投資について考えるのは年に1回だけ!
投資ブロガー・とよぴ~さん「ほったらかし投資でプロ同等の成績に」
“個人投資家”は、常に相場をチェックし、投資に関する勉強をしている…、そんなイメージがあるかもしれない。しかし、投資ブロガーのなかには、「投資について考えるのは年に1回程度」という人も少なくないようだ。そこで、ブログ「ほったらかし投資のまにまに」を運営する投資ブロガー・とよぴ~さんにインタビュー。“ほったらかし投資”に至るまでの経緯やメリットを教えてもらった。
個別株に疲れた時に出会った「インデックス投資」
東京郊外に住むとよぴ~さん(40代、男性)は、物流関係の仕事に就き、家庭では小学6年生と4年生の2人の息子を持つお父さん。投資は今から10年ほど前の2006年、個別株投資からスタートした。
「結婚や長男の誕生で、将来のお金に対する不安が漠然とありました。その頃、本屋に行くと『株式投資』の本が目に入って、ちょうどパソコンを買ったこともあり、ネット証券の口座を開いてみることにしたんです。といっても、そんな大きいお金があったわけでもないので、今でいうプチ株とかミニ株とか、少額から始められる株式投資を始めました」(とよぴ~さん、以下同)
それからは書籍などで知識を得ながら、日々相場情報を追っていたという。
「その頃は“持っていると損をするかも…”と、時間が空くとすぐに相場情報をチェックしていました。そのうち仕事もだんだんと手につかなくなってしまい、このままではダメだ……と」
そんな時に頭に浮かんだのが、以前読んだ本で紹介されていた「投資信託」。さらに詳しく知ろうとインターネットで調べているうちに、“インデックス・ブロガー”の存在を知ったそうだ。
「『梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー』『ファンドの海』『ホンネの資産運用セミナー』など、今でいう老舗のブロガーさんたちの記事を読み漁るようなりました。個別株みたいにストレスのある世界じゃなくて、ゆるく、ゆったりとしたブロガーさんたちが投資信託の良し悪しみたいなものをブログで紹介していたりして。“この世界、いいかも…”と思って、私もインデックス投資を始めてみたんです」
自分に合ったポートフォリオがわからなければ「バランスファンド」を
個別株から、インデックス投資へと舵を切ったとよぴ~さん。「インデックス投資は自動積立ができて、自分に合っていた」と話す。
「個別株は一つひとつ銘柄を管理しなきゃいけない。相場を見て、下がったものがあったら不安だから売ってしまおう…とか、持っていても全然安心できない。でも長く保有するのが前提のインデックス投資なら、アセットアロケーションを設定したら後はほったらかしていても、自動的に運用してくれる。最初にまとまったお金を用意する必要もなく、毎月できる範囲を積み立てられるところも自分に合っていると思いました」
運用方法はいたってシンプルで、お給料から毎月決まった額を自動積立しつつ、リスク分散の「バランスファンド」での運用を続けている。
「王道は、個別のインデックスファンドを組み合わせることなんですが、自分に最適なポートフォリオがよくわからない、どれが勝てるアセットアロケーションなのかよくわからない…という人は、バランスファンドの既製品を持っているだけでもいいと思います。自動で積み立てていれば、勝手に増えすぎたところや足りないところをファンドの中でリバランスしてくれるから、数十年後の実績は、個別投資と大差はないのではないかな…と思っています」
“ほったらかし”でも、プロと同等のパフォーマンスに
インデックス投資で一番大切なことは「途中で“退場”しないこと」と話すとよぴ~さん。しかし、投資運用に決まったゴールを定めているわけではないそうだ。
「平時に淡々と積み立てておいて何か大きな金額が必要になった時には我慢することなくファンドを現金化して使いたいと思っています。今のところはそういう日は来ていないけれど、いつか…とそのくらい軽い考えです。定期預金だと途中解約すると期日前解約利率となって利息が減るけれど、投資信託はありませんからね」
バランスファンドのみの運用にしてからは、証券会社のサイトへのログインも1年に1回、あるかないかという程度。ブログのタイトル通り、“ほったらかし”投資だという。
「個別株をやっている時は、銘柄が気になって趣味なんて割く時間がなかった。でも、インデックス投資をしてから、どんどん投資について考える時間の比率は下がってきている。それでも、プロのファンドマネージャーと同等のパフォーマンスを維持できるので、安心して任せられます」
時間に余裕が生まれた分、学生時代に打ちこんだ卓球を再開。2人の息子だけでなく、地域の公民館で子どもたちの指導にもあたっている。
「自分も含め、インデックス・ブロガーは、投資に時間を割かなくなってできた時間を自分の趣味にあてるという人が多い気がします。現役時代から、老後でも続けられる趣味や将来やりたいものが見つけられると、将来お金がどれくらい必要になりそうかが何となく見えてくる。逆に趣味を持たないで老後になっちゃった人ほど、お金の使い道がわからずに、将来にも漠然と不安を抱えてしまう。そう考えると、投資は高い目標額するより、“ほったらかし”を続けつつ、できた時間で先に繋がる楽しみを見つける方が有意義かもしれませんね」
(周東淑子/やじろべえ)