オプション取引や先物取引も可能?
●百年から存在していた!?「証券取引所」の歴史
株取引が行われる“証券取引所”といえば、手サインと怒号が飛び交うイメージがあるが、現在は取り引きもオンラインが中心となっており、静かなもの。最近ではAIによる株の売買も行われているなど、随分スマートになってきているが、そんな証券取引所の歴史をご存じだろうか?
●現代証券の起源は「東インド会社」
調べてみると、世界最古の証券取引所とされているのは、オランダの「アムステルダム証券取引所」。なんと1602年の設立だ。
その誕生のきっかけは、同じく1602年に設立された世界初の近代的株式会社「オランダ東インド会社(VOC)」。株の売買自体は13世紀頃から始まっていたようだが、当時の株主には“無限責任”が課され、企業で事故や問題が生じた際に出資額以上の補償を請求された。そのため、出資者は家族や同族が一般的だったという。そんななか、VOCは“有限責任性”を取り入れ、株主が出資額以上に失わない仕組みとした。そのため、株を買いやすくなり、売買が活発化し、VOCの株取り引きのため、アムステルダム証券取引所が設立された、というわけだ。
後にアムステルダム証券取引所では株式に限らず、商品、為替、海上保険など、あらゆる金融商品が取り引きされた。しかも、株式に関しては当時から信用取引やオプション取引も存在していたというから驚きだ(1612年にオランダ政府はオプション取引を禁止とした)。
●約400年以上の歴史は脈々と受け継がれる
アムステルダム証券取引所の歴史はその後も象徴的。時代が進み、1972年にはハーグ・ロッテルダム証券取引所と合併。1997年には、EOE(ヨーロッパ・オプション取引所)と合併してアムステルダム取引所となった。そして2000年9月には、パリ証券取引所、ブリュッセル証券取引所とともにユーロネクストを創立し、ユーロネクスト・アムステルダムへ。現在のEU圏内を中心に国際企業の株式発行、国際銘柄の株式売買を増加させていった。2007年にはユーロネクストとNYSE(ニューヨーク証券取引所)が合併し、証券取引所のグローバル再編の波をまさに表しているといえる。
システムは変わっても、根本にある仕組みは変わっていない。400年以上の歴史を積み重ねてきた証券取引所は今後どのように変わっていくのだろうか。
(有竹亮介/verb)
【参考文献】
『金融の世界史 バブルと戦争と株式市場』(板谷敏彦/新潮社)
『図説 ヨーロッパの証券市場〈2009年版〉』『図説 ヨーロッパの証券市場〈2012年版〉』(日本証券経済研究所)
記事提供/『R25』