債券、商品などに投資・運用し、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品。金の投資信託は金現物や金に連動する金融商品に投資をすることになる。

投資信託の大きなメリットの1つは、証券会社や銀行といった販売会社で少額から購入が可能なこと。最近では最低購入金額が100円となっている証券会社も出てきた。また、投資信託で運用される資産は顧客の財産として信託銀行で分別して管理されることが法令で定められているので、万が一投資信託にたずさわる金融機関が破綻しても保有している資産は保全される。加えて保有残高は証券口座に記録されるので、資産を盗難される心配もない。

一方で、金の投資信託を購入したとしても、投資信託の値段は金の価格に連動するものの、あとからその投資信託を現物の金に交換してもらうことはできない。

投資信託の主な手数料としては、販売時の手数料(0~2%)のほか、保有残高に従って管理費用(信託報酬など)が掛かる。管理費用は金の投資信託によって異なるが、年率で0.5%から0.8%(税抜)の程度の割合で保有期間に従って日割りで課金される。金の投資信託はまだそこまで種類が多くないため、株式の投資信託などと比べるとこうした手数料は少し高めとなっている。

金の投資信託について、ここではシンプルに金の価格に連動するように設計されている主なものを紹介しよう。

投資信託 販売手数料(税抜) 信託報酬(税抜) 投資対象
三菱UFJ 純金ファンド 1.0% 0.50% 国内上場の金ETF
i-mizuhoゴールドインデックス なし 0.65% 米国上場の金ETF
ステートストリート・ゴールドファンド 2.0% 0.45% 米国上場の金ETF(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド 2.0% 0.83% 金現物(為替ヘッジあり)

(東証マネ部調べ、データは2017年8月末日現在)

金の投資信託の税制は通常の株式や投資信託と同様。売却益については譲渡所得として申告分離課税となるが、「特定口座(源泉徴収あり)」を選べば源泉徴収をされて確定申告が不要になる。株式や投資信託との損益通算も可能だ。

④ 金ETF

●メリット: 年間の管理手数料が安い、証券口座で一元管理できる、業者の破綻リスク・盗難リスクなし
●デメリット: 金を手元に保有できない(保有できるETFもある)、自動積立は難しい

ETFは「上場投資信託」と呼ばれる商品で、証券取引所に上場をしている投資信託のこと。金の投資信託と同様、金のETFでも金現物のような盗難リスクはないほか、たとえ証券会社や管理会社が破綻をしても投資家の資産は保全される(※)。また株式と同様、証券取引所が開いている時間であれば証券会社経由でいつでも発注をすることができる。

(※)ただしリンク債型ETFについては、リンク債の発行会社が破綻する等でETFの価値が下落、無価値になることがあります。

金に投資をできるETFは大きく分けると、日本の東証に上場している東証ETFと、海外(米国)に上場している海外ETFの2つに分けられる。

東証ETFは東証における円建ての取引で、通常の東証に上場している株式と売買の方法は同様に証券会社経由での発注となる。一方、海外ETFは米国の証券取引所に発注することになるため、外国証券取引口座の開設が必要となるほか、取り扱っている証券会社も限られる。ただし東証に上場していないETFに投資することができる。

ETFの主なコストは、売買の都度証券会社に支払う売買手数料(オンライン証券で0~0.1%程度、証券会社によって異なる)と、投資信託と同様に日々掛かる管理費用(信託報酬など)。ETFは上場していることから、投資信託と比較して管理費用が低くなることが特徴だ。

一方で、ETFは自分で都度売買をする必要があり、投資信託のように毎月の自動積立をすることが難しいというデメリットもある。また取引所での流動性が低い銘柄の場合、売買の際に予想以上に大きな値動きとなってしまう可能性があるので注意しよう。

金に投資をする主な東証ETFおよび海外ETFは以下となる。

カテゴリー 銘柄名 信託報酬(税抜) 投資対象 金現物と交換
東証ETF SPDRゴールド・シェア (1326) 0.40% 金現物(外国籍) ×
東証ETF 金価格連動型上場投資信託 (1328) 0.50% 金価格連動債券(リンク債型) ×
東証ETF 純金上場信託 (現物国内保管型) (1540) 0.40% 金現物
東証ETF ETFS 金上場投資信託(1672) 0.39% 金現物(投資法人債) ×
東証ETF One ETF 国内金先物(1683) 0.45% 金先物 ×
海外ETF SPDRゴールド・シェア (GLD) 0.40% 金現物 日本では×
海外ETF iシェアーズ・ゴールド・トラスト (IAU) 0.25% 金現物 日本では×

(東証マネ部調べ、データは2017年8月末日現在)

これら金ETFのうち、一定の量を購入することで金の現物に交換できるものもある。例えば「金の果実」の愛称でお馴染みの純金上場信託 (現物国内保管型) (1540)では、金地金1kg分のETFと金現物の交換が可能だ(ただし交換には手数料が別途必要)。いざというときに金現物と交換できるという安心感が魅力なのか、東証上場の金ETFでは最大の純資産総額となっている。

ETFの税制は通常の株式や投資信託と同様。売却益については譲渡所得として申告分離課税となるが、「特定口座(源泉徴収あり)」を選べば源泉徴収をされて確定申告が不要になる。株式や投資信託との損益通算も可能だ。

⑤ 金先物・CFD

●メリット: レバレッジを効かせて大きな金額を取引できる
●デメリット: 中長期の投資には向かない

先物取引とは、ある商品を、将来の決められた日に、取引の時点で決められた価格で売買することを約束する取引のこと。日本で取引できる金先物は、東京商品取引所(TOCOM)や米国のCOMEXといった商品先物取引所に上場しているものとなり、商品先物取引業者や証券会社経由で発注することができる。

またCFDは差金決済取引といわれ、FX(外国為替証拠金取引)と同じように取り扱っている商品先物取引業者や証券会社などと相対で取引する。CFDは先物と比較して取引単位が小さいことが多く、取引ルールや取扱商品は業者によって異なる。

先物取引、CFDともに、証拠金を差し入れることにより、元手となる投資資金の数倍の金額を取引することができる(レバレッジ効果)。例えばTOCOMに上場している金先物では、証拠金約7~10万円(各社により異なる)を差し入れれば、金1kgの先物1単位の値段である約450万円の取引をすることが可能だ。

レバレッジを効かせた取引は、少ない元手で大きな金額で売買をできることから大きなリターンを得る可能性がある一方、同じだけ大きな損失となる可能性もあるので注意が必要となる。

先物取引では取引期限の満了日が決まっているため、期限ごとに決済が必要となる。また先物取引、CFD共通して、値段が大きく下がったときには追加の証拠金差し入れが必要となる。レバレッジを効かせたこうした取引は中長期の資産形成向きではなく、あくまでも短期のトレーディングで効率よく利益を上げるための方法と考えておくとよいだろう。

なお、先物取引による損益通算後の利益は20%(所得税15%、地方税5%)+復興特別所得税の申告分離課税となり、CFDによる利益は雑所得として総合課税の対象となる。

まとめ:どの投資方法が長期の資産形成に向いている?

長期では何が起こるか分からないことから、業者の破綻リスクや資産の盗難リスクは避けておきたいところ。また長期投資ではちょっとしたコストの違いがパフォーマンスの大きな差につながるため、手数料はなるべく押さえたい。さらに税制もシンプルで分かりやすいことが望ましい。

こうした観点から、長期の資産形成で使いやすい投資方法を挙げるとすれば「投資信託」「金ETF」が候補になるだろう。

投資信託の方が定期の積立をしやすいが、金の投資信託の年間の管理費用(信託報酬など)は他資産の投資信託や金ETFと比べて若干高め。その点、金ETFは年間の管理費用が投資信託よりお得だが、自分で発注する必要があり少々手間が掛かる。どちらがよいかは投資スタイルの違いで決めればよいだろう。

もし将来現物の金を実際に保有したいのであれば、「純金積立」も候補になる。ただし、購入手数料が比較的安く、業者の破綻リスクが少ないところを選ぶことが重要だ。

なお、金は株式や債券などとは違い、それ自体が成長したり利子を生んだりする資産ではないことには注意しよう。例えば株式市場は、経済の成長に合わせて長期的に価値が拡大していく傾向がある。しかし金の場合、どれだけ時間を掛けたとしても、それ自体の量が増えることはない。金の価値はあくまでもそのときの政治・経済動向や金の需給によって決まる。

シェイクスピアの喜劇「ヴェニスの商人」において、モロッコ王が美しい女性主人公であるポーシャに求婚したところ、結婚の条件として金・銀・鉛の3つの箱から1つを選ぶことを求められた。そこでモロッコ王が選んだのは「金の箱」で、中に入っていたメッセージは以下のようなものだった(※7)。

輝くもの必ずしも黄金ならず。
All that glisters is not gold.

自尊心の高いモロッコ王に対し、「外面にばかり気を取られて内面を見誤ってはいけませんよ」という強烈なメッセージだ。結局モロッコ王はポーシャと結婚できず、すごすごと帰っていくこととなる。

このメッセージを長期投資に置き換えると、重要なこと(All that glisters)は時間を掛けて資産をじっくり増やすこと。そのためには価値が増える資産を見極め、その成長性に相乗りする形で投資することが必要だ。金はそれ自体が成長するものではないため、あくまでもインフレや不況への備えとして資産の一部に脇役として組み込んでおくことが、長期投資における基本的な投資スタンスになるだろう。

※税制度については、2017年8月末現在の国税庁ウェブサイトを元に作成しておりますが、具体的な税務上の取り扱い等につきましては、税理士や税務署等にご相談ください。

 

[参考文献]
(※1)日本経済新聞社「ゴールド-金と人間の文明史」(ピーター・L・バーンスタイン著、鈴木主税訳)
(※2)Thomson Reuters「GMFS Gold Survey 2017 」
(※3)日本鉄鋼連盟「全国鉄鋼生産高/全国鋼材生産高 (2016年)」より算出。
(※4)岩波文庫「歴史 上」(ヘロドトス著、松平千秋訳)
(※5)World Gold Council「Latest World Official Gold Reserves (August, 2017)」
(※6)国税庁「No.3161 金地金を売ったときの税金」(平成29年4月1日現在)
(※7)岩波文庫「ヴェニスの商人」(シェイクスピア作、中野好夫訳)

 

(東証マネ部!編集部)