世界のETFトレンドが分かる!
2017年8月 全世界ETFの資金フロー
ETFは証券取引所で株式のように取引される一方、上場している「投資信託」でもあることから、投資信託としての資金の出入りが日々発生している。世界中で様々な投資家が利用しているETFの資金流出入は、世界の投資家の動向を探るうえで重要な情報だろう。
そこで大手運用会社のブラックロックが2017年8月の世界のETF資金フローの状況や世界の投資家動向についてレポート(iシェアーズ月次ETF資金流出入レポート)を出しているので、以下でその内容についてご紹介しよう。
2017年8月のETF資金フロー
8月のETFの資金流入額は、良好な経済指標の発表を受け474億ドルとなった。流入は先進国株式ETFに牽引されて、年初来からの資金流入は4,192億ドルと、2016年の年間流入額の3,784億円を超過している。
米国株式ETFは良好な企業決算および経済成長を背景に95億ドルの流入となり、そのうち86億ドルは大型株に流入した。バリュー株とモメンタム株のシングルファクター・スマートベータ*がそれぞれ2億ドルと、年初来からの流入額は過去最大となっています。
*ルールにのっとった透明性の高い戦略を通じてリターンの向上やリスクの軽減、より良い分散投資などを図ることを目指す戦略で、代表的なファクターを切り出したもの
先進国全域型株式ETFの流入は76億ドルとなり、中でも米国を除く先進国株式ETFは32億ドル、日本株式ETFは日銀の買い入れが大半を占め、80億ドルとなった。
新興国株式はモメンタムを維持し62億ドルの流入。その内訳はブロード型に36億ドル、北朝鮮による政治リスクの拡大にも関わらず、韓国株式に12億ドルとなった。新興国債券ETFへの流入は5億ドルに留まったが、年初来からの資金流入は148億ドルと、過去のペースを上回っている。
債券ETF全体の資金流入は122億ドルとなり、投資適格社債ETFの42億ドルの流入に牽引された。
金ETFは政治リスクの上昇等不透明感の上昇もあり、15億ドルの流入となった。
ETFから見る世界の投資家動向
世界的なリフレーション・トレンドを背景に、株式銘柄に投資するモメンタムETF、および銘柄のファンダメンタルに対して相対的に割安な株式銘柄に投資するバリュー株ETFは、2017年は年初来より記録的なペースで成長した。
当該カテゴリーにおける動向で、ブラックロックが注目している点は次の通り。
●バリュー株ETFおよびモメンタム株ETFの残高はそれぞれ124億ドル、75億ドルに成長した。どちらも年初来で昨年末の50%成長している。
● バリュー株ETFおよびモメンタム株ETFはどちらも年初来の資金流入が過去のペースを上回っており、それぞれ33億ドル、16億ドルとなった。
● 欧州株式を投資対象とするバリュー株ETFでは年初来からの資金流入の40%を占め、またブロード型の先進国株式を投資対象とするモメンタム株ETFは年初来からの資金流入の34%を占めてる。
(東証マネ部!編集部)