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MAB投信だより

外国債券型ファンドの新潮流 ストラテジックインカム戦略とは?

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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Business Finance Marketing Recession Concept

サマリー

● 複数の債券種別に分散投資することでリスクを調整し高いインカム収入の獲得をめざすタイプの外国債券型ファンドが注目を集めている。

● 同分類の中でも運用方針や投資対象資産、為替ヘッジの有無によってリスクリターンの水準には差異が生まれる。

● リスクリターンが低い為替ヘッジありのファンドでは、運用管理費用によってパフォーマンスがマイナスとなる可能性もあり注意が必要。

1.外国債券型ファンド市場に変化の兆し

債券市場には、国債、投資適格社債、ハイイールド社債、バンクローン、新興国債券、モーゲージ証券など様々な債券が存在する。これらの値動きが異なる複数の債券に分散投資をすることでリスクを調整しインカム収入の確保をめざすファンドのことを「ストラテジックインカム型ファンド」または「マルチセクター債券ファンド」と呼ぶことが多い。

図表1は外国債券型カテゴリーにおける過去3ヶ月間の資金流入上位ファンドを並べたものであるが、上位10本中9本がストラテジックインカム型のファンドとなっている。

かつて外国債券型ファンドの代表格であった高格付ソブリン債券ファンドが低金利環境下で運用が困難となっている一方で、ハイイールド社債や新興国債券に投資するファンドはリスク水準が高く安定した運用成果を求める投資家からは敬遠される傾向にある。そこで、リスクをコントロールしながら高水準のインカム収入の獲得を謳った同分類ファンドの人気が高まったものと考えられる。

図表1の設定日を確認すると、近年新規設定されたファンドが多くなっているが、ストラテジックインカム戦略自体は目新しいものではなく、むしろ米国等では伝統的な債券運用手法として長きに渡って投資家の注目を集めてきた。

日本の投信市場においても、1998年に「フィデリティ・ストラテジック・インカム・ファンド(悠々債券)」が設定されるなど、長期の運用実績を有するファンドが存在している。

図表1:外国債券型カテゴリーにおける過去3ヶ月の資金流入上位ファンド

2.代表的なストラテジックインカム型ファンドのリスクリターン比較

図表2は代表的なストラテジックインカム型ファンドの過去1年間のリスクリターンマップである。

同分類ファンドのうち純資産額上位10シリーズ18ファンドを対象とした。同分類ファンドの中でも、運用方針や投資対象資産、為替ヘッジの有無によって、リスクリターンの水準に差異が生まれている。

また、債券ファンドの主な価格変動要因は信用リスクと金利リスクであり、これらの水準がリスクリターンに大きな影響を与えることとなるため、商品を比較するにあたっては、ポートフォリオの格付け構成やデュレーションの値にも注目するようにしたい。

過去1年間は外国為替市場で円安が進行したことで為替ヘッジなしのファンドが優れたパフォーマンスを残したが、留意しておきたいのは、為替ヘッジありのファンドの中でマイナスのパフォーマンスとなっているファンドが散見される点である。

為替ヘッジありのファンドはリスクと同時にリターンも抑えられてしまうため、運用管理費用が高水準だと費用を補ってプラスのリターンを獲得することが困難となる傾向にある。運用管理費用を確認する際には、単に数値が高いか低いかではなく、リスクリターンの水準と比較して判断する必要があろう。

図表2:代表的なファンドの過去1年間のリスクリターンマップ

図表3:代表的なファンドのリスクリターンの一覧表(1年リターン順)

※ 純資産額、流入額、リスクリターンの値は2017年8月末基準におけるデータ。

(MABファンドアナリスト 標)

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