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MAB投信だより

新規設定後経過月数(月齢)毎の資金流出入動向から投信市場の現状を探る

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

● 新規設定ファンドにまとまった資金流入があるのは設定後半年間である。

● 公募投信の約半数は設定後6ヵ月以内に資金流出に転じる。

● ある程度の運用期間を経たのち、運用実績の良いファンドに資金が集まるという流れが必要である。

1.調査の概要

全ての国内公募投資信託について、過去5年間のそれぞれの月次資金流出入額を設定後経過月数毎(月齢毎)に集計し、資金流出入金額の水準と資金流入超過ファンドの割合の平均をまとめた。

2017年11月末時点で過去5年以内に月次の資金流出入が1ヵ月でもある公募投資信託(償還済も含む)を対象とし、ETF、DC専用、ラップ専用、単位型投信を対象から除外している。

過去5年間の全ての月次データを集計対象とした理由は、特定の基準月のみを対象とした場合、その時々の市場環境に左右されやすく、また設定月数毎に見た場合データ数に不足が生じるためである。この集計で資金流入超過ファンドとは月当たりの純流入額が百万円以上であったファンドを指している。

この調査を通して、平均的な公募投信が設定後どのような資金流出入を経るのか明らかにし、投信市場の特徴を掴む手掛かりとしたい。

2.平均月次流出入額の推移

図1 平均月次流入額の推移(3年間)

図1では設定後経過月数(月齢)毎に資金流出入金額の平均を求めグラフにあらわした。

まとまった流入が確認できるのは、設定から半年程度までの期間で、その後は流入と流出が拮抗している。背景には、販売会社や運用会社が新規設定ファンドを推進しやすい状況にあることや、新しいファンドを好む投資家が多く存在することがある。

他にも特徴として、設定後1年を経過したあたり(12~14ヵ月)に僅かではあるが資金流出超過の傾向が見られる。設定当初に多額の流入があることから、設定当初に購入しその後1年経過を売却(乗り換え)の目安としている投資家が一定数存在すると考えられる。

3.流入超過ファンドの割合の推移

図2 資金流入超過ファンド割合の推移(10年間)

図2は、設定後経過月数毎に当該月齢の全てのファンド本数に占める資金流入超過ファンドの割合の推移をグラフにしたものである。

設定から半年経過した時点で資金流入超過ファンドは50%を切ってしまう。言い換えれば、約半数の公募投資信託は、設定から約半年以内に資金流出超過に転じている。

投信市場で長寿ファンドがあまり育っていない現状を再認識させられる数値である。

図3 資産流入超過ファンド割合の推移(分類別)

図3では設定後経過月数毎に、複合資産、国内株式、外国株式について分類毎に資金流入超過ファンド割合の推移をグラフに表した。紙面の都合から他分類については割愛する。

複合資産ファンドは単資産ファンドと比較して、設定後に短期間で資金流出超に陥るファンドが少ない。これは、長期保有の目的に合致するファンドが複合資産の分類に多いためと考えられるが、それでも設定後12カ月で約半数のファンドが資金流出超過に陥っている。

一方、国内株式ファンドは、他と比較して特に流入ファンドの減少が早い傾向が見て取れる。

長期投資の観点からは、流出に転じる時期が現在の6ヶ月よりももっと先にあるべきであり、流入が長く継続する長寿ファンドの増加が求められる。設定後にある程度の運用期間を経たのち、運用実績の良いファンドに資金が集まるという流れが必要と考えられる。

(MABファンドアナリスト 吉田)