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フィンテックの家計簿アプリは、人生の選択肢を増やす!?

「Zaim」に見る、家計のオンライン化によるメリット

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tou8216

カメラでレシートを撮影すると、アプリが自動で記録

フィンテックの隆盛により、「家計簿」のアプリやオンラインサービスも盛り上がっている。2011年から提供されている「Zaim」もそのひとつで、すでにアプリは650万以上のダウンロードを記録。スマホひとつで日々の家計管理を可能とした。

「レシートをスマホのカメラで撮影すると、品目や金額を読み取って自動で家計簿に記録します。また、金融機関との連携により、銀行口座やクレジットカードの履歴を家計簿に反映。それらの家計簿データを分析してグラフ化する機能もあり、わかりやすいビジュアルで節約につなげやすくしています」

お話しいただいたのは、Zaimの代表取締役である閑歳孝子さん。彼女自身が開発したこのアプリは、紙やエクセルで行われてきた家計簿の“自動化”に成功した。レシートの読み取りについても、アプリに学習機能があるため、時間帯やGPSによる位置情報、消費パターンから、「ランチ」や「飲み会」など、消費ジャンルを自動で分類することも可能だ。

さらには、家計簿から医療費控除に当たる支出を自動抽出したり、住んでいる地方自治体の給付金情報を得られたりするサポートもある。

株式会社Zaim 代表取締役の閑歳孝子さん。出版社記者を経て、IT業界に転職した経歴を持つ。2012年9月に起業。
株式会社Zaim 代表取締役の閑歳孝子さん。出版社記者を経て、IT業界に転職した経歴を持つ。2012年9月に起業。

ただし、「最小限のサービス以外はユーザー個人で使うかどうかを選べる」とのことで、たとえば銀行口座との連携も、本人が必要ないと思えばやらなくてもよい。アプリの運用には支障がないようだ。

フィンテックの技術を用いてさまざまな機能を付加する反面、それをどこまで活用するかという点では、ユーザーの自由度が高い。これもひとつの特徴といえる。

そういった自由度があるゆえか、Zaim利用者の属性は幅広い。年齢層は「スマホユーザーの年齢分布とほぼ変わらない」とのことで、80歳の利用者もいれば、子どものお小遣い管理として親が導入するケースもあるという。男女の比率もほぼ半々のようだ。

オンライン化で、話しにくかった家計の共有をラクに

家計簿の“自動化”はまさにフィンテックならではといえそうだが、閑歳さんが「フィンテックにより家計簿が大きく進化した」と感じる点は他にもある。それは、“オンライン化”で共有が容易になったことだ。たとえばZaimでは、ひとつの家計簿を夫婦や家族で共有できる。

「これまでの家計管理は、たとえ夫婦でも細かい部分まで共有するのが難しく、どちらかが主体でやる作業でした。しかも、お金の話は身内でもデリケートですし、共有していないために起こる“いざこざ”もありますよね。それがオンライン化によって、夫婦間で家計を簡単に共有できるようになり、貯金計画やお金の危機意識をシェアしやすくなりました」(閑歳さん)

Zaimを開発したのは、閑歳さんがIT企業に勤めていた時期。業務とは別に、プライベートで開発したという。
Zaimを開発したのは、閑歳さんがIT企業に勤めていた時期。業務とは別に、プライベートで開発したという。

家計の共有は子どもにもメリットをもたらす。たとえば自分が小さい頃、どれだけのお金がかかったか詳しく知る人は少ないだろう。そのデータを共有できる術があれば、自分が親になって家族計画を考える上で役に立つだろう。

あるいは、親族が急な不幸に見舞われたとき、相続や財産の問題で頭を悩ました人もいるだろう。親族が持っている資産や月々の貯金、保険の支払いなど、意外に家族が把握できていないお金は多い。親子でも話す機会は少ないはずだ。だが、もしも家計のデータを取り溜めて、それを家族で共有できれば、役に立つ情報を得やすいかもしれない。

「さらにZaimでは、消費パターンや家計の似ているユーザーたちの平均データを見られる機能もあります。自分に似た属性の人たちが、月々どのくらいの住宅ローンを支払っているのか、あるいは、自分の世帯の食費は平均と比べて高いのか。そういったデータを参考にできるのも、オンラインならではだと思います」(同)

仲が良い相手でも、お金の話はしにくいもの。それだけに、周りの人がどう家計をやりくりしているかを知る機会はあまりなかった。しかしオンラインなら、集まってくるたくさんのデータを分析して、自分に似ているユーザーたちの平均値などがわかる。

「お金は誰もが使うベーシックな価値であり、その使い方次第で生き方や選択肢が変わるはず。でも、リアルな情報やノウハウは意外と得にくいものです。だからこそ、Zaimのようなサービスで情報を得て、ライフスタイルの選択肢を増やしてもらえたら嬉しいですね」(同)

フィンテックによって成り立つ最新の家計簿アプリは、お金の管理だけが目的のサービスではない。お金に関する情報を得やすくし、人生を豊かにするまでが役目なのだ。

(有井太郎)

※記事の内容は2017年7月12日現在の情報です

Zaimではオフラインでのイベントも開催。今後も、多様な方法でお金のノウハウを提供していくようだ。
Zaimではオフラインでのイベントも開催。今後も、多様な方法でお金のノウハウを提供していくようだ。

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