プロの投資家が注目する指標「ROE」とは?

株式投資を始める前に知っておきたい 「勝ち組企業」を見つけるモノサシ Vol.1

提供元:たあんと

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世の中はマイナス金利! これからの投資、どうする?

NISA(少額投資非課税制度)や確定拠出年金といったおトクな仕組みをきっかけに、投資信託デビューを果たした方も少なくないでしょう。

まずは手始めに債券を中心とした「手堅い運用」を目指してきたけど、運用成果はイマイチ。日銀がマイナス金利を導入したことに象徴される通り、世界中どこを見渡しても超低金利が蔓延してる状況なのだから、それも無理はありません。

「このままだと銀行の預金と変わらないなぁ……。かといって、株は怖そうだ」と、株式の投資信託にはハードルの高さを感じている方も少なくないでしょう。

たしかに、日経平均株価が1日で数百円も大きく動いているニュースを目にすると、「株は危険」というイメージが先行しがち。そのうえ、株式投資に踏み出すと決めたとしても、日本だけでも上場企業は3000社以上あるし、海外に目を向けたらさらにチョイスは広がります。

個別銘柄のチョイスはプロに任せよう、と決めても、株式を組み入れた投資信託も数えきれないほどあります。どんな切り口で投資信託を選んだらいいか、迷ってしまいます。

数ある企業を評価するにはさまざまな切り口がありますが、年金基金などのプロの投資家の間で注目されている重要なモノサシの1つが「ROE」とよばれる指標です。

「ROE」とは企業の収益性を計るモノサシ


3月決算の日本企業の多くが毎年6月に開催する株主総会。近年、株主総会にまつわるニュースで「ROE」というキーワードを耳にする機会が非常に増えています。

ROE(リターン・オン・エクイティ)とは、日本語で「自己資本利益率」と訳される財務指標の1つで、企業の自己資本(株主資本)に占める当期純利益の割合を示します。計算式は「当期純利益÷自己資本」もしくは「1株当たり利益÷1株当たり純資産」。ちょっと小難しい印象もありますが、簡単に言ってしまえば、「企業が株主のお金を使ってどのくらい効率よく利益を上げたか」を計るモノサシといえます。株主の立場からすれば、「同じ金額を投資するなら、より多くの利益を稼いでくれる企業に投資したほうが効率的だ」と考えるのは自然な流れでしょう。

日本企業の平均は「6%以下」 米国では20%台がスタンダード?

機関投資家の発言力の強い米国では、ROEが企業経営にとって非常に重要な指標と位置づけられており、代表的な株式指数であるS&P500指数に組み入れられている米国企業の平均はおよそ20%ともいわれています。

経済や資本市場のグローバル化が進む昨今、日本企業といえども海外の株主を多く抱えるケースが増えています。外国人の投資家は当然、日本企業にも欧米並みの高いROEを期待するでしょう。加えて近年では、日本国内の年金基金や機関投資家の間からも日本企業に対してROEの向上を求める声が年々高まっており、ROEの数値を経営目標に掲げる企業も少なくありません。その背景には、アベノミクスが掲げる「3本の矢」の1つである成長戦略の一環として、日本企業に国際競争力の強化をうながしているという事情もあります。2014年8月に経済産業省が発表したレポートの中でも、「ROE8%以上が最低限の目標数値」という問題提起がなされています。

そうした国内外の株主の声の高まりを受けて、すでに10%以上のROEを達成している上場企業も1000近く存在しており、中には16%以上という高ROE企業も380社にのぼります。しかしながら全体の分布状況を見ると、依然として6%未満の企業が1100社以上と最も多く、欧米と比べて低いと言わざるをえない水準なのです(図表参照)。

ROEの低い企業には、株主から「No」が突きつけられる!?


そうした状況もあって、議決権行使助言会社(*1)の中には、一定のROE基準を下回る企業に対しては取締役選任に反対票を投じることを推奨すると発表するケースもあります。

日本企業は今後、これまでのように利益を内部留保として現金をため込むのではなく、成長のために設備投資や企業の買収を行って資本を有効活用するか、そうでなければ配当や自社株買いで株主に還元するかについて、株主に対する説明が求められるようになっていくでしょう。

自分で個別銘柄を選ぶ場合はもちろん、気になった投資信託にどんな企業が組み入れられているかを調べるときにも、「ROE」の高い企業なのかどうかをチェックしてみると、新たな発見があるかもしれませんね。

*1:株主総会の議案内容を分析し、議案に対する賛否を表明することで、機関投資家(株主)への助言業務を手がける。機関投資家の議決権行使判断に大きな影響力を持つ存在として、近年、存在感が高まっている。

(たあんと編集部)

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