義務だけど、未記入や誤記入による罰則はナシ!?
マイナンバー導入後の確定申告、結局何が変わる?
2016年から大々的に導入されたマイナンバー制度。今春、私たちが行う確定申告では、初めて活用する必要が出てくる。では、マイナンバーの導入により、実際にどんな変更点や注意点があるのだろうか。すばる会計事務所の田中延幸税理士に話を聞いてみた。
■身分証明書は必携! 提出時の「本人確認」を忘れずに
最初に知りたいのは、マイナンバーの導入によって、確定申告の書き方や提出方法にどんな変化が出てくるかということだが…。
「申告書の書き方としては、大きく変わる点はありません。これまでの申告書に自分のマイナンバーを書き込む欄が増えると考えればいいと思います。そして提出の際は、申告書に加えて“本人確認”が必要となります」
確定申告の様式自体は、マイナンバーを書き込む以外に大きく変わらないが、大切なのは提出時の本人確認。なりすましを避けるため、提出時には顔写真付きの「マイナンバーカード」を出すか、もしくは顔写真のない「マイナンバー通知書」と免許証などの「身分証明書」が必要となる。
税務署に直接提出する場合は窓口で、郵送やウェブ上で確定申告を済ます場合は上記書類の画像などを添付する形が想定されている。
■マイナンバー記入をミスした場合は?
マイナンバー制度導入後の確定申告の手続きは、ほとんど変わらない様子。では、逆にメリットはあるのだろうか?
「住宅ローン控除を受けたい場合、これまでは住民票の写しを確定申告書に添付する必要がありました。ですが、マイナンバーを記載すればその添付は必要なくなります。この点は手間が省けるでしょう」
それ以外のメリットもあればうれしいところだが、田中氏によれば「納税側のメリットはあまり多くありません」とのこと。では逆に、マイナンバーの書き込みを忘れてしまう、あるいは、マイナンバーを間違えて記入するといった不備があった場合、どうなるのか。
「マイナンバーの記載は法律上の義務となっていますが、実は未記入や誤記入による罰則はありません。また、仮にマイナンバーが書かれていなくても、税務署などでは受け付けてくれることとなっています。初年度ということで、混乱を避けるためのようですね。とはいえ、もちろんマイナンバーの記載は義務なので、きちんと行いましょう」
つまり、もし提出時にマイナンバーの記入がなくても、「再提出」とはならず受理され、今年の提出分について言えばとくに問題は生じない。だとしても、重ね重ねだが提出時の記入は忘れずに行おう。
マイナンバー導入初回の確定申告ということで、少し不安になってしまうが、「変更点は少ない」と田中氏。それでも、ここで挙げたポイントはきちんと頭に入れて、申告シーズンに備えておこう!
(有井太郎)
記事提供/『R25』
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田中延幸
すばる会計事務所 副代表税理士。年間400件以上の税務申告チェックを行う。マイナンバーを始め、税法などの解説については定評がある。