リストラも乗り越えて、手堅く運用続け12年
投資ブロガー・じゅん@さん「リスクを見直しつつ、長期運用を」
投資というと、金融や経済にまつわる一定以上の知識が必要なイメージを持つ人も多いかもしれない。しかし、個人投資家の中には“知識ゼロ”という状態から始めた人も多いという。ブログ「投信で手堅くlay-up!」を運営するじゅん@さん(40代、男性)もその一人だ。“お金には興味はなかった”と話すが、投資を始めたきっかけは? 話を聞いた。
住宅ローンの“複利”の怖さから、投資の可能性に気付いた
関東で研究開発職に就いているじゅん@さん。投資12年目を迎えるベテランだが、もともとは研究一筋で、投資はもちろん経済・金融への関心すらなかったという。
「財形貯蓄はやっていましたが、それほどお金に興味があったというわけではなく、放っておいても勝手に貯まっていく感じ。若いころは車をローンで買おうと思っても、その金利が長期金利と比べるとどれくらい安いのか、高いのかも自分では判断がつかないくらい、お金については“音痴”でした」(じゅん@さん、以下同)
しかし、結婚をして住宅購入を考えた際に、“投資”について関心を持ち始めたという。
「新築マンションの購入を検討したときに、ローンの“複利”の恐ろしさを知りました。でも、逆に考えてみたら、複利で資産運用をしたらすごいことになるのでは…と考えたんです」
そんななかで出会ったのがインデックス投資の“古典”ともいわれるチャールズ・エリス『敗者のゲーム』(日本経済新聞出版社)。その当時、インデックス商品を扱っている金融機関は少なく、コストも高めだったが、インデックス投資家のブログで情報を集め、2005年にインデックス投資を始めた。
「投資に回すのは“余剰”のお金。子どももおらず夫婦共働きでリスクを取れると思い、株式比率を8割くらいに設定していました。最初は手動の積立投資で、値動きが気になって、経済イベントを気にしたり、少しでも下がると追加投資をしたりしていましたが、その後は自動積立にして、今では完全にほったらかしです」
“リストラ”がきっかけでリスクの見直し
それまでは株式8割と比較的リスクを取っていたじゅん@さんだが、2008年に転機が訪れる。
「2008年のリーマンショックの時に、勤めていた研究所が閉鎖になってしまったんです。自分もリストラになって、転職活動をしなければいけない状況になりました。生活防衛資金としてある程度まとまったお金を持っていたので投資をやめようとは思いませんでしたが、リスクを取りすぎたな…と。この先何があるか分からないし、債券を半分、株を半分くらいにしてリスクを見直しました」
それまではインデックス投資と併せて個別株もやっていたが、同時期にやめたという。
「個別株の場合は、株価の動きがあったら気になるし、自分が思う動きと逆に動くことが多く、納得がいかないことが多かった。ですから、リーマンショック後は完全に積み立て投資だけに転換。お金のことはインデックスに任せてしまって、その分できた時間を自分のために使おうと思いました」
それ以降は、リバランスは年に1回程度。「目標から5%程度ずれたら売る」という目安はあるが、「最近は利益がのってきているので、あまり動かさないようにしています」とのこと。
「今のペースで積み立てを続けていけば、60歳になった時にはまとまった金額になるはずです。それまでは健康で、ちゃんと収入を得ながら今の状態を継続できればと思います」
「理解できないものには、決して投資をするな」
「私が若いころはネット証券なんてなかったけれど、今は投資についての情報にいくらでもアクセスできる。若い人も、少額でもいいので早めに投資を始めたほうが良いと思います」と話すじゅん@さん。最後に、これから投資を始める人に向けてのアドバイスを聞いた。
「どんな投資スタイルを取るにしろ、理解ができない商品は決して買わないことです。仕組みが複雑な商品は、売り手が手数料を隠しやすいですし、場合によっては詐欺まがいのものもあります。毎月の分配型の投資信託で『毎月増えている』と考える人もいるかもしれませんが、実際は元本が減っていて、ただの払い戻しになっていたりすることもある。どこからどういうふうに利益が出てくるのか、説明できないものには手を出さない。自分自身でちゃんと商品を理解して、納得してから買ったほうがいいと思います」
(周東淑子/やじろべえ)