「お金はあんまり使わない」派の節約アーリーリタイア論
投資ブロガー・金村さん「長期投資で33歳の早期リタイアが現実的に」
手間がかからず手数料などのコストも低い「インデックス投資」。誰でも簡単に運用できることから個人投資家に人気だが、実際に始めてみると「こんな運用の仕方で良いのだろうか…」と、不安になる投資初心者も少なくない。
そんななか「最初に自分のリスクに見合ったポートフォリオを設計したら、後は運用を続けていくだけでいい」と語るのが、ブログ「Time is money キムのお金日記」を運営する福岡県在住の会社員、金村圭介さん(32歳)だ。今年4月には『8年間で2800万円貯めた、僕の方法』(ファストブック)を上梓した金村さんに、投資のきっかけや、気になるポートフォリオの組み方について聞いてみた。
リスクに見合った投資だからこそ、ピンチをチャンスに変えられた
金村さんが投資を始めたのは、社会人2年目の24歳のころ。もともとお金はあまり使わないタイプだったといい、社会人1年目にして貯金額は200万円に達していたそうだ。
「貯まったお金を今後どうしようかと考えた時に、本屋でたまたま“投資信託”を知りました。おもしろそうだな…と思って、図書館で調べた時に、竹川美奈子さんの『投資信託にだまされるな! 本当に正しい投信の使い方』(ダイヤモンド社)という本と出会ったんです。もともと、投資はギャンブルだと思っていたのですが、この本を通じて、投資はリスクをコントロールしながらお金を長期的に運用していくことだと知りました」(金村さん、以下同)
それから早速、インデックス投資を開始。月々の給与から10万円の積み立てを始めたそうだ。
「飲み会も好きではなく物欲もないので、今後貯蓄として増えていく部分は投資に回していこうと10万円の積み立てをすることにしました。2009年に投資を始め、最初の2年くらいの実績は“とんとん”。それから円高が進んで、2011年には何十万円かマイナスになったんですが、翌年アベノミクスが始まると増え始めました」
金村さんは淡々と語るが、始めた2年後に数十万円のマイナス。普通なら気持ちが萎え、手を引いてしまいそうだが…。
「これまで読んできた本やブログには、“下がった時にちゃんと続けられることが大切”と書かれていました。貯金もしっかりあったので、ピンチの時ほど“これがチャンス”だと思って続けられました。そもそもマイナスになった時に不安になるのは、きっとポートフォリオが自分に合っていないから。インデックス投資は長く続けないとだめだからこそ、無理なく続けられるようなリスク設定をした方が良いと思います」
インデックスは難しくない。“基本に忠実に”粛々と続けていくことが大切
今年で社会人10年目を迎えた金村さん。給与の積み立てと合わせてボーナス時には30万円を投資に充て、これまでに積み立てた額は約1800万円。インデックスファンドでの実績は2780万円に上る。
「インデックス投資の本には難しい計算式が出てくるわけではありません。最初に本を参考にしてカチッとしたポートフォリオを作って、後は粛々と投資をしていくだけ。それでも長期的に運用していれば実績は出る。最初は難しそうだと思っていましたが、実はものすごく手軽で、簡単に続けられる。個別株もちょっとだけやっていて、銘柄研究したりする面白さはあるんですが、核はインデックスでいいかな、と思っています」
現在32歳だが、長期投資を通じ“33歳でアーリーリタイア”が現実的になりつつあるという。
「もともと仕事が好きじゃないということはあるんですが、長期投資を通じてお金の計算をしていると『節約したらもっと早く会社を辞めてもいけるな』と思っているんです。自分の場合、1年間で120万円くらい使っているんだけど、年金や保険料の支払いを考えて年150万円あれば生活できる。当面は、国債や預金で貯めている1000万円を切り崩していき、インデックスの資金は老後の資金として取り崩さずに残しておきたいと思っています。リタイア後は、週に1、2回アルバイトをしつつ、趣味の筋トレやジョギングをしてブログを書いていきたいですね」
(周東淑子/やじろべえ)