日本株×長期投資の「さわかみ投信」澤上氏

長期投資のプロが語る!誤解しがちな「投資の鉄則」

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長期投資のプロが語る!誤解しがちな「投資の鉄則」
登壇した澤上篤人氏。力強い身ぶり手ぶりを交えつつ、1時間にわたる熱弁を振るった

「投資」と言われて抱くイメージは千差万別だろうが、ちょっと身構える人も多いのが事実だろう。たしかに初心者からすると、わからないゆえに恐れてしまう気持ちはよくわかる…。そんななか、「初心者の誤解が解くようなイベント」があるという話を聞いた。去る10月30日、「投資の日(10月4日)」を記念するイベントの一環として、東京証券取引所で開催されたセミナーだ。

セミナーのメインは、日本株を主体とした長期投資で実績を残している直販系の投資信託会社「さわかみ投信」取締役会長・澤上篤人氏による講演。テーマは「日本橋兜町で学ぼう、考えよう、楽しもう『長期投資がもたらす明るい未来』」。

明るい未来? 正直、あんまり想像できない。そもそも、投資ってなんだか怖いイメージがあるし――そんなことを考えていたら、澤上氏の講演は「今、あなた方が考えている投資はマネーゲーム。損をしたくない人がお金を取り合っているだけ」との厳しい言葉からスタート。そう、まさに、そこが投資=怖いのイメージの元なんだよ。

■お金は額に汗して稼ぐもの。マネーゲームでは儲からない

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のっけから語気が強い言葉で会場を盛り上げる澤上氏

澤上氏は「マネーゲームでお金がバンバン儲かるなんてあり得ない。本来、お金は額に汗して稼ぐもの。そもそも、投資の本質とは、応援したい企業の株をみんなが売っているときに買って株主になること」と続ける。

長期にわたって企業を応援することを前提としていれば、短期的な株価の波に右往左往させられることもない。買ったときの値段より高くなったら、どこで売っても投資のリターンは得られるとの考え方だ。

しかし、これは経済が成長して会社の株価が上がることが前提の話。そもそも、日本や世界の経済は今後も成長するのだろうか? きっと、参加者全員がそう思ったであろうそのとき、澤上氏は今後、世界経済が成長する明確な根拠を語り出した。その最大のポイントとは「人口の増加」だ。

■人口の増加で需要が増えれば、必ず経済は成長する

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ホワイトボードには2050年までの人口推移、平均株価、債券取引状態など、所狭しと描かれた

澤上氏いわく「現在の世界人口は73億人だが、2050年の予測は97億人。この数字に向かって、毎日17万8000人ずつ増加している。現在、先進国ならびに先進国並みの豊かな暮らしを享受している人々が17億人いるが、その横で新興国の46億人はより豊かな生活を求めている。そうなると、エネルギーも資源も食料も水も足りない。需要が増え続け、供給体制がどんどん強化されれば、経済は成長するに決まっている。ここに長期の株式投資のメガトレンドが発生する」とのこと。

さらに「現在は金融バブル崩壊の後始末で各国が大量に国債を発行し、未曽有の財政出動が行われ、お金がジャブジャブに余っている異常な状態。買われすぎたものは必ず売られるので、いつかは国債が売られて金利が上昇する。債券がボロボロに売られ出したら、生き残ったお金は株式へと向かう」と澤上氏は続けた。

ほかにも、高度成長期から金融バブルに至るまでの歴史と年金の関係や成熟経済に入った日本がさらに成長するための条件など、興味深い話が満載。ちなみに、ほぼ同じ内容の動画が、「+YOU(ニッポン経済応援プロジェクト)」のホームページから観られるので、時間があればぜひチェックしてほしい。

イベントはこのあと、柳家三三師匠の口演と続いたが、講演後の澤上氏にインタビューする機会を得たので、ズバリ儲かる長期投資の方法を聞いてみることにした。

■イベント終了後、澤上氏に直接取材。“儲かる長期投資の方法”を聞いた

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講演後、1時間にわたって取材を受けていただいた。お疲れのところ、ありがとうございました!

――講演、お疲れ様でした。少し難しい部分もありましたが、興味深く拝聴しました。

「今日はすでに投資をしている年配層が多かったので、専門的な話も入れました。ほかのセミナーでは若い女性も増えてきていて、そんなときには、もっと直感的な話もしていますよ」

――直感的とは?

「例えば、長期投資には経済や投資の勉強はいらないとかね」

――適当に買ったら絶対に損しちゃうのでは…。

「適当に買ってはダメですよ。長期投資は企業を応援しようとするところが肝となる。だから、自分が普段使っているサービスを提供していたり、無くなったら困る製品を作ったりしている会社の株を買いなさいと話しています。プロの会社研究以上に、実際の生活で製品を使っている生活者の感覚は信頼できますから。特に女性はこの感性が鋭い」

――ちなみに、「安いときに買って高いときに売る」とのことですが、安いときの見極め方は?

「まずは応援したい企業をいくつか決めておく。その上で、いつでもいいので、ある起点を決めます。その起点から大きく下げたら買えばいい。もし、そこから下げても放っておきましょう。生活者が大事だと思う企業の株価は長期的なトレンドで見ると、どこかで上昇します。短期的な値動きでアタフタせずに、上がるまで待っていればいい。それに、応援という気持ちさえあれば、株価が下がってもそれほど腹は立ちません」

――私は損をする恐怖で夜も寝られないかも……。

「それは、マネーゲームの投資をしているから。まずはしっかりと働いてお金を得る。そして、余裕があるお金の一部を企業応援の意味も込めて長期投資に回して、お金にも働いてもらう。配当利回りも預貯金の金利よりは効率がいいでしょう。そして、株価が上がったら売ればいい。株価が下がったらまた応援買いをする。その繰り返しです」

――投資といえば勉強が面倒、プロがやるものといったイメージを持っていましたが、試しにお気に入りの製品を売っている企業の株を買ってみようかという気分になりました。

「長期投資は変な知識がついていない、まっさらな状態のほうが向いています。あとは、若ければ若いほど、資産形成にかけられる時間が長いので有利。先ほどの講演でも話したとおり、これから10年、15年は株式が非常に面白くなると思っています。私は自分の年齢からして、最後の大勝負だと思っていますが、若い人はこういったチャンスが何度もありますからね」

講演とインタビューから、自分が考えていた投資は、短期売買のことだったと実感。長期投資なら難しくなさそうだし、まずは損得を考えず、余裕のある範囲からでもスタートできる。応援したい企業の株を買って、パトロン的な気持ちでゆったりと投資するのもいいのかもしれない。

(コージー林田)

記事提供/『R25』

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