ETF意識調査から見えた傾向とは?
米国ETF市場拡大の背後にある投資家の動き
米国においてETF市場が急拡大している。2016年末時点で米国の上場投資信託(ETF)純資産残高は約280兆円となり、ドルベースでは過去5年間で約2.6倍にも達している(ETFGI調べ)。こうした米国におけるETF市場拡大の背景を探るために、大手運用会社のブラックロックが米国の個人投資家のETFに対する意識調査を実施していることから、以下で概要をご紹介する。
意識調査サマリー
米国でETFに関する意識調査を行ったところ、回答者である米国の投資家の4人に1人が、幅広い商品ラインナップと取引上の利便性から、自身の投資目的に合ったツールとして、ETFを利用していることが分かりました。
ETFへの期待・ニーズは今後も高まる模様で、既にETFを活用している投資家は、今後さらにETFの利用を拡大する計画であると回答しています。また、現時点でETFに投資をしていない投資家も、近い将来ETFへ投資することを検討していると回答しています。
米国におけるETFの投資家層は?
ETFは投資家のポートフォリオの中でますます重要性を高めており、全世代で20%の投資比率を超えています。世代別で米国投資家によるETFへの投資比率を比べると、特に若い世代において最も比率が高いという結果になりました。
投資に対する姿勢と習慣
投資姿勢を比べると、米国のETF保有者は、ETFを保有していない他の投資家と比較し、投資に対して積極的かつ前向きで、長期投資を重視する傾向が見受けられます。
48% vs. 24%
ETF保有者は、ETFを保有していない投資家の2倍、自身を「経験を積んだ投資家」と自己評価している
78% vs. 62%
ETF保有者は、ETFを保有していない投資家よりも、自身の投資目標達成に対し、正しいアプローチを行っていることに自信を持っている
42% vs. 23%
ETF保有者は、ETFを長期投資のツールと考える傾向があり、その平均保有期間は5年
17% vs. 29%
ETF保有者は、証券・金融市場への投資により積極的で、ポートフォリオに占める現金保有率は低い傾向がある
なぜ投資にETFを活用するのか
米国のETF保有者は、ETFのさまざまな利点や利用方法に注目してETFを活用しています。特に、ETFの多様性とコストの低さが投資家の関心を集めています。
ETFへの投資を躊躇する理由は?
自身のETFに関する情報が不足していることが、米国の投資家がETFを利用していない最も代表的な理由でした。
ETFになじみがないと回答:42%
ETFの仕組みがよく分からないと回答:30%
最適なETFの選び方が分からないと回答:30%
自身のポートフォリオが既に十分に分散されていると信じていると回答:33%
今後のETFの活用は?
自身のETFに関する情報が不足していることが、米国の投資家がETFを利用していない最も代表的な理由でした。
今後1年以内にETFへの投資を増やすつもり、と回答したETF保有者:90%
今後1年以内にETF投資を開始するつもり、と回答した現在ETFを保有していない投資家:40%
世代別のETFへの投資意向の傾向は?
米国の若い世代ほど、今後1年以内にETFへの投資割合を高めようとする傾向が見受けられました。
新たなETFに投資する場合のその元手は?
どこで情報収集しているの?
米国の投資家は、情報収集にインターネット上の情報や専門家のアドバイスを利用しています。ベビーブーム世代(28%)とシルバー世代(31%)は金融機関などから得られる情報を、ミレニアル世代(46%)とX世代(45%)は投資関連のウェブサイト、ブログ、ポッドキャストなどのデジタルメディアを利用する傾向にあります。
米国投資家のETFの知識レベルは?
米国の投資家の方々はETFに関心を持っているものの、その多くがETFの利便性の高さや幅広い商品ラインナップなどの情報を十分に得られていない状況が見受けられます。
手数料が他の運用商品と比べて比較的低いことを知っていると回答:34%
税金上のメリットが期待できる商品(注)があることを知っていると回答:26%
債券ETFや海外ETFについて知っていると回答:21%
スマートベータについて知っていると回答:5%
(注)米国の税制度を前提とした設問・回答であり、日本の税制度は考慮されておりません。
(東証マネ部!編集部)
(参照元)「ブラックロックETF意識調査」
「ブラックロックETF意識調査」は、米国投資家とファイナンシャル・アドバイザーの投資に対する姿勢と投資行動を調査したもので、2016年9月12日~26日に1,001名の個人投資家および409名のファイナンシャル・アドバイザー(合計1,410名)からオンライン調査ベースで回答を得ました。調査対象者は、10万ドル以上の待機資金を持ち、かつETFを認知している21~75歳の米国の個人投資家、および2,500万ドル以上の資産を運用する21~75歳の米国のファイナンシャル・アドバイザーです。本調査は、外部調査会社であるカンターTNSによって実施されました。なお、引用している本文は、ブラックロック・グループが米国で行なった調査結果をブラックロック・ジャパン株式会社が翻訳・編集したものに、東証マネ部!編集部が編集をしています。