有識者が語る“良い・悪いご褒美”の見分け方
「自分へのご褒美好き=貯蓄できない説」はウソ!?
2017年になって早3カ月。「今年こそは貯蓄をするぞ」と意気込んだものの、お金が貯まる兆しすら見えない…なんて人もいるのでは? 貯金ができない理由は様々だろうが、ムダな出費を重ねている場合もあるはず。なかでも、「自分へのご褒美に…」なんて言葉を口に出しがちな人は、なかなかお金が貯まらないイメージがある。もしや、「自分へのご褒美」と貯蓄には関係があるのでは? そこで、20~30代の男女会社員224人にアンケートを実施した。(R25調べ/協力:ファストアスク)
●「自分へのご褒美好き=貯蓄下手」を検証!
まず聞いたのは、自分へのご褒美の実態。どのくらいのスパンで行っているのか聞いてみると…。
■「頑張った自分へのご褒美」を行う頻度は?
・1週間に1回以上 8.5%
・2週間に1回程度 6.2%
・1カ月に1回程度 14.7%
・2~3カ月に1回程度 7.6%
・半年~1年に1回程度 14.7%
・1年に1回未満 16.5%
・自分へのご褒美をしたことはない 31.7%
「自分へのご褒美をしたことはない」という人が3割に上った一方、1カ月に1回以上の人も合計約3割。なお、【1週間に1回以上】と頻繁に行う人は1割弱存在するようだ。では、それぞれの預貯金額に差はあるものなのだろうか?
■回答別の平均預貯金額
※以下、各回答の平均額(無回答除く)
・1週間に1回以上 約470万円
・2週間に1回程度 約396万円
・1カ月に1回程度 約456万円
・2~3カ月に1回程度 約446万円
・半年~1年に1回程度 約594万円
・1年に1回未満 約100万円
・自分へのご褒美をしたことはない 約227万円
なんと、ご褒美で頻繁にお金を使っているはずの【1週間に1回以上】の人は意外に預貯金額が大きい。最も大きかったのは【半年~1年に1回程度】だが、【1年に1回未満】は約100万円、【自分へのご褒美をしたことはない】は約227万円という結果。ということは、「自分へのご褒美好き」な方が貯蓄できる…ということ!?
●有識者が語る“正しい”自分へのご褒美
なんとも釈然としない気持ちを抱えながら、『モノは感情に売れ!』という著書があり、行動経済学に詳しいアサツーディ・ケイの橋本之克さんに話を聞いた。
「結果に反するようですが、『ご褒美好き=貯金できない』というのは、必ずしも間違いではありません。ご褒美という言葉を言い訳にして、必要でないものを買うことはもちろん無駄遣いです。頻繁に行っている人は消費好きな傾向にあり、お金が貯まらないこともあるでしょう。しかし、本来ご褒美を自分に与えることは悪いことではないんですよ」
ご褒美とは、「褒めて与える品物や金銭」のことを指す言葉。つまり、成果や頑張りがあれば、与えてしかるべきものなのだ。
「自分へのご褒美を“代替報酬”として利用すると、やりたくないことに対してもモチベーションを保てます。“代替報酬”とは、後で払われる報酬の代わりに、すぐに得られる代替の報酬を用意すること。例えば、歯磨きは歯の健康を保つために必要ですが、その目的のためだけに毎日続けるのは難しい。しかし、歯磨きをすることで口の中がスッキリしたり、息が爽やかになったりする効果が得られます。これが代替報酬です」
貯蓄をする時も“将来のため”といった漠然とした目的で、闇雲に節約するのではなく、「1カ月節約に努めたら、外食をする」など、決めた方がやる気が出るというのだ。つまり、今回の調査で【1週間に1回以上】、自分へのご褒美をあげていると答えた人は、“良いご褒美”で自らを高めることで、より多くの収入を得られている可能性があるのかもしれない。
●“良い・悪いご褒美”の見分け方とは?
ただ、“良いご褒美”だと思い込んで、“悪いご褒美”をしてしまうこともあるような…。2つのご褒美を見分ける方法はあるのだろうか?
「ポイントは、いつ“自分へのご褒美”と定めるか。物を買う瞬間に『そういえば◯◯を頑張ったから…』と考えた場合、“悪いご褒美”といえます。“良いご褒美”は、事前に設定することが大切です。また、用法用量を守ることが大切。頑張る原動力になるなら良いですが、同じご褒美がずっと続くとそれだけでは満足できなくなることがあります。また、ストレス過多だと乱発しがちなので、少額なものにすることをオススメします」
頑張る原動力になるといっても、自分の収入に見合わない内容はもちろんNG。また、お金を使うことばかりがご褒美ではない、ということは忘れずに。
“自分へのご褒美=貯蓄の敵”というイメージがあったけど、うまくコントロールできれば、貯金をアシストする存在になるかも。今一度、普段の行動を見直してみてはいかがだろうか?
(河島マリオ)
記事提供/『R25』
関連リンク
橋本之克さん
ADK不動産エネルギー カテゴリーチーム・リーダー。広告代理店で消費財のマーケティングを担当したあと、大手シンクタンクを経て、アサツーディ・ケイ入社。金融、不動産、環境エネルギー業界を中心にマーケティング戦略やブランディング戦略のプランニングを担当。セミナー講師、著述業でも活躍中。著書は『モノは感情に売れ!』(PHP研究所)など。