90万近く貯めたツワモノも…
平均は○万円!小銭貯金は貯蓄術として正解か?
お金を貯める方法はいろいろあるが、なかでも始めやすいのが「小銭貯金」だ。五百円玉だけを入れていく“500円貯金”などは、多くの人が知っている貯金法ではないだろうか。
とはいえ、コツコツと小銭を貯めるやり方は、本当に効果があるのか疑問…。なんて思っていたら、TBSアナウンサーの安住紳一郎さんは、500円貯金を8年間行い、なんと230万円も貯めたらしい!
小銭貯金は貯蓄術として優れているのだろうか? そこで20~30代の男女200人に、小銭貯金に関するアンケート調査を実施。どれほどの成果があるのかを調査した(R25調べ/協力:アイリサーチ)。
■小銭貯金の経験者は、平均○万円貯めている!
まず、小銭貯金の経験をアンケートで聞いたところ、「経験がある」と答えた人は全体の45.0%(90人)。さらに、その経験者に小銭貯金で貯めた最高額を聞くと、平均8万2474円という結果に。個別の貯金額をみると、最高で88万9000円貯めた人もいた! かつて500円貯金にチャレンジし、2週間で飽きて貯金箱を叩き割った筆者としては、信じられない数字だ。
●小銭貯金で貯めた金額(N=90人)
・1万円未満 8.9%
・1万円以上3万円未満 16.7%
・3万円以上5万円未満 18.9%
・5万円以上10万円未満 25.6%
・10万円以上20万円未満 20.0%
・20万円以上50万円未満 6.7%
・50万円以上 3.3%
80万以上は特異だとしても、8万円近く貯められればそこそこ満足できそう。実際、アンケートでは74.4%の人が「小銭貯金で成果が上がった」と答えた。さらに、貯めた金額が「目標より多かった」「目標通りの金額だった」と答えた人は、それぞれ25.6%と28.9%に。半数以上が目標かそれ以上の貯金ができたのだから、“効果アリ”といって差し支えないだろう。
ただし、小銭貯金を始める際に不安なのが、「継続できるかどうか」。今回、小銭貯金のメリット・デメリットを尋ねた際も、「貯まっていくのが目に見えるので楽しい」というポジティブな意見があった反面、「途中で飽きた」「つい使ってしまいそうになる」と“継続する難しさ”を挙げる声もあった。
■小銭貯金のコツは「やめてもいい」の意識が重要?
では、お金のプロフェッショナルは「小銭貯金」を有効な貯蓄術とみるのだろうか。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、アンケート結果を踏まえて聞いてみた!
「私はかつて自分の著書で『小銭貯金は危険な節約方法』と書いているのですが、それは小銭貯金によって資産形成やセカンドライフ資金など、大きな貯蓄を期待することに対しての考えです。アンケートの平均額のように、10万円ほどを貯金する方法としては良いのではないでしょうか」
つまり、小さな目標を立ててコツコツ貯めるには適しているが、あくまで補助として考えるべき、ということ。また、貯蓄をする際には、いかに自分にプレッシャーをかけないか、が大事なのだという。
「小銭貯金を始める方はストイックになりがちで、『500円をつくるためにお札を使う』など、貯金によってお金の使い方が乱れたりします。これは逆効果で、『小銭ができたら入れる』という認識で、あくまで気楽にやるのが大切。逆に、始めてみて“この貯金方法は合わない”と感じたら、サラッとやめるくらいの意識がベストです」
これは「継続できるか」という不安の解決にもつながるが、「小銭貯金をする方は、意外と続けられないことに罪悪感を抱くケースが多い。そんなに力を入れるものではありません」と風呂内さん。あくまで、小さな目標を立てて、コツコツ楽しめる人に向いている貯金方法といえよう。
なお、風呂内さんによると、お金を使わない日を定める「1日マネーデトックス」や、カフェやタクシーといった普段の贅沢を我慢したらその分を貯めるという方法など、ちょっとした節約・貯金方法はいろいろある。一つのやり方にこだわるよりは、自分にあった貯蓄法を見つけるのが良さそうだ。
(有井太郎)
記事提供/『R25』
風呂内亜矢
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP(R)認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー。マンション販売会社を経て、2013年よりファイナンシャルプランナーとして独立。NHKや民放各局などのメディアでお金の情報を発信している。著書に『その節約はキケンです―お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか―』(祥伝社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)などがある。