子育てにまつわるお金の話

「総額1000万円」の教育費、実は年間〇十万円程度…?

何歳でいくらかかる? 子育て資金シミュレーション

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子どもが生まれて、家族が増えるのは、神秘的で尊いことだ。…しかし、家族が1人増えれば出費も増える! ましてや、これから小中高と進んでいって、大学にも進学となると、総額1000万円かかるなんて話も聞く。途方もない気がしてきた。

「一般的に子ども1人にかかる教育費は1000万円といわれますが、まとめて一気に必要なわけではありません。幼稚園や保育園に入ってから、大学を卒業するまでにかかる総額なので、怖がる必要はありませんよ」

そう話すのは、生活に密着したお金のやりくりに詳しいファイナンシャルプランナーの氏家祥美さん。具体的に何歳の時にいくらかかるのか、教えてもらった。

妊娠・出産費用は一時金でカバー

そもそも子どもが生まれる時には、どのくらいかかるのだろうか。妊娠は病気ではないから、病院も自由診療でお金がかかりそうだが…。

「妊娠中の検診や出産時の入院費など、すべて合わせて平均49万円といわれています。ただし、国から子ども1人につき出産育児一時金42万円が支給されるので、実際に支払う額はそこまで大きくないんですよ」(氏家さん・以下同)

近年は子どもを産みやすい環境が整えられているそう。妊婦健診は1回5000円前後かかるが、自治体から健診用クーポンが配布され、1回4000円程度はカットされるという。妊娠、出産に関しては、そこまでお金の心配をしなくてもよさそうだ。

年間の学費は公立なら50万円、私立なら100万円

では、子育ての中でも、特に大きな資金が必要となる教育費は、具体的にどのぐらいかかるのか。文部科学省が出している「平成28年度子供の学習費調査」から、学校種別の年間学習費を見てみよう。

学校種別の学習費(年間総額)

■幼稚園
公立 23万3947円
私立 48万2392円
■小学校
公立 32万2310円
私立 152万8237円
■中学校
公立 47万8554円
私立 132万6933円
■高等学校
公立 45万862円
私立 104万168円

「この調査は、学校に納めるお金に学外の習い事などの費用も含めた平均額です。公立の場合は年間40万~50万円なので、特別に積み立てなどをしていなくても、乗り越えられる額といえるでしょう」

総額1000万円と聞いたインパクトと比べると、現実的な気がする金額だ。ただ、私立に通わせると、小学校以降は年間100万円以上かかってくる。

「もし中学校から私立に進むと考えると、高校、大学も私立の可能性が高くなるので、年間100万円以上が10年続くことになります。私立を視野に入れる場合は、家庭の収入がいくらか、学校の価値観と家族の価値観が合うかなど、総合的に見て冷静に判断しましょう。習い事も通わせた分だけ教育費がかさむので、家計にとっては厳選することが大切です」

幼稚園と保育園でも、かかる費用は変わってくるという。公立幼稚園は狭き門で入りづらく、私立幼稚園はひと月3万~4万円かかるのが一般的。公立保育園の保育料は、子どもの年齢と世帯年収で決まる。高所得者の場合、0~2歳まではひと月7万~8万円と高額になるが、3歳以降はひと月平均2万数千円で収まる。

「奥さんが専業主婦で幼稚園に通わせる場合、0~3歳は教育費がかからず、お金を貯めやすくなります。共働きで保育園に預ける場合は、0~2歳のうちは出費が大きくなりますが、3歳以降に貯金できる余裕が生まれます」

ところで、大学の費用は「子供の学習費調査」には載っていないが、具体的な金額とは?

「実は、大学がもっとも重要なんです。私立大の学費の平均額は、4年間で550万円。高校まで公立に通わせた場合、年間50万円を捻出するペースはつかめているはずなので、残りの金額となる300万円程度を、事前に貯めておけると安心です」

“0歳のうちからコツコツ”か“制度を使って一気に”

スムーズに大学に進学するとして、18歳までには300万円を用意しておくべきというわけか。1000万円の比ではないが、300万円もなかなかの額だ。

「理想としては、生まれた時から大学に進学するまで、コツコツ貯める方法が、もっともミニマムなコースです。300万円を216カ月(12カ月×18年)で割ると、ひと月1万3900円程度になります」

1万円ちょっとであれば、積み立てていけそうではないだろうか。ただし、既に子どもが大きくなっている場合や、私立中学への受験などを考える場合は、預貯金以外の方法も視野に入れるといい。

「ひと月の積立額を上げる方法もありますが、学資保険やジュニアNISA、つみたてNISAを活用する方法も考えられます。いろいろな制度を知り、可能性を広げていきましょう」

また、氏家さんは「できれば共働きは続けてほしい」と言う。

「女性は、育児休業明けが一番辛いんです。保育料は高く、子どもは病気になりやすいからすぐに呼び出され、仕事は時短で収入は少ない。働くメリットを感じにくいので、家庭に入った方がラクだと思ってしまいやすいのですが、ここで夫である男性には『将来の家族のために一緒に頑張ろう』と言ってほしい」

前述の通り、保育料が高いのは2歳まで。それ以降は保育料が安く収まり、貯金しやすくなる。将来のことを考えても、共働きであれば世帯収入は高くなり、教育費も捻出しやすい。

子どもが生まれたら、将来のお金の目処を立ててから、現在の状況を見るという感覚を身につけたいところ。先々に必要になるお金まで考えた上で、夫婦で協力しながら、子育ても家事も仕事も連携していけるとよさそうだ。

(有竹亮介/verb)

※記事の内容は2018年3月現在の情報です

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