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買い物で貯めたポイントで投資体験!?

【サービス開始1年で11万人が参加】証券口座がなくても“投資体験”できる「ポイント運用サービス」とは

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“永久不滅ポイント”が運用状況に合わせて増減する

クレジットカードや会員カードなどに付与される「ポイント」。そのポイントを使って投資の疑似体験ができるサービスが注目を集めている。クレディセゾンが提供する「ポイント運用サービス」だ。

クレディセゾンが取り扱うセゾンカードは、カードの利用に応じて「永久不滅ポイント」が付与される。その名の通り、有効期限がなく一生使えるポイントだ。ポイント運用サービスは、みずからの永久不滅ポイントを元手に運用。市場の動きに応じて運用中のポイントが増減するもので、いわばポイントを使った「投資体験」ができる。

どのような背景からこのサービスが生まれ、どんなテクノロジーが使われているのか。クレディセゾンの資産運用ビジネスを担う、アセット・マネジメント・ビジネス・オフィサーの美好琢磨氏と経営企画部グループ戦略室の橋村奈緒子氏に聞いた。

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「投資に対する意識調査をしたところ、“興味はあっても投資をしない人”の理由は『資金がない』『リスクが怖い』という答えが多くを占めました。また、若年層は『知識がない』という回答が多く、『知識がないゆえの失敗が怖い』という不安につながっています。ただ、ポイントなら現金に比べてその不安も少ないはず。そこで、『投資への第一歩として、ポイントを使って投資体験をすることで投資に関する知識を得て欲しい』と思い、このサービスに至りました」(美好氏)

さらに、顧客サービスとしても「永久不滅ポイントの利用方法にもっと幅をもたせたかった」(橋村氏)という。期限のないポイントだからこそ、使わずそのまま保有し続けるケースが多く、せっかくのポイントが活用されていないジレンマがあった。そこで他のポイントでは真似できない方法で、活用を促進したかった。

実際、2016年12月のサービス開始から、すでに11万人が参加しているとのことで、驚異的な成長を見せている。女性や若年層など、実際の投資では参加率の低い層が多いのも特徴だ。

では、どのようにポイントを運用するのだろうか。サービスではいくつかのコースが設けられ、ユーザーは自分のポイントを好きなコースに投じて運用できる。サービス開始時は、外国株や外国債券を中心に積極的にプラスを狙う「アクティブコース」と、国内債券を中心に安定的な運用を目指す「バランスコース」の2つが用意されていた。

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2018年3月からは、東証株価指標「TOPIX」に連動した「日本株(TOPIX)コース」と、アメリカの大型株価指数に連動する「アメリカ株(VOO)コース」が追加された。これらの値動きと連動して、運用中のポイントが増減。ユーザーはその成り行きを見ながら、好きなタイミングで運用中のポイントを取り出せる。

加えて、「つみたてNISA」による長期投資への注目度の高まりを受けて、「つみたて機能」も追加。ユーザーの保有する総ポイントから、事前に設定した一定ポイント数を、月に一度自動的に「日本株(TOPIX)コース」「アメリカ株(VOO)コース」に積み立てることができるようになった。

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ポイント運用から、本当の株に交換できるサービスも開発中!

ポイント運用は、「セゾン・UCポータル」や「セゾンポイントモール」といった同社が提供するスマホアプリや、会員向けインターネットサービス「Netアンサー・アットユーネット」から行える。実際のお金を使った投資ではなく、あくまでポイントによる投資体験なので、書類での細かなやり取りや口座開設の手間はない。美好氏は「数タップで始められる」という。

「フィンテックが担うのは、高度な理論や高度な投資を“誰でも手軽にできる”ようにすること。そういったユーザー体験の向上にあると思います。ポイント運用もその1つで、リスクの少ない手軽な投資体験から、実際の投資に結びつけてほしいのです」(美好氏)

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なお、テクノロジーの面では、ポイントを実際の金融商品の動きに連動させる仕組みに関して特許を出願中である。こういった今までにない取り組みで、投資の間口を広げる構えだ。

「今後は、さらにコースを増やすことも視野に入れています。すでに計画しているのが『株式コース』で、実在する企業の株価の値動きと連動して永久不滅ポイントが増減するものです。そして、もし特定の銘柄に投資しているポイントが、その銘柄における1株価格に相当すると、本当の株に交換できる仕組みを考えています」(橋村氏)

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たとえば株式コースでA社を対象銘柄に選んだとする。その後、A社の株価が上がりポイントが増加した、あるいは、A社に追加でポイントを投入した中で、実際の1株相当の価格と同じだけのポイントになれば、本物の株に交換可能。正真正銘、“本当の投資”ができる。橋村氏は、「どの企業の銘柄を取り扱うかは、お客さまへのウェブアンケートを実施して決める」という。

今までにないシステム、テクノロジーを使って、投資の間口を広げていく。あるいは、ユーザーが感じるハードルを下げていく。ポイント運用は、既存のサービスを「より手軽に、簡単にする」というフィンテックのポテンシャルを存分に活用したものといえる。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2018年3月現在の情報です