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MAB投信だより

人気極めるインド関連ファンド 死角はあるか

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

● モディ政権下においてインド経済は好調さを持続している。米国との良好な関係もインド投資の魅力を高めている。

● これらを背景に、投信市場においても、インド関連ファンドは、新興国関連投資の主役となっている。

● ただ、政策金利の引き下げ余地が限られるなど、一時のようにすべてにおいて好環境とは言い切れない点には注意を払っておきたい。

1.米国との良好な関係のもと、モディ政権下で好調なインド経済

インド関連投資の人気が継続している。

昨年の初頭に、トランプ政権下の投資術として新聞紙上でインド投資の魅力を取り上げたが、米新政権が米国ファーストを唱え不透明感が漂う中、インドはアジアの中では米国の貿易赤字額が小さく貿易政策の影響や軋轢が生じにくいことや、地政学的にも落ち着いていることに注目した(図表1)。

また、エネルギー自給率が低いインドにとって原油価格の下落がインフレ抑制にプラスに働き、政策金利の引き下げ余地が拡大する点、さらにはモディ政権の政策実行力への期待を評価した。

図表1:米国との貿易関係(貿易赤字に占める割合と米国への貿易依存度)

※米国商務省、国連HPより三菱アセット・ブレインズ作成

その後、インフレが落ち着いたことにより政策金利の引き下げが進み、モディ政権による高額紙幣の突然の廃止や全国一律の物品・サービス税(GST)の導入といった、強引ともいえる政策運営も、高い支持率のもとで好意的に受け止められてきた。

最近は、トランプ政権の輸入関税引き上げ表明の報道により、米政権発足時に話題となった貿易赤字問題が再び注目を浴びているが、この点でも、インドへの影響は比較的軽微なものに止まりそうだ。むしろ、米国にとって戦略的なパートナーとしての位置づけは高まっている。

2.新興国投資で主役のインド関連ファンド

世界的な景気回復を背景に、新興国株式は2年半ぶりに純資産残高が4兆円近くに達した。そのうちの3割強(1兆3千億円)はインド株式に投資するファンドが占めている。直近1年間でも5千億円を上回る資金が流入した。

また、新興国債券においても、インド債券に投資するファンドの残高は5千億円を超え、単一国としては長らくトップであったブラジルを上回った。こちらも新興国債券関連ファンド全体の2割強を占めている(図表2)。

図表2:新興国株式・債券ファンドにおける投資対象地域・国の残高構成

インド関連ファンドは新規設定も続いており、直近1年間において、株式で6ファンド、債券では4ファンドが新たに設定された。また、新興国関連の残高上位ファンドにも株式では上位20ファンド中に10ファンド、債券では5ファンドが入っている(図表3)。

図表3:インド関連ファンド(純資産残高上位5ファンド)

3.政策金利の引き下げ余地は次第に限定的に

経済は、車のハンドル操作のように急に曲がることはなく、船の面舵のようにゆっくりと変化していく。当面は、モディ政権のもとで堅実な運営がなされていくことが期待される。IMFの見通しでも、インドは先進国やBRICSのなかで一番高い経済成長率が見込まれている。

ただし、以前に想定していた環境が少し変わってきている面もある。エネルギー価格はOPECの減産合意などからジワジワと上昇しており、輸入に頼るインドではインフレ圧力になる。

貿易収支や経常収支が赤字で外国資本に頼るインドは、米国の金利上昇も金利上昇圧力に繋がりやすい。足元の物価上昇率はインド中央銀行が目指すインフレターゲットの4%をやや上回る水準にあり、政策金利の引き下げ余地も少なくなってきた(図表4)。

米国との関係や地政学リスク、経済成長見通しは良好だが、インフレ動向には注意を払っておきたい。

図表4:CPI,政策金利、長期金利の推移

※本レポートにおける公募販売ファンドは、ETF、ラップ専用、DCを除く、投資信託を対象としている。

(MABファンドアナリスト 勝盛)