生命保険、住宅ローン、DCは押さえるべし
「会社員の節税テク」、組み合わせで10万超も!
将来の貯蓄を増やすためには、収入を上げるか、生活の支出を減らすかの努力が必要だ。しかし、それは決して簡単ではない。であれば、現状の給料や生活コストのままでも、懐が潤う方法はないだろうか。
そのひとつとして考えられるのは「節税」だが、個人事業主や法人ならまだしも、一般の会社員ではあまりやりようがない…。と思いきや、会社員でもできる節税テクはある様子。たとえば近年話題の「ふるさと納税」も一例。それ以外にも、意外と見落としがちな方法があるらしく、2月16日から3月15日までの1カ月が期間となる「確定申告」を行えば、多く払いすぎた税が返ってくる…という寸法だ。そこで、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さんに、会社員ができる節税テクを5つ挙げてもらった。
【1】生命保険料控除
会社員が、まず押さえるべきは「生命保険料控除」。生命保険や個人年金保険、あるいは2012年以降に契約した医療保険などの保険料の一部は、所得税と住民税を計算する際の所得から控除される。
まず所得税について。すべて2012年以降の契約で、たとえば3つの保険それぞれの保険料が年8万円超であれば、一律4万円、計12万円が控除となる。所得税率が10%の人なら1万2000円、20%の人なら2万4000円の税金が返ってくるわけだ。
一方住民税についても、各保険の保険料が年間5万6000円超なら各2万8000円が控除対象となる。ただしこちらは、3つの合計で7万円が上限。住民税は10%なので、7000円の節税になるようだ。もちろん、保険料がこれより少なくても、段階的に控除される。
【2】住宅ローン減税
住宅ローンを支払っている人は、必ず行った方がいい節税。基本的には、住宅ローン残高の1%分を、10年にわたり、毎年所得税から控除する(年間最大40万円)。所得税で引ききれなければ、住民税からも引かれる。仮に年間20万円が控除となれば、所得税が20万円戻ってくるのだ。
【3】個人型確定拠出年金の利用
2017年より加入対象者が拡大する「個人型の確定拠出年金」。原則的に60歳まで受け取ることはできないが、掛け金が全額所得控除される利点がある。上限の月2万3000円(企業年金のない会社員の場合)を毎月掛けていれば、年間最大27万6000円が所得控除の対象に。所得税率が10%なら2万7600円、20%なら5万5200円が浮くこととなる。
住民税も同様で、27万6000円の10%分となる2万7600円が浮く。確定拠出年金は運用するためマイナスになる心配もあるが、損失リスクを抑えた「元本確保型」も存在する。それらを「節税目的」で使うのも有用なようだ。
【4】生命保険などの一時所得
生命保険や学資保険が満期で返ってくる際、一括で受け取ると、その金額は「一時所得」として課税対象となる。ただし年間50万円の利益までは特別控除があり、非課税で受け取れる。もし満期のうち100万円が利益で返ってくる場合、12月に半分、翌1月にもう半分を受け取るなど、年をまたいで分割すると税金はかからない。仮に一度に解約すると、所得税は税率10%の場合でも、住民税と合わせて5万円納税しなければいけない。
【番外】通勤手当の非課税枠
多くの人には関係ないだろうが、遠方から会社に通う人がチェックしておくべき項目を挙げておこう。それは、通勤手当の非課税枠だ。これまでは月10万円までの通勤手当が非課税だったが、2016年1月1日より、最高15万円に引き上げられた。1年間で15万円×12カ月=180万円が非課税枠となる。年末調整の際にはきちんと確認しておこう。
保険などには節税可能な制度が紐付いている場合もあるが、それらはつい見逃しがち。八ツ井さんも、「節税のために無理に保険に入る必要はありませんが、入っている分については、節税できるかどうか確認してみるべき」とアドバイスする。心当たりのある人は、さっそく調べてみよう!
(有井太郎)
記事提供/『R25』
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八ツ井慶子
生活マネー相談室代表。ファイナンシャルプランナー。大手信用金庫に勤めたのち、2001年より家計の見直し相談センター相談員として活動。2013年より現職となる。CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を持つ。