元「AKB48」でタレントの松井咲子さん。音大出身でピアノを学び、フジテレビ系『芸能界特技王決定戦 TEPPEN』などにも出演した彼女は、今年26歳になる。芸能界という“職場”の特性上、現在は仕事に恵まれていても、浮き沈みの可能性はあるもの。松井さんもそのあたりは自覚しているようだ。

「今は当たり前のように仕事をさせていただいてますけど、来月どうなるかわからないんですよね。もしそうなったときに、私は何もできないって思うんですよ。バイト経験もないですし、ピアノがちょこっと弾けるくらいですから。ちゃんと生きていくために、お金のことをちゃんと学んでおくことが大切だなって」

そんな思いもあってか、小学館の『マネーポスト』での連載や、投資や資産運用の仕事が舞い込んでくるようになった。マネーにまつわる多数の仕事をしてきており、かなり詳しい…と思いきや、ご本人的には「全然そんなことないんです！」という。

「もともと投資には興味あまりなくて、お仕事をいただいた時点で、ゼロからのスタートでした。でもそれは今でもあまり変わっていなくて…。ただ、投資の世界で活躍するいろんな人から話が聞けたことは、すごく貴重な体験でしたね」

お金を使うのは「誰かのため」。堅実な金銭感覚

そんな松井さん、学生時代から“芸能人”として仕事をしていたが、金銭感覚は小さいころから変わっていないのだとか。

「学生時代は、月々のお小遣いで好きなアーティストのCDやお笑いのDVD、雑誌を買ったり、友だちとご飯に行くとか、ゲームセンターで遊ぶとか（笑）。すごく普通で、バイトなんかはしたことがありませんでした。お金を貯めて何かを買う…みたいなこともなくて、貯まっていたら何か買う、くらいの感じだったんです」

ただ、自分のためにお金を使うことも少ないそう。

「今でもそうで、たとえば雑貨屋さんでかわいい小物を見つけても、『今度友だちの誕生日だから買おうかな』という感じなんです」

芸能界に身を置く立場を考えれば、質素な金銭感覚を持っているといえそう。そんな松井さんだが、17歳でオーディションに合格しAKB48のメンバーとして芸能界に入ることになり、収入を得ることになる。

「バイト経験とかないまま芸能界に入ったので、自分で働いてお金をもらうという感覚を学べたのは大きかったですね。でも自分のお金というより、全部を自由に使っていいお金じゃないと思いました。学校に通っていたので、その学費も出していましたし、自由に遊ぶためのお金ではない気がしていたんです」

稼いだお金を全部遊興費に費やすなんて、確かにありえない話。固定費や貯金などを差し引いたうえで自由に使っていいお金を作るのは、社会人にとってはごく当たり前の感覚だろう。

お金は今も両親が管理。でも「運用してみたい」！

「でも私の場合、親がお金を管理していたので、貯金や固定費の割合というのはわからなくて、両親にやりくりしてもらっていたんです。これは恥ずかしいお話なんですけど…今も親に管理してもらっているんです。私が任されてもできないと思ってしまって。だから私、キャッシュカード持っていないんですよ（笑）。お小遣い制で、お金のことをさっぱりわかっていないんですよね」

なんと！ 投資にまつわる仕事をしていたのに、けっこう意外だ。

「いまだに銀行に行くのはめちゃくちゃ緊張します。ATMも、わからなくて電話なんかしようものなら、振り込み詐欺じゃないかと疑われそうじゃないですか（笑）」

お金に普段接することが少ない一方、「お金を運用する」ということに対しては、実は前向き。なにせ今後は、「東証マネ部！」で松井さんがゼロから投資を学ぶレポート連載をスターする予定なのだ。

「おかげさまでこういう仕事をさせていただいているので、投資や資産運用に対する怖いイメージはないんです。たとえば『10万円投資して、全部なくなってしまった』なんて話も聞くかも知れませんが、そういうものばかりじゃないということも聞きます。学んで得られた知識で、お金を上手に運用することが大事だと思います。私もしっかり勉強していきたいですね」

取材・文／吉州正行、撮影／小島マサヒロ

【プロフィール】

松井咲子
１９９０年、埼玉県生まれ。２０１５年までAKB48として活動。卒業後はテレビ、ラジオ、WEB、イベント等で幅広く活躍中。『芸能界特技王決定戦 TEPPEN』(フジテレビ)ピアノ部門では音大卒の実力を発揮した輝かしい成績を残している。現在『読響シンフォニックライブ』(日本テレビ)にMCとして出演中。また、ラジオ『見たい! 行きたい! 話したい!!』(NACK５)、『松井咲子 呼吸するクラシック』(HBC他)がレギュラー放送中。そのMC力には定評がある。イメージの枠にとらわれない多趣味・多才な彼女だが、ここ最近では投資や資産運用の分野にも興味を持ち勉強中。