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MAB投信だより

投信のお金の流れは費用水準を意識した動き!

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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Business Finance Marketing Recession Concept

サマリー

● 投信ファンドを費用水準で5分位に分けると、最も低いクラスと最も高いクラスでは1%近い開きがある。

● 資金流出入の動きをみると、直近1年間では、費用の高いクラスからは資金が流出する一方、費用の低いクラスには流入している。

● フィデューシャリー・デューティの流れは、費用を意識したファンド選好にも影響を及ぼし始めている可能性が高い。

1.投信の費用水準には大きな開きがある

最近、経済新聞などの紙面において、「顧客本位の業務運営」や「フィデューシャリー・デューティ」という言葉をよく見るようになってきた。

投資信託の市場動向においてもその影響によって毎月分配型ファンドへの資金流入に大きく陰りがみられるなど、お金の動きに変化がみられ始めている。ここでは、投資信託の費用面に注目して、似通った動きが見られているのか、確認してみたい。

まず最初に、投資信託の費用水準について確認しておこう。図表1は、直近3年以内で残高のある公募販売投資信託(注1)の費用水準を5分位に分け(右端は全体)、各クラスごとにファンドの残高を加重して計算した費用水準を3年前と直近について示したものである。

(注1)ETF、DC専用、ラップ専用、公社債投信等を除く。

これをみると、費用水準が最も低いクラスと最も高いクラスでは1%程度の開きがあることがわかる。また、各クラスごとに3年前と直近の比較でみると、最も低いクラス(左端)では費用水準の明確な低下がみられるが、これは近年設定が相次いでいる低コストのインデックス型ファンド・シリーズの影響が表れたものと思われる。

ただし、その他のクラス及び全体でみれば、残高ベースでの集計では費用水準にそれほど大きな変化がみられるまでには至っていない。

図表1  投信ファンドを費用水準別に5分位に分けた場合の各クラスの費用水準(3年前と直近)

2.最近は資金流出入面でも費用水準によって違いが生じている

ここでは、投資家の姿勢が費用水準を意識しているのかを資金流出入の観点から確認してみたい。

図表2は、直近3年間を前2年間と直近1年間に分けて、費用水準別の資金流出入の金額をみたもの。前2年間(左図)は投信市場全体への資金流入金額自体も大きかったが、その多くは費用が比較的高いファンドへの流入であった。

一方で直近1年間の動き(右図)はそれとは逆に、費用が低い水準のファンドに資金が流入する一方で、費用が高いファンドからは資金が流出している。

資金流出入の動きからは、最近のフィデューシャリー・デューティの流れは、費用水準を意識したファンド選好にも徐々に影響を与えていると言えるだろう。

図表2 過去3年間における費用水準別の資金流出入金額(最初の2年間と直近1年間)

3.主要資産によって費用の開きには違いあり、複合資産は大きい

最後に、主要資産毎の費用水準を確認しておこう。

図表3は、費用水準を5分位に分け、費用が最も高いクラスと最も低いクラスを示している(算出方法は図表1と同じ)。両者の開きは全体では1%程度であるが、資産毎にはかなりの違いがある。

ハイイールド債券やエマージング債券の開きが小さいのは、インデックス型ファンドの割合が少ないことによる。一方で、一番開きが大きいのは複合資産型のファンドで約1.3%もの開きがある。

図表3 主要資産別の費用水準の開き

紙面の都合上、示すことができないが、直近1年間の資金流出入で高い費用クラスから流出し低い費用に流入したのがもっとも顕著だったのがこの複合資産のファンドだ。

複合資産のなかにはラップ口座に倣って複雑なスキームを持つファンドも含まれており、その一部は費用が高いことも指摘されている。そういったファンドの費用水準にも意識が向けられているものと思われる。

(MABファンドアナリスト 勝盛)