プロが語る!資産形成のすゝめ

物価の上昇に備えよう!

提供元:三菱UFJモルガン・スタンレー証券

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グローバルでは物価上昇が進行中

北朝鮮の問題やフランスの選挙戦など、リスクを意識する局面もあった2017年前半ですが、世界全体では景気回復が続いており、消費者物価が緩やかに上昇しています。原油を中心に資源価格(原材料コスト)は安定的に推移しており、企業間取引での価格上昇ペースが先行して加速しつつあります。海外で値上がりしたモノやサービスが日本に輸入されれば、たとえ円安にならなくても日本の物価は影響を受けます。

日本の物価上昇ペースは今のところ緩やかだが…

日本国内に目を転じると、少子高齢化を伴う人口減少が物価に及ぼす影響を考える必要があります。人手不足による深夜営業中止の動きやアルバイトの時給上昇、非正規雇用の正社員化が昨今話題を集め、失業率が3%を切るなど労働需給の逼迫が顕在化しつつあり、人件費の上昇圧力が高まっています。

また、高齢化の進行による医療介護ニーズの増加と膨大な社会保障費による国家予算の圧迫や医療介護業界での働き手不足の深刻化が懸念されています。今後予想される動きとして、医療保険制度によって低く抑制されている診療報酬の引き上げや自己負担比率の拡大と賃金引上げなどが考えられ、これら全てが物価上昇の方向に作用すると見込まれます。

一方で、人口が減少すると空き家が増えて家賃が下落する可能性が指摘されています。しかし、米国では既に導入済みの「家賃の品質調整」が日本でも導入されれば、下落部分の多くが相殺される可能性があります。品質調整とは、例えば家賃が変わらなくても、住宅は経年劣化していきますので、実質的に値上げされたとみなす計算方法です。日本でも総務省が将来的な導入を現在検討しています。

近い将来の物価上昇を見据えて

物価が上昇するということは、現金の価値が下がるということなので、これを防ぐために物価上昇に強い商品に投資をして、金融資産を守る必要があります。物価上昇分を吸収できる見込みが高い国内株式や、円安による物価上昇分を補える見込みがある外貨建て資産などが投資対象として考えられますが、これらは物価上昇以外の理由でも値が動きますし、その変動幅は相対的に大きくなる傾向があります。

そこで、値動きのリスクが相対的に小さく、物価上昇分を確実に補うという役割が期待できるのが「物価連動国債」です(ただし、中途換金をしない場合)。通常の国債との違いは、消費者物価指数(生鮮食品を除くCPI)に連動して元本が増減するという仕組みになっている点です。利率が固定されている債券ですが、元本が変動するため、利金額も償還金額も変動します。ただし、物価が下落しても償還金額は額面を下回りません。

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物価上昇に強いバランス型ファンド

今後は、物価が上昇していく局面で強みを発揮すると見込まれる資産を中心にバランス良く資産を保有することが肝要と言えます。分散投資の基本は値動きの異なる資産を組み合わせることです。国内の株式・債券に留まらず、外貨建ての資産に目を向けることが重要でしょう。

加えて、実物資産との距離が近い有価証券を考えてみてもよいかもしれません。例えば、不動産を証券化した不動産投資信託(リート)や金価格と連動する特性を持つ、金ETFなどが挙げられます。今日では、さまざまな指数に連動するETFも販売されていますので、個人の方でも世界中の資産を活用して分散投資をすることが可能です。また、「運用のための時間が取れない」、「上手に運用する自信がない」という方は、バランス型ファンドを利用するのもひとつの方法です。自分にあった金融商品を選びましょう。

( 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資顧問部 清水 利彦 )

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