退職後6カ月以内に「移換依頼書」提出が必須!!

【iDeCo】転職したときの手続き方法【企業型→個人型編】

TAGS.

Smiling businessman in a suit working with laptop in the open space office vector Illustration
2017年1月から、公務員や専業主婦も加入できるようになった個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」。老後資金を貯めるための制度で、運用中の利益が非課税になり、掛金を払うときにも税金が安くなるため、活用し始めている人も多いだろう。

iDeCoで運用していて60歳前に転職した場合に、転職先が企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)を導入していれば、iDeCoの資産を新たに所属する会社の企業型DCに移すことになる。

反対に、企業型DCがない転職や独立、起業する場合には、企業型DCからiDeCoに移換しなければならない。

では、企業型DCからiDeCoに資産を移すにはどのような手続きが必要か、確定拠出年金アナリストの大江加代さんに聞いた。

■退職後6カ月以内に「移換依頼書」を提出

「前の会社を退職してからまずiDeCoに加入し、その後に企業型DCで運用していた資産をiDeCoに移す必要があります。その際に重要なことは、退職して企業型DCの資格を喪失してから6カ月以内に、資産移換の依頼までを行うことです」(大江さん・以下同)

ひと口にiDeCoと言っても、取り扱っている金融機関(運営管理機関)は多数あるため、まずはよさそうなところを複数ピックアップし、比較するところから始めよう。資料の取り寄せは退職前からできるため、早めに取りかかれば、退職後すぐにiDeCo口座開設に移れる。さらに、企業型DCに入っていたことを伝えれば、資産を移す手続き書類も予め一緒に届くため、手間が省ける。

金融機関を決めたら、掛金の金額を決めたうえでiDeCoの加入申し込みをし、金融機関が提示する運用商品の中から運用するものを選択する。

過去に運用してきた企業型DCの資産の移換は、加入申し込みと同時に「個人別管理資産移換依頼書」を金融機関に提出すればよい。あとは、金融機関が移換手続きを行ってくれる。

なお、移換する企業型DCの資産は同じ金融商品でそのまま運用を続けることはできず、移換時に一度現金化される。現金化された資産残高は、移換される金融機関が予め定めている預金や投資信託に振り分けられる。移換完了の通知が届き、自分の意志とは違う金融商品に振り分けられている場合は、商品を選び直してスイッチングする必要があるのだ。

「iDeCoの加入申し込みから口座開設までには、一般的に1~2カ月ほどの時間がかかるため、退職後3~4カ月以内には申し込みましょう。退職して加入資格喪失後6カ月以内にiDeCo口座開設ができていない場合、企業型DCで運用されていた資産は現金化され、国民年金基金連合会に自動的に移換されてしまいます」

(2018年6月8日追記)
2018年5月に企業型DC、iDeCoに関する制度の一部が変更され、
6カ月以内に移換手続きを行わなかった場合の取り扱いが変更となった。

退職・転職後に新たな企業型DCやiDeCoに加入すれば、移換手続きをしなくても、残高を管理する機関で同一人物であることが確認されれば、資産が自動的に移るようになった。

もし既に自動移換されてしまっている場合も、企業型DCやiDeCoに加入すれば、国民年金基金連合会にある資産が自動的に自身の口座に移される。

加入者側の負担を軽減させ、自動移換によって手数料が引かれる人を、今以上に増やさないための取り組みといえる。

■自動移換によって手数料が引かれ、運用も停止

iDeCoに移換しないまま、運用資産が現金化されて国民年金基金連合会に移換されると、資産の運用をできないばかりか、管理手数料が発生する。

「自動移換される時には、特定運営管理機関への手数料3240円、連合会への手数料1029円、合計4269円の手数料が現金化された資産残高から引かれます。さらに、資産を国民年金基金連合会に預けたままにしておくと、自動移換されてから4カ月目以降は月々51円の管理手数料が引かれます」

つまり、国民年金基金連合会に預けっぱなしにしていると、資産残高がどんどんと目減りしていくというわけ。もちろん、現金で預けられるため、運用利益などは一切出ないうえに、60歳になっても受け取れない。

加えて、国民年金基金連合会に預けられている間は、加入者等期間にもカウントされない。iDeCoは通算加入者等期間が10年に満たない場合、60歳から受け取ることができない。預けられた期間が長ければ長いだけ、受け取る年齢が繰り下げられてしまう可能性が高くなるのだ(最長65歳まで)。

「2016年3月末の段階で64万8427人分の残高が自動移換されており、その総額は約1667億9760万円(※1)。これだけのお金が個々の資産として運用されていないのは、もったいないですよね。厚生労働省も課題として認識し、2018年5月1日から移す先の口座(企業型DC・iDeCo)があれば、本人が依頼しない場合でも移換するという救済策を講じ始めています。ただし、本人が手続きすることが原則ではあります」

2018年3月現在で、自動移換者は73万4812人まで増えている(※2)。さらに、自動移換者の約4割は、手数料によって資産残高が0円になってしまっているそう(※1)。せっかく企業型DCによって積立てた資産がなくなってしまうことを考えると、自動移換されないうちにiDeCoに移すことは必須といえる。

※1 国民年金基金連合会「平成28年度 国民年金基金連合会業務報告書」より
※2 国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(平成30年3月時点)」より

■自動移換された資産はiDeCoに移換可能

国民年金基金連合会に自動移換された資産は、ずっと戻ってこないというわけではない。

資産を戻す手続きは、企業型DCからiDeCoに移換するときと同様。iDeCoに加入して口座を用意したら、金融機関に「個人別管理資産移換依頼書」を提出すると、国民年金基金連合会に預けられている現金が、iDeCoの口座に移換される。

「ただし、その時にも移換手数料として1080円引かれてしまいます。自動移換されるときの手数料と合わせて5000円程度取られてしまうので、国民年金基金連合会に自動移換される前にiDeCoの加入を進めた方が賢明です」

ちなみに、企業型DCに加入していたことを忘れて転職し、知らないうちに自動移換されている場合もある。心当たりがある場合は、基礎年金番号を手元に用意し、「自動移換専用コールセンター(03-5958-3736/平日9:00~17:30)」に電話すると、自動移換されているか調べてくれる。

転職や退職時は新たな仕事のスタイルに慣れることで手一杯で、iDeCoの口座開設や資産の移換などは、つい後回しにしがちだろう。しかし、せっかく税制面で優遇される制度となっているのに、手数料で損をしては元も子もない。転職する前から、手続き方法などを予習しておくと安心だ。
(有竹亮介/verb)

※記事の内容は2018年5月現在の情報です
<合わせて読みたい!>