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プロ的銘柄探し⑥

【なでしこ銘柄】女性の活躍やダイバーシティ推進に取り組む優良企業とは

提供元:One Tap BUY

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Office Consultation - modern vector cartoon business characters illustration著者:三好 美佐子(One Tap BUY)

重要な経営資源としての「ヒト」から最大パフォーマンスを引き出すには、まずは健康でなければなりません。

それを組織的にサポートしているのが前回の記事でご紹介した「健康経営企業」ですが、社員が元気に頑張ったとして、きちんと評価されない(昇格できない、昇給がない…)のであれば、頑張りたいマインド=モチベーションも続かない…。

これを意識せずに何年も社会人生活ができているのであれば、自身が公平にきちんと能力評価されているということであり、非常に幸せなことです。

業績評価の公平とは、少なくとも、会社への貢献度が同じ人が2人いれば、この2人は同じように扱われなければなりません。会社の規模やお財布の事情で完全に公平にはできなくても、差が出るのであれば、合理的な説明がなければならないと考えます。

処遇の差で合理性を欠きやすい典型としては、学歴差別、人種差別、性別差別など、ほかに合併会社ならば出身会社差別などもあるでしょうか。要するに、本人のどうにもならない外形的な条件による処遇の差異は非合理です。

そのうちの性別による違いは、世界中で問題視されているところではあります。

女性は、伝統的な固定観念(家事負担)や身体上の特質(妊娠・出産・育児)が一律にハンデとみられ、男性に比べて、業務能力以外の要因を評価に加味されがちです。

殊に日本に関しては、管理職の女性比率が12.5%と他の先進国にくらべてダントツに少ない状況です。就業者に占める女性の割合は43.2%とそんなに大きく違わないのに…です。

出所:労働政策研究・研修機構発行、国際労働比較データブック2017より

識字率などから考えても他の先進国に比べて、日本の女性の能力が劣っているとは考えづらく、ここにはやはり何らかの性別によるバイアスがかかっていそうです。

そして、これは、実は女性の問題だけに限らないものです。

たまたま現れた性別による極端なバイアスは、ひいては、評価制度自体に問題がある可能性があります。評価する側の人や会社都合の恣意性が入り得る制度の疑いが持たれます。

牽制の利かない評価制度の下では、納得感のない、合理性のない処遇を受けているのは女性ばかりではなく、先ほど挙げた学歴や人種のほかにも、評価者の好き嫌いが排除されていない可能性もあります。そうなると、会社全体に、公平な評価によるモチベーションの向上・維持などは望むべくもなく、やる気の欠如から見えざる業績の重石になっていることもありそうです。

こういった観点から、「女性に対する処遇」をみた時、それがきちんとできている企業は業績的にも優れているのではないか、と思われます。そこで、独立行政法人経済産業研究所の資料「企業における女性活用状況と企業業績との関係」のなかで、女性活用の状況と利益率との関係を示したグラフがあります。

上場企業を中心としたサンプルですが、正社員に占める女性の割合、管理職に占める女性の割合と利益率を示したもので、概ね、女性比率が高い方が利益が高い傾向にあるように見えます。

正社員の女性比率と利益率

管理職の女性比率と利益率

このレポートでは、その人の生産性よりも低い賃金で雇用することができるために女性を多く雇用すると利益率が高まるとの仮説も紹介されていますが、「潜在的に高い生産性を有する女性労働者の能力やスキルを活用すること」を通じて業績を向上させる可能性が十分に考えられるとも述べています。

女性ばかりではなく、これを「属性に関わらず能力の高い人」と置き換えるならば、「誰もが能力を発揮しやすい環境を整備することによって、相乗効果で企業業績がさらに向上すること」ができるともいえそうです。

公平的な労働環境を作ることで、人それぞれの個性と能力を活かし、伸ばし、業績に結び付けることができる、言い換えれば「能力評価と処遇の平等が実行できている企業」に好業績を期待することは合理的なものと考えられます。それは、まさに、企業風土ですから、一過性の投資材料ではなく、長期的に投資する対象としてのベンチマークとしてもよいのではないでしょうか。

そういった観点から投資をするとして、銘柄探しに最適な素材があります。

政府も「すべての女性が輝く社会づくり」を推進していますが、平成24年度から経済産業省と東京証券取引所の共同企画として、女性活躍推進に優れている企業を選定・発表しています。その名も「なでしこ銘柄」。女性の目からは「なんだかな~」と感じるネーミングではありますが、そこは、過渡期のご愛嬌として(笑)

この企画の趣旨も、性別、年齢、国籍、障がいの有無、職歴、経歴に関係なく、多様な人材を活かす戦略=ダイバーシティ・マネジメントの試金石として、女性人材の登用を積極的に進めることに意義があるとしています。

「多様な人材を活かすマネジメント能力」「環境変化に適応する自己変革力」がある点から、「成長力のある企業」を発掘するのが目的です。

なでしこ銘柄の選定は、ボトムアップ方式で、定量分析と定性分析を併用して実施されています。

上場している3,500社から従業員数300人以下の企業を除き、「行動計画を策定している」「女性管理職比率を開示している」企業に絞ります。女性活躍度調査への回答に基づいてスコアリングし、業種ごとに上位にランクインした企業を抽出します。最後に財務指標によるスクリーニングをかけて選びます。

なでしこ銘柄のパフォーマンスや優位性を記載したレポートはこちら

この中から、2銘柄・・・地道にTOPIX(東証株価指数)を上回り続けているようです。

●ブリヂストン

※ご注意: 過去の実績から作成したものであり、将来の成果を予測・保証するものではありません。
※データ:Bloombergからのデータをもとに作成。

●積水ハウス

※ご注意: 過去の実績から作成したものであり、将来の成果を予測・保証するものではありません。
※データ:Bloombergからのデータをもとに作成。

どちらも、ゴム製品、建設業と「女性」イメージのある産業ではありませんが、女性活躍推進をトップがコミットし、経営方針にもそれを反映し、数値目標も設定しているとのことです。

積水ハウスは、One Tap BUYでも直接お会いしたことがありますが、IRご担当が素敵な女性でした。家を買う時に主婦が主導するケースが半数、賃貸物件を決める時は6割にもなるとの調査結果もあります。今後、女性の感性を活かした家づくりや女性目線での販売方法をしっかり構築するなど、同業他社を抜きんでた成長を遂げる原動力となるでしょう。

大企業は、社会的な存在としてCSR=社会的な責任を果たすことが求められています。

環境への配慮や地域社会への貢献、人権に配慮した雇用、消費者への適切な対応など、細かい配慮や思いやりが必要な分野も多く、女性ならではの感性を活かせば、株主も満足するCSR活動に貢献しやすいのではないでしょうか。CSRの活動は、株価にももちろん無関係ではありません。

前回ご紹介した「健康経営企業」や「なでしこ銘柄」は、経済産業省と東京証券取引所が個人投資家の代わりに行ってくれたプロ的調査・分析の結果です。この中からいくつか好きな企業銘柄を組み合わせて、オリジナルの恒久的テーマ投資ポートフォリオを作ってみてはいかがでしょうか。

究極の「素人でもできるプロ的銘柄探し」です。

(次回に続く)

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