「世界経済の比率をベースに」「国内投資はTOPIX」

人気投資ブロガーが推奨する“初心者向け投資法”

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「株価が何%まで下がることに耐えられるか、個人差があります」とkenzさん。株価が下がっても売らなければ損益は確定しないが、それがなかなか耐えられないのだとか 写真:ケイーゴ・K / PIXTA(ピクスタ)
「株価が何%まで下がることに耐えられるか、個人差があります」とkenzさん。株価が下がっても売らなければ損益は確定しないが、それがなかなか耐えられないのだとか
写真:ケイーゴ・K / PIXTA(ピクスタ)

投資未経験者が、金融商品の購入に踏み出せない理由のひとつは、“何に投資すればいいかわからないから”。しかし、そんな迷いを抱える人に適した投資手法として「インデックス投資」なるものがあるとか。そこで、インデックス投資を始めて約7年で、運用益40%以上を達成した、有名インデックスブロガーのkenzさんに、初心者向けの投資法を教えてもらった。

■「インデックス投資」は、市場全体への投資が可能

“投資”といえば、個別企業の株価を日々チェックしながら売買するイメージ。しかし、「インデックス投資」は根本的に考え方が違うという。

「インデックス投資は、個別企業の銘柄ではなく、市場にある銘柄全体や、地域・テーマでくくられた銘柄など、複数の銘柄のパッケージを購入できるような仕組みです。つまり、ひとつの企業が倒産しても、株券が紙切れになることはありません」(kenzさん、以下同)

“インデックス”とは、日経平均やTOPIXといった指数のこと。そして「インデックス投資」とは、指数と同じ値動きを目指す投資を指す。インデックス投資に該当する主な金融商品は、インデックス型の投資信託(以下、インデックス投信)と、上場投資信託(ETF)だ。

“市場全体に/複数の銘柄に投資する”と聞くと元手が高くつきそうだが、インデックス投信は1万円から購入でき、中にはネット証券会社で月500円からでも購入可能なものも。また、ETFも数千円から購入できる商品がいくつも存在する。これらは運用コストである信託報酬が低いことが大きな魅力だ。なお、同種の金融商品であれば、運用コストはインデックス投信よりもETFの方が低いのが一般的だ。

「対して、“アクティブ型の投資信託(アクティブ・ファンド)”は、投資のプロであるファンドマネージャーが、自分の狙った銘柄などに絞って、ハイリターンを狙います。もちろん高いリターンを得られる場合もありますが、信託報酬がインデックス型と比較して高いため、高いコストを引いたリターンが低コストのインデックス型より低くなってしまうことも少なくありません」

■スタート時には、世界経済をベースとした“資産配分”を

では、インデックス投資を始めるとき、どんな買い方をすべきなのか。kenzさんは2つの指針を示してくれた。

(1)「リスク資産」と「安全資産」の割合を事前に決めておく
(2)海外の銘柄にも目を向けて、バランスよく購入する

「インデックス投資に限った話ではありませんが、投資開始時の最大のポイントは、『リスク資産』(リスクにさらしても運用したい資金)と『安全資産』(生活防衛資金含む元本保証分の資金)の割合を明確に決めておくことです。最初から貯金をすべて投資に回すなどはもってのほか。私の目標は、リスク資産:安全資産=50:50ですが、初心者はリスク資産の比率は10%など低く始め、慣れてきたら徐々に増やすとよいでしょう。いくらインデックス投資が堅実とはいえ、投資に絶対はありません。それは心しておきましょう」

また、投資のバランスを良くし、安定性を持たせるためには(2)の指針が重要となる。現在、世界の株式市場の経済規模は、時価総額ベースで、日本:先進国:新興国=約1:8:1という比率。日本株ばかりに投資した時、日本経済の雲行きが悪くなると、大損しかねない。そのため、地球上の資本全体の発展に期待する場合、この比率をベースとして、各地域に紐づく指数の金融商品を購入した方がよいという。

「世界の株式市場の時価総額比」とkenzさんの資産比率。kenzさんは新興国株の割合を増やし、加えて不動産投資信託(REIT)などにも投資をしているという
「世界の株式市場の時価総額比」とkenzさんの資産比率。kenzさんは新興国株の割合を増やし、加えて不動産投資信託(REIT)などにも投資をしているという

■初心者にオススメする指数は「TOPIX」

考え方はわかったが、個別株ほどではないにしろ、選べる指数もたくさんあるという。最もベーシックで管理しやすい“初心者向け”の指数はあるのだろうか?

「日本株の場合、私がおすすめするのは“TOPIX(東証株価指数)”。東証一部に上場している約2000社にまとめて投資することができます。また、先進国なら“MSCIコクサイ”、新興国なら“MSCIエマージング”がいいですね。3つとも、企業の時価総額(株価×発行済株式数を掛けた額)に合わせて組成比率を決定しているため、株式市況をほぼ正確に表しているといえます。日本、そして世界の経済がどんな動きをしているのか感じとれますし、特にTOPIXは新聞などで簡単に情報を取得できる点も優れています」

ほかにも国内債券、外国債券、日本・外国REIT(不動産投資信託)などの指数も存在し、それに連動する商品がある。ただし、債券は株式と逆の値動きをする傾向があるため、全体のバランスをとるのに有効といわれるが、国内債券は超低金利下で金利上昇に弱い、外国債券だと期待リターンの低さのわりに為替リスクは大きいという注意点があるので、初心者は慣れてきてから手を付けた方がよさそうだ。

■ETFを併用しながらインデックスで積み立て

なお、インデックス投資の主要な金融商品である「インデックス投信」と「ETF」は「購入タイミングをコントロールするために、使い分けるといい」とkenzさん。

インデックス投信の場合、株式市場が開いている時間に買い注文は出せるものの、買値は市場が閉まらないと決定しない。そのため、予想以上の高値で購入しなければいけないこともあるという。ただし、毎月一定額ずつの積立が可能なのはメリットだ。一方、ETFは個別株のように、株式市場が開いている時間なら自由に、注文できるのが特徴。「インデックス投信で毎月積み立てつつ、指値注文(※)のできるETFで、“安く買って、高く売る”という株ならではの自由度の高い取引が可能になります」とkenzさんは言う。
※買う/売る値段を指定して注文する方法

「インデックス投資」は株価をそれぞれチェックする手間も少なそうだし、個別株よりもリスク管理もしやすそう。まずは証券会社に口座を開くところから、始めてみる?

(赤木一之/H14)

取材協力
kenzさんブログ「インデックス投資日記@川崎」
低コスト、時間、国際分散を意識したインデックス投資の記録が綴られている。kenzさんの信条は、資本主義の成長を信じ、主に株式、債券等のインデックスファンド・ETFに幅広く投資すること。
インデックス投資日記@川崎
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