プロが語る!資産形成のすゝめ

MSVロボアドの責任者が解説

ETFとロボアドの密接な関係とは

提供元:マネックス証券

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国内の個人投資家にはなかなか浸透が進まないものの、金融のプロが幅広く活用しているETFの魅力とはどのようなところにあるのでしょうか。また、このETFと相性がよいと言われるロボアドバイザーの特徴とはなんでしょう。マネックス・セゾン・バンガード投資顧問のMSV LIFE統括責任者 野水 瑛介氏に聞きました。

──まず、野水さんの自己紹介からお願いします。

野水 私はマネックス・セゾン・バンガード投資顧問株式会社で、いわゆるロボアドバイザー(ロボアド)サービスを昨年9月から提供しています。当社のロボアドとETFは密接な関係にあります。

──ETFは基本的に株式など1企業に投資するのではなく、パッケージ商品のようにひとつで分散投資できるという魅力があると思うのですが、ETFはどういうときに使っていくとよいのでしょうか。

野水 ETFを簡単に言うと、株式と投資信託のいいとこ取りです。投資信託的な要素としては、パッケージ商品でいろいろな金融商品が入っているところです。ただ、投資信託は値付けが1日1回なので、自分が好きなタイミングで売買したいというアクティブトレーダーの方にはあまり向かないのです。個別株なら、基本的に取引時間中はいつでも売買ができます。

この2つの要素が合体したのがETFで、日本語で上場投資信託と呼ばれる通り、いつでも売買でき、ひとつ買えば幅広く分散投資できるのが特徴です。トレーディングしたいけれど分散投資もしたいという欲張りなニーズに応えてくれます。

──そうすると、比較的長期よりは短期が向いているのですか。

野水 長期や短期ではなく、両者のニーズを満たすものですね。長期保有してもいいし、短期売買もできます。ユーザーを選ばないというのがETFです。つまり懐が深い商品なのです。

──ユーザーを選ばないETFですが、なかなか国内の個人投資家には広まっていませんね。

野水 それは金融機関によるプロモーションが足りないのかもしれませんね。でも、ETFの有用性を知っているプロの間ではよく活用されています。金融機関は、これからはフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)の観点からも、ETFが商品ラインアップにあることをきちんとお客様に提示していくことが必要ですね。情報源として近年注目されている個人の投資ブロガーさんの間でも、ETFは高く評価されています。

──プロと個人ではETFの使い方に違いがありますか。

野水 基本的には変わりません。プロの世界で最近増えているトレンドとしては、銀行などが自己勘定のお金の運用先としてETFを使うケースです。利回りがほとんど見込まれない日本国債以外の投資先として注目されているのが米国です。米国株に投資したいというときに米国上場の米国株ETFが好んで使われている印象です。プロは投資ニーズが細かく決まっており、カスタマイズできることが必要です。それに応えられる機動性があるのがETFなのです。

──銀行などのプロ投資家にとってETFはあたりまえの存在なのですね。

野水 そうですね、プロ投資家の間ではETFはあたりまえかつ重要な存在になっています。個人投資家の間でも、「貯蓄よりも資産形成へ」という意識変化が本格的に生まれ、その担い手としてETFが存在感を高めていくかもしれません。日本上場のETFのメインターゲットは個人投資家のはずですから、プロモーションもこれから増えていくと思います。

──米国のETFの状況はどうなっているのですか。

野水 米国でETFが誕生したのは1990年代で、バンガードがETFビジネスに参入したのが2001年です。当初は数十本しかなかったETFですが、現在では世界で約6000本、市場規模もおよそ340兆円まで成長しています。市場の約7割のシェアをたった3つの運用会社が占有しています。ブラックロック(iシェアーズブランド)、バンガード、ステートストリート(スパイダーブランド)です。こうした爆発的な成長のエンジンになったのが機関投資家(プロ投資家)です。個人投資家のシェアも、IFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)がETFを強く推奨することで大きく伸びています。

米国のIFAは1回1回の売買取引ではなく、運用残高全体に対して一定料率をかけた金額が報酬になっています。いわゆるコミッション収入ではなくフィー収入が収益の柱のため、手数料を少しでも削減して残高を増やしたいというインセンティブが働き、個人に積極的にETFを推奨しているのです。

──そこには日本と大きな違いがありますね。

野水 そもそも売買取引から手数料を取るビジネスモデルが中心の日本では、総じて低コストのETFは、全面的にはおすすめしにくいですよね。これが日本の個人投資家の間でETFが広がらない理由の1つだと思います。だから情報感度の高い一部の個人投資家だけが賢く利用しているという状況なのです。

──なるほど。日本と米国での風土の違いがあるのかもしれませんね。野水さんは、ロボアドの責任者でもありますが、ロボアドにはどんな種類があって、どうETFは活用されているのですか。

野水 ロボアドは、クルマの運転に例えると分かりやすいかもしれません。マニュアル車でカーナビも付いていないのがプレーンの状態です。これを好むのは運転自体が好きな方、そして自分の動物的勘や風を感じながら運転したいという方です。アドバイス型のロボアドは、カーナビが付いているイメージです。行きたい場所をナビにセットすれば、あとはその通り自分で運転すれば目的地に到着することができます。

おまかせ運用である投資一任運用型のロボアドは、カーナビが付いていて、さらにハンドルすら握る必要もない自動運転車のイメージです。なお、ETFはお客様のリスク水準に応じたポートフォリオの構築のために使っています。ETFは低コストで流動性も高いので便利なのです。

──クルマの完全自動運転もいよいよ現実のものになろうとしている流れの中で、ロボアドも同じように進化するのでしょうか。

野水 ロボアドはツールの1つとして少しずつ市民権を得ていくと思いますし、機能面でもどんどん進化していくと思います。しかし、完全自動運転でもそうですが、重要なことはそもそもクルマに乗ってどこかに行きたいのか?ということです。行き先までは教えてくれませんからね。資産運用でも、何がしたいのかをしっかり考える必要があると思います。「どこかに行きたい!」と思わない限りクルマには乗ろうなんて思いませんよね。

──乗らないと、どこにも行けないですものね。

野水 まずはクルマに乗っていただかないことには、マニュアルがいいか、ナビが必要か、自動運転がいいかはわからないですよね。運転技術に不安があるという初めての方が選ぶクルマは自動運転がよいでしょうし、せめてカーナビはあった方がよいと思います。

──慣れてきて自分で運転してみたくなったら、マニュアル車を選ぶとか、カスタムしていく、という流れですね。

野水 色々分かってくると自分の手でやってみたいというニーズが生まれてくるのはごく自然なことです。ロボアドからはじめてみて、アクティブトレーディングに興味が出ることもあるでしょう。

──投資に精通している人は、自分でポートフォリオを組めるので、ロボアドなんていらない…と思ってしまい、難しいところですね。

野水 よく「ロボアドを使うと儲かるの?」という質問をされますが、これはロボアドを誤解している質問だと思います。もちろん儲かるためにやっているわけですが、ロボアドでは市場全体に低コストで連動させることを目指していて、つまりベータしか取っていませんから、それ以上のプラスアルファを出すことをはじめから狙っていないのです。ですから、世界全体の株式相場が軟調に推移すれば、損することだってあります。

逆に、世界全体が経済成長していけば、世界に分散投資をしているわけですから、長期的には儲かることが期待されます。ロボアドでは、自分のリスク許容度に適合した資産運用が可能で、面倒なリバランスを自動化できたり、人の苦手とする「継続したコツコツ型の投資」を実施できます。地味で、面白味がない教科書通りのことを、淡々と愚直にやれるのがロボアドの魅力です。圧倒的に勝つというより、負けにくく、手堅い守りの資産運用がロボアドなのです。

──勝つのではなく、負けにくい。そこは個人の方が抱くロボアドに対するイメージとかい離があるのかもしれません。感覚がマッチしてくると、ロボアドはもっと広がっていくのでしょうね。

野水 テクノロジーがいくら進化しても、すべてがアルゴリズムに置き換わるということはないと思います。大切なお金の使い方を決めるのは最終的にはやっぱり人間。相談相手として人間にしかできないこともあります。ロボアドにはロボアドの強み、人間には人間の強みがあります。共存共栄していくと思いますよ。

──本当にそうですね。今日はありがとうございました。

野水 ありがとうございました。