6000円から始めて、資産は1.5倍に!
投資ブロガー・なるたくさん「インデックス投資は貯金の延長」
比較的ローコストで手間がかからないため、別に本業を持ちながら運用している人も多いインデックスファンドを使った積立投資。とはいえ、“投資”という言葉にリスクを感じて躊躇してしまう…という人も少なからずいるのではないだろうか。
ブログ「低コストの投資信託で資産形成 LoLo Investors」を運営する「なるたく」さん(40代、札幌市在住)も、投資に不安を感じていた1人。しかし今では「貯金の延長でインデックスファンドを使った積立投資をしています」と笑う。一体どんな経緯で、今の運用法にたどり着いたのだろうか? 話を聞いた。
個別投資は怖いけど…毎月6000円からインデックス投資をスタート
2011年、転職を機に、それまで住んでいた九州から北海道に戻ったなるたくさん。マンションを購入したが、転職で給料が下がり、貯金が少なくなったことから、将来の資産形成について考えるようになったという。
「定期積立で貯金をする習慣はあったんですが、それだとなかなか増えない。個別株やFXも知ってはいましたが、リスクが高そうだし、手間がかかりそうなのでやる気になれませんでした。お金を増やす方法を探すために書店に入り浸ったり、ブログで情報収集をしたりしているうちに、『インデックスファンド』で長期積立をして投資するという方法を知ったんです」
最初に参考にしたのは、カン・チュンド氏の著書『忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術』(明日香出版社、2009年)。本に書いてある通りにネット証券で口座をつくり、ポートフォリオの組み方も参考にした。
「ただ、僕は“臆病”なので、月5万円ではなくて、6000円から始めました。仕組みだけつくって、後はほったらかしで運用できる…なんて、そんな都合の良い話があるわけないじゃないか、と半信半疑だったんです。でも始めてみると、手数料も手間もほとんどかからない。しかも、途中で売らない限りは損はしないだろうと考え、これならできそうだと、1万円、1万5000円と徐々に積み立てを増やしていきました」
1年後には段々と仕組みも分かり、度胸もついてきたという。現在では月給の4分の1をインデックスファンドに回し、6年間で資産は元本の1.5倍ほどになった。
「最近は慣れてきて、定期預金と同じような感覚でインデックスファンドを積立しています。まとまったお金が必要になれば取り崩すこともあるでしょうが、20~30年はずっとやり続けるつもりです」
生活防衛資金は“インデックスをしながら貯められた”
ところで、投資初心者がまず二の足を踏んでしまうのが「生活防衛資金」の準備。一般的に投資を始める前には、「6カ月~2年分」の生活防衛資金が必要になるといわれるが、なるたくさんの場合、投資を始めた当初は生活防衛資金としての貯金は無かったという。
「だから始めた当初は、インデックス口座と生活防衛資金用の定期預金口座に半分ずつ積み立て、1年半ぐらいかけて生活防衛資金を完成させました。よく“投資を始めるには2年分の生活防衛資金を貯めてから”という意見も聞きますが、投資額が少ない最初のうちはそんなに大きな額は必要ない。今積み立てているものの半分をインデックスファンドに回して、同時に生活防衛資金も着々と積み立てていけばいいと思います」
「石橋を叩いて渡るタイプ」と自分を分析するなるたくさん。アセットアロケーションでは、国内外の株式・債券をバランスよく組んでいる。
「投資家のなかには、債券をゼロにして預貯金でコントロールをすればいい、という考え方の人もいます。でも、僕は“預貯金は預貯金”、“投資は投資”できちんと分けて運用しないと精神的に落ち着かない。そんな状況では長くは持ち続けられないだろうし、暴落した時が怖いので債券は入れています。あとは、日本、先進国、新興国どこかに偏ることなく、世界のGDP比率を参考にバランスよく持つようにしています。そうすれば、万が一新興国が下がって日本株が伸びたとしても、その逆のシチュエーションに遭遇した場合でも、自分は“負けていない”状況をつくることができますから。臆病でもあり、負けず嫌いでもあるので……(笑)」
100円から始めて慣れるのもアリ。「貯金ができれば誰でもできる」
投資による資産形成を始めて6年。未だに個別株には抵抗感があるが、インデックス投資は“貯金の延長”のような感覚で続けられている。
「最近は仕事が忙しく、家でも4歳の長男と10カ月の長女の子育てで忙しくてブログの更新もままならない。それでも、積み立てていれば何もしなくてもお金が増えるインデックス投資は、自分には合っています。北海道は東京と比べてあんまり景気も良くないけど、インデックスであれば場所を選ばないですし。貯金ができる人であれば、どんな人でもできると思います」
初心者であれば、たった100円からであってもインデックスファンドを使った積立投資を始める価値はあるという。
「積立投資って、ジェットコースターみたいなものだと思っています。コースの難易度はアセットアロケーションで調整できるんですが、上下する経験は、実際にやってみないと分からないし、未経験の人ほど怖い。でも、小さな値段でも実際に経験してみることで、ハードルはずいぶん下がるはずです」
なお、資産の使い道を具体的にきめているわけではないが、「老後資産のため」とは言わないようにしているそうだ。
「老後資金のため……って、あんまりワクワクしない。これからも長く続けていくためにも、前向きで夢のある投資をしていきたいと思っています。自己投資とか、子どもの教育とか、未来につながっていくような投資をしていきたいですね」
(周東淑子/やじろべえ)