投資ブロガーが語るリアル体験

個別株とインデックス、それぞれどう使い分ける?

投資ブロガー・菟道りんたろうさん「真面目に投資と向き合えばビジネスマンとしての洗練度が上がる」

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歌舞伎鑑賞など多趣味な菟道さん。大学卒業後は大学院に進学し、評論家を目指していたという。アーリーリタイアなど、明確な目標はないというが「もし将来何がしたいかと聞かれたら、もう一度学校に戻って博士号を取りたいですね」と語る

歌舞伎鑑賞など多趣味な菟道さん。大学卒業後は大学院に進学し、評論家を目指していたという。アーリーリタイアなど、明確な目標はないというが「もし将来何がしたいかと聞かれたら、もう一度学校に戻って博士号を取りたいですね」と語る

比較的手間がかからず、運用のためのコストも低いといわれる「インデックス投資」。ビジネスマンでも始めやすいと人気を集めているが、企業の株を保有する「個別株」での資産運用とはどんな点が異なるのだろうか。

そこで、「個別株」を続けて、その後「インデックス投資」に出会ったという投資ブロガーにインタビュー。それぞれの投資を始めた経緯や特長について教えてもらった。

生まれた時に個別株を譲り受けるも、資産形成には「インデックス」の理由

「実は僕、生まれた時から株を持っていたんです」と話すのは、メディア関連企業に勤務しながら、ブログ「The Art and Investment Studies」を運営する菟道(うどう)りんたろうさん(40代、大阪府内在住)。

「私の祖父は預貯金・不動産・株式で財産を持つ『財産三分法』を実践していました。そんな祖父は、孫が生まれるとその記念に、資産株である電力会社の一単元を孫の名義にしてくれた。だから僕も、物心ついた時から株を持っていると知っていたし、中学生・高校生くらいになると、株の仕組みについても何となく理解するようになっていましたね」(菟道さん、以下同)

2006年に就職するころには口座を自分で管理するようになり、個別株の“買い増し”にも興味が出てきたという。一方、信託報酬など、個別株にはない“手数料”が含まれる投資信託には抵抗があったそうだ。

「当時は投資信託のことを“ぼったくり”やと思っていたので、個別株しか持っていませんでした。ところが、その後リーマンショックが起こって、本業では賃下げがあり、ボーナスも出なくなった。さらに、東日本大震災の福島原発の事故で、持っていた電力会社の株が一気に値下がりして、配当もなくなってしまった。その時に初めて、“分散せなあかん”と思い、個別株以外の方法を探し始めました」

そんな際に、たまたま「モーニングスター」の朝倉智也氏の講演をネットで見て、インデックスファンドとETFの存在を知った。それまで個別銘柄しか持ってこなかった菟道さんにとって、「複数の銘柄を買って分散投資できる」というインデックスは、とても魅力的だったという。その後、『ウォール街のランダムウォーカー』『敗者のゲーム』などの書籍や、インデックスブロガーのブログで理解を深め、2012年末、ネット証券に口座を開いた。

「積立のインデックス投資を始めると同時に、貯まっていたお金でETF、あとは個別株も好きだから3銘柄ぐらい新しいのを買いました。今はインデックスファンドを毎月一定額積み立てて、趣味的な要素で年に1、2回個別株を買ったりしています」

積立投資の秘訣は「下落相場が続いたときも気にし過ぎないこと」

インデックス積立と株式投資、今もどちらの運用も続けているが、それぞれ“使い分け”などはあるのだろうか。

「個別株は銘柄によって浮き沈みはあるけれど、保有コストはゼロ。だから永久保有しやすく、“お守り”のように持っていられる。個別株はずっと持ち続けたいけれど、積立てたインデックスファンドについては将来お金が必要になったら切り崩していこうと思っています。そのためにも、積立は経済状況が悪くなった時でも続けていけるような設計にしないといけない。たとえ不況が来ても、やめないことが何よりも大切ですから」

ちなみに、インデックス積立は「下落相場になってもあまり気にし過ぎてはいけない」そうだ。

「積立って、常に買い増しをしていくから下落相場になると、マイナスになるのが早い。その代わり、下がっても買い続けていくと、逆に相場が回復した時にプラスになるのはあっという間で、さらに加速する。積み立てでマイナスになったらどうしよう、と心配する人もいるけれど、実はマイナスが続けば続くほど、インデックスファンドの積立投資って面白くなるんです。そもそも株式会社とは拡大再生産を前提とした組織。株式市場も総体としては長期的に上昇することを前提とした仕組みだという『資本主義のシステム』について理解することが大切です」

そんな菟道さんだが、投資を“儲ける手段”ではなく、自分の財産を作り、守っていく方法の一つだと考えている。

「自分の資産を、現金だけではなく、株、不動産など異なる資産カテゴリーで持っておけば、世の中に変化が起こったとしても対応できる。たとえば1000万円の財産を現金で持っていたとします。その時のインフレ率が2%であれば、毎年2%実質価値として損していることになる。実質価値が変動すると考えれば、現金だって無リスク資産ではない。その意味でも、自分の財産は現金・土地・株の“財産三分法”で守っていけばいいと思っています」

資産形成だけじゃない!ビジネスマン必見の投資のメリットとは…

投資による資産形成において決まった目標額はないが、「長期では必ずプラスリターンになるという信頼はある」という菟道さん。現在、iDeCoでの積立て投資、NISAでの個別株投資も併せて行い、確実に資産を築いている。加えて、投資を通じて、資産形成以上のメリットを実感している。

菟道さんのポートフォリオ。出張で東南アジアに赴く機会も多く、新興国株にも関心が高いという

菟道さんのポートフォリオ。出張で東南アジアに赴く機会も多く、新興国株にも関心が高いという

「資産形成もそうだけど、投資をやる一番のメリットは経済に対する感度が上がること。日本では投資に抵抗感を持っていて、『株価が上がっても、自分の生活には関係ない』と思っている人も多い。でも実は、経済は決して難しいものではなく、我々個人の日々の生産消費活動の総体。投資をしていると、自分たちの生活が“世界経済に繋がっている”という感覚を持つようになる。そうすると、たとえば国内・海外で起こっているニュースの本質的な意味を理解する力がつくし、本業を頑張ればそれが自分にも返ってくるという感覚も生まれるから、仕事に対する取り組み方も変わる。投資に真面目に向き合っていれば、ビジネスマンとしての洗練度が確実に上がります。もっとも、それで給料が増えるとは限りませんが(笑)」

投資はなんだか難しそうだ…と敬遠する人もいるかもしれない。しかし、勇気をもって一歩前に踏み出してみれば、お金との付き合い方だけではなく、仕事との向き合い方にも良い変化が起こりそうだ。

(周東淑子/やじろべえ)