MAB投信だより
銀⾏販社取扱ファンドの動向を探る
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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サマリー
● 資金流入ランキングには、証券、銀行販社の違い、販社数の違いによっても特徴が表れる。
● 米大統領選挙以降の銀行窓販の傾向は、高分配を期待させる高配当、高金利、そして安定運用がキーワード。
● 安定運用の複合資産型ファンドにおいて、価格下落を抑制するユニークな商品性を持つファンドにも注目が集まる。
1.資金流入ランキングは販売会社でみると特徴が見える
米国の大統領選から約9ヵ月が経過した。新政権の政策実効性や世界経済における調和など様々な面で懸念が山積みしているが、金融市場では米国株式中心に底堅い動きが持続している。
日本の投信市場においては、長らく人気のあったREITの分配金引き下げや米国の利上げへの警戒感から資金が流出し、そのお金がどう動くのか注目がされてきた。ここでは、大統領選挙後に資金が流入した上位ファンドとその販売会社情報から傾向を捉えてみたい。
図表1は直近8ヵ月の資金流入上位ファンドとその販社数を示したもの。ここで注目したいのが銀行と証券の販社数だ。上位ファンドのうち、テーマ型株式、インド株式等は特定証券の取り扱いに偏っている傾向が強い。一方で多くの銀行系が扱っているファンドは、一部の株式型に加え、オーストラリアの高配当(≒高分配を期待させる)、ハイイールド債券(こちらも分配期待あり)、そして価格変動が安定している複合資産型ファンドが目立つ。
統計的な裏付けはないが、多数の銀行販社が扱うファンドは息が長く純資産が増加するファンドが多くみられる印象がある。最近ではREITの後釜として、高分配を期待させる高配当、高金利、そして安定運用のキーワードで個人のお金がシフトしていることが見て取れる。
図表1 資金流入上位15ファンド(2016年12月~2017年7月の8ヵ月間)
2.安定運用の複合資産型にも動きが見られる
ここでは、先ほどのキーワードの一つ、安定運用としての複合資産型ファンドを取り上げてみたい。
最近はラップ型ファンドの人気が一服するなかで、「東京海上・円資産バランスファンド」が健闘している。また「スマートファイブ」、「JPMベスト・インカム」も人気上昇中だ。「スマートファイブ」の販社はゆうちょ銀行のみだが、高い配当・金利獲得を目指す「JPMベスト・インカム」は銀行販社が15行ついている。
「東京海上・円資産バランスファンド」はコア部分の国内債券比率が7割と高いため、今後の高いリターンは見込めそうになく、これらのファンドが安定運用の受け皿ファンドの一つとなる可能性を秘めている。
図表2 複合資産型の純資産残高上位ファンド
3.価格下落を抑制するタイプのファンドにも注目が集まる
前頁の図表1、直近8ヵ月の資金流入で12位にランクインした「アムンディ・ダブルウォッチ」も注目される。
銀行販社は直近で16行。同ファンドはフロアを設けることで大きな損失を回避するスキームに特徴がある。しかも、基準価額の上昇に伴いフロア水準を引き上げて利益の確保をはかり、また、基準価額がフロアに近づくに従い現金比率を高めることにより、フロア割れを回避する仕組みを備えている。損失を限定したい顧客にとって、わかりやすいファンドだ。
直近では似たようなスキームを有する「SMBC・アムンディプロテクト&スイッチファンド」も7月の設定金額の約半分となる約600億円の資金を集めており、人気のタイプとして注目が集まっている。
図表3 「アムンディ・ダブルウォッチ」の設定来の基準価額と純資産残高
(MABファンドアナリスト 勝盛)