まずは社内規定をチェックし、先輩にも確認を!
飲み会はOK? “経費が認められる範囲”とは
社会人になって初めて出合う“経費”という概念。新卒社員は「会食費も会社が払ってくれるの!?」なんて驚くかもしれないが、何でもかんでも経費として認められるワケではないようで…。そこで、社会人なら知っておきたい経費の考え方や、認められる範囲などについて、公認会計士・税理士の山田真哉さんに話を聞いた。
●経費の範囲は、「法律上」「企業ごと」の2種類
「そもそも、経費とは“事業を行うために必要”と認められた費用のこと。経費が増えると、会社の収入から差し引かれ、結果的に利益や税金が少なくなります。そんな経費ですが、認められる範囲は2つ。ひとつは国が定める法律上の範囲、もうひとつは各企業が独自に定める範囲です。国が定める範囲は法人税法などで決まっていますが、許容範囲はかなり広く、事業にかかわるものは経費になります。一方、企業が定める範囲は会社によってそれぞれ違います。つまり、自分の勤務先の決まりを知っておくことが大切なのです」
山田さんによると、「経費は会社の“個性”や“考え方”が如実に表れる部分」なのだそう。たとえば、出版業界なら書籍代が経費で落ちる会社が多く、身だしなみを大切にする職場であればスーツ代が経費で落ちる場合も。もちろん、経費として一切認めていない会社だってあるのだ。
「会社の経費に関する決まりは、そこそこの規模の会社なら、社内規則で決まっています。臨機応変に対応できるよう、何が良くて何がダメかは定めず、誰の承認を得れば経費として認められるのかを定めている会社が多いです」
●“交際費”に金額の上限はない!?
また、経費のなかでも、他とは扱いが少し異なるのが“交際費”だ。
「仕事をするうえで“人脈”は非常に大切。この人脈を繋ぐ目的で使用されるのが“交際費”です。“相手方の快楽追求欲、金銭や物品の所有欲などを満足させる行為”のための費用であれば交際費として認められ、特に上限もありません。中でも“接待飲食費”は、近年、国としても企業に経費としてたくさん使ってもらうことで景気を良くしたいとの狙いがあり(平成26年税制改正)、総額の50%は節税につながる“損金”として認められるようになりました。それまで交際費は原則、損金として全く認められず、課税の対象となっていたので、政策の大転換です」
もちろん、これは国が定める“法人税法”上の話であって、会社によって考え方や規則はそれぞれ違う。取引先との会食代はすべて社員の自腹…なんて会社もあるのだ。
「経費に関する疑問は、社外の友達に相談したり、ネットで情報を調べたりしても意味がありません。また、いくら会社で認められた経費でも、会社が定める精算の期限を過ぎてしまったら、支払いを拒否されることがあるので注意しましょう」
ちなみに、先輩方のなかには、忙しくて経費精算が間に合わずに泣き寝入りしてしまった経験を持つ人も少なくないよう。自分の勤務先の経費の規則や、精算の時期はしっかり把握したうえで、何か疑問があれば“自分で判断せず、早めに上司に相談する”という、仕事の基本的な考え方が大切といえそうだ。
(村部春奈/H14)
記事提供/『R25』
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山田真哉
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー。
1976年、神戸市生まれ。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール勤務を経て、公認会計士試験に合格。中央青山監査法人(PwC)を経て、独立。一般財団法人芸能文化会計財団の理事長を務める。著書の『女子大生会計士の事件簿』(角川文庫他)はシリーズ100万部、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は160万部を突破するベストセラーとなる。現在、『浅野真澄×山田真哉の週刊マネーランド』(文化放送)等にレギュラー出演中。内閣官房行政改革推進会議、経済産業省、厚生労働省、復興庁、東京都で委員等を歴任。