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約160万人のビッグデータ分析がもたらした、新たな保険のカタチ

健康になるほど、保険料が安くなる! “健康年齢”を軸にした保険「ネオde健康エール」

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■「保険料が安くなる」という“きっかけ”で、健康促進を

「健康に気を遣いたい」と思っても、なかなか本気で生活を変えられないもの。そして仮に自分はできたとしても、家族や友人の健康が気になり「身体に気を遣って」と言っても当の本人が意に介さず、困ってしまうこともある。

健康が大切なのは百も承知。でも、本気でやろうとする“きっかけ”がない。そんな悩みをテクノロジーで解決する保険商品が登場している。ネオファースト生命の「ネオde健康エール」だ。

この保険は、特定の生活習慣病を患った際に、入院一時給付金を受け取れるもの。そこまでは通常の保険と同じだが、面白いのは、保険料が「健康年齢(※)によって変わる」ことだ。つまり、健康年齢が若くなるほど保険料が安くなる。

※健康年齢は、株式会社日本医療データセンターの登録商標。

「これまでの保険は、実年齢と性別で一律に保険料を決定するか、あるいは“喫煙の有無”といった生活習慣で“数段階”の保険料を設定するのが基本でした。ネオde健康エールは、お客さまの健康診断の結果をもとに、3年に一度、健康年齢を算出して保険料を決定します」

こう説明するのは、ネオファースト生命の菅原隆裕氏。たとえば、加入者の実年齢が40歳として、もし健診結果から算出された健康年齢が「実年齢通り」の40歳なら、月1782円の支払いとなる。しかし、健康年齢が「実年齢−5歳」の35歳なら、月1514円となる。
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仮に40歳から70歳の更新前まで保険に入り続けた場合、すべての健康年齢判定日で「実年齢−5歳」の健康年齢を続ければ、「支払う保険料の累計は、約26万円安くなります」と菅原氏はいう。

「商品の根底にあるのは、『多くの人に健康を維持してほしい』という思いです。そこで、健康促進の努力をして結果が出た人に、何か“喜び”を与えたいと思いました。あるいは、自分が健康に取り組む際も、または誰かに『身体に気をつけて』と言う際も、こういった“きっかけ”があれば変わると考えました」

ちなみに、商品では健康年齢の下限を「18歳」、上限を「実年齢+5歳」としている。当然、健康年齢が実年齢を上回れば、保険料は通常より高くなりデメリット。それなら、上限を「実年齢まで」とした方が加入者は増えそうだが、菅原氏は「健康年齢が『実年齢+1、2歳』の方は多い。その方たちが健康年齢を下げる喜びをより実感できる設定にして、“健康に取り組む人”を増やしたかった」と話す。
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■健康年齢の裏にある、「約160万人のビッグデータ」と「最新の分析技術」

さて、問題はどのように健康年齢を算出するかだ。実はここにテクノロジーが関わっている。

「健康年齢の算出方法については、約160万人の健診データや診療報酬明細書(レセプト)等のビッグデータをもとに決めました。血圧や血糖値、尿蛋白など、健診結果にはさまざまな項目がある中で、まず保険対象となる生活習慣病と相関の強い項目はどれなのか、ビッグデータを分析していったのです」

ネオde健康エールでは、健康年齢を算出するために必要な検査項目が7〜8個定められている。男女によってその項目は変わり、男性なら体格(BMI)や血圧(最高値・最低値)、尿蛋白などが対象だ。健診結果におけるこれらの数値を提示すると、健康年齢が算出される。

今回、その検査項目の決定と、各項目の数値から健康年齢を算出するシステム構築が行われた。約160万人のビッグデータは、日本医療データセンターが提供したものを活用。さらに、健診の数値から健康年齢を算出する技術については、みずほ第一フィナンシャルテクノロジーの分析技術が用いられた。

「必要な検査項目が男女で違うのも、性別によって発症しやすい生活習慣病の種類や、その病気に関連する検査項目が異なるためです。たとえば女性は中性脂肪の数値が検査項目に含まれますが、男性にはありません。こういった設定にたどり着けたのは、ビッグデータと最新のデータ分析技術があったからこそです」
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ネオde健康エールは2017年10月にリリースした商品だが、その約1年前に健康年齢を軸とした保険商品を発売した。今後は、健診結果だけでなく「生活習慣や食生活などの要素も追加していくかもしれない」という。

「まだまだ健康年齢の算出方法も改良できると思いますし、健康年齢を出すだけでなく『こういう結果の人は、この病気になりやすい』などの情報も、データ分析から示せるといいですね」

この商品を作れた要因について、菅原氏は「良いパートナーと出会えたこと。そして、新しいことにチャレンジし続けた姿勢」だという。最新のテクノロジーを有する人たちが手を組み、新たなものを作る。そして、人が動く“きっかけ”を生んでいく。まさにそんな商品の一例だ。
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(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2018年5月現在の情報です