退職から1年以内に申請しないと受け取れない!?

「失業保険」の受給条件&手続き方法

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心機一転、転職で会社を辞めることや、勤めている会社が倒産…という状況がないとは言い切れない。しかし、一時的に仕事がなくなったからといって、収入もゼロになるわけではない。雇用保険に加入していて条件を満たせば、失業保険の給付(以下「基本手当」)を受け取ることができるのだ。

今回は、基本手当の受給方法を社会保険労務士の土屋信彦さんに教えてもらった。

半年または1年以上の雇用保険加入期間が必須

基本手当は、「本人に就職する意思と能力があり、積極的に求職活動を行っている」にもかかわらず、それでも就職ができないときに受け取ることができる、というのが大前提だ。

さらに条件として注意すべきは、雇用保険に加入していたからといって、誰でも基本手当を受け取ることができるわけではないということ。

「自己都合などで退職する場合、雇用保険に加入している状態で、退職前2年間のうち、11日以上出勤した月が12カ月以上あることが要件となります。一般的なビジネスマンであれば、1年以上働いていれば受け取れるということです」(土屋さん・以下同)

リストラや倒産など会社都合で退職する場合は、雇用保険に加入している状態で、離職前1年間のうち、11日以上出勤した月が6カ月以上あれば基本手当受給の対象となる。

支給金額や日数は、年齢や年収によって異なる

ここからは基本手当を受け取るための手続き方法を、確認していこう。基本手当を受給するには、「雇用保険被保険者離職票」(以下「離職票」)が必要になるが、勤めている会社で離職前に手続きをすることで、離職後に会社から離職票が2種類交付される。

「離職票」と必要な書類などを揃えたら、住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)で求職の申し込みを行う。必要なものは以下の通り。

失業保険受給の手続きで必要なもの

・離職票(2種類)
・銀行の通帳(本人名義の普通預金口座に限る)
・マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、マイナンバー記載の住民票のいずれか1種
・運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した写真付きの身分証明書・資格証明書などのうちいずれか1種(いずれもない場合は公的医療保険の被保険者証、年金手帳など2種)
・写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
・印鑑(スタンプ印は不可)

求職申し込みの際には、「離職票」とあわせて「求職申込書」をハローワークの窓口に提出し、簡単な面接の後、失業保険の受給資格が決定する。この日が“受給資格決定日”となる。その後、指定された日時の「雇用保険受給者初回説明会」に出席すると「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」が渡される。

会社都合などでの退職(特定受給資格者)の場合、受給資格決定日から7日間の待機期間を満了したのち、定められた回数以上の求職活動を行い、4週間後の“失業認定日”にハローワークで失業の認定を受けると、1週間前後で基本手当が振り込まれる。

なお、自己都合などのそれ以外での退職の場合は、7日間の待機期間満了ののち、3カ月の給付制限があり、給付制限が完了した後は同様の手続きとなる。

1回目の失業認定日から求職活動を行い、4週間に一度、ハローワークで失業の認定を受けるたびに、基本手当が振り込まれることになる。ちなみに、基本手当の支給額と給付日数は、退職時の年齢や給与額に応じて異なり、基本手当の支給額は以下の式で算出される。

基本手当日額=賃金日額×給付率(年齢や賃金日額により45~80%)
※賃金日額=退職直前6カ月間に支払われた賃金総額(6ヶ月間働いた場合、賞与や退職金等は除く)÷180、ただし年齢により上限額あり。

平成29年8月1日現在の基本手当日額の上限は、30歳未満が「6710円」、30歳以上45歳未満が「7455円」、45歳以上60歳未満が「8205円」、60歳以上65歳未満が「7042円」となり、それぞれに28をかけた値が月額の給付額に。ただし、基本手当の上限額は賃金日額が1万4000円前後の人の場合。平均年収の30代前半の会社員であれば、基本手当日額は5000~6000円程度となる。

受け取ることができる期間(給付日数)は、離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって変わる。

例:自己都合での退職の場合

例:会社都合での退職の場合

※最上段が「雇用保険の被保険者期間」、左端の列が「離職日の年齢」
※最上段が「雇用保険の被保険者期間」、左端の列が「離職日の年齢」

失業保険は、再就職する人を支援するための措置

「安定した職業に再就職が決まったタイミングで、基本手当の給付日数が所定の1/3以上残っていたら、『再就職手当』がもらえます。支給額は支給残日数×50%×基本手当日額(60~64歳を除き、上限額5,830円)。基本手当をもらい続けるために支給日数ギリギリまで就活していなければ損になる、というわけではないのです」

そのほか、自己都合で退職し、給付制限の3カ月以内に再就職が決まって基本手当を給付しなかった場合は、雇用保険の加入期間を新しい会社に引き継ぐことができる。

失業の際の求職活動中に困らぬよう、手厚くサポートしてくれる印象の基本手当だが、申請時の注意点もあるという。

「病気やケガ、出産、育児、親族の介護などの理由で退職し、すぐに再就職できない場合は、受給資格がもらえません。ただし、挙げたような理由であれば、最大で4年間、離職日の翌日から受給期間を延長できるので、退職時にハローワークで手続きしましょう」

ちなみに、退職した日から1年経つと、原則、基本手当の受給資格は失効してしまう。受給資格決定日ではなく離職日というところがポイント。たとえ支給日数が残っていたとしても、離職日から1年が過ぎると失業保険はもらえなくなる。ハローワークへの求職申込書の提出は、早めに済ませよう。

職業訓練と組み合わせて活用するのも一手

再就職に向けてスキルアップしたいという要望を叶えるため、ハローワークでは無料でパソコンなどの専門知識を学べる「職業訓練」という制度がある。その申込み方法やメリットも聞いた。

「基本手当の受給資格がある場合は、希望する職業訓練を実施する職業訓練校の窓口に、受講申込書を提出し、選考を受けます。面接や試験を受ける場合もあり、合格したら職業訓練を受けられます」

職業訓練の多くのコースは無料で通うことができ、要件によっては受講期間中の基本手当の受給期間を延長することが可能となる。さらに、自己都合退職では3ヶ月間の給付制限期間があるが、職業訓練を受ける場合には給付制限の例外措置となり、基本手当をすぐに受け取ることができる。ただし、給付日数自体が変わるわけではなく、あくまでも前倒しで受け取ることができるだけ、という点には留意しよう。

いざという時は、きちっと手続きをして、基本手当を受け取り、職業訓練といった制度を活用することで、求職活動も余裕を持って進められるようになるはずだ。
(有竹亮介/verb)

※記事の内容は2018年5月現在の情報です