100年時代の「働き方」と「お金の育て方」
80歳まで働くのが当たり前!? 100年時代の「働き方」と「お金の育て方」
提供元:Mocha(モカ)
11月に、株式会社Money&You主催セミナーが都内某所で開かれました。
本セミナーは、2006年にセゾン投信を創業し、今なお第一線でご活躍されているセゾン投信社長の中野晴啓氏が招かれ、女性の働き方やお金の育て方について話がありました。
今回は、盛況だった中野社長の講演の内容をお届けします。
人生100年を「自分ごと化」して捉える
中野社長のご講演は、とある歌手のコンサートへ行った話から始まりました。
中野 「(株)Money&Youの高山さんとは10年近く知り合いなのですが、先日一緒に布施明のコンサートに行ってきたんです。僕たち大ファンなんですよ(笑)。彼は今年で70歳なんですが、『来し方行く末』というテーマで話をしてくれました。来し方=過ごしてきた日々、行く末=これから先の日々という意味です。ここで僕がみなさんにお伝えしたいのは、日本人は60歳が人生の節目だと思っている人が多いと思います。でも、本当にそうなのでしょうか?」
「布施さんは70歳にして未来に想いを寄せていました。最近、『ライフシフト』という本が流行りましたが、この本の中で言われているのは、これからの人生は100年が当たり前になるということ。60歳じゃなくて100歳ですよ。100歳とは言わないまでも、80歳まで働くことを踏まえ、60歳までにお金の準備をして余生を過ごそうという考えは、まずはリセットしてほしいと思います」
「僕は今54歳ですけど、70歳で年金がもらえたらいい方だと思っています。ぼくより若い人だと、年金がもらえるのは75歳くらいになるんじゃないでしょうか。70歳になってもみんなが普通に働いているという時代はすぐそばに来ています」
「お金を育てる時間は働くのと同様、60歳まででなく、80歳までで考えるのはどうでしょうか。それこそ、人生100年を自分ごと化して捉えることだと思います」
日本人女性がお金を増やすのに行う手段は「貯金」「宝くじ」「不動産投資」
中野 「『お金を増やすなら何をしますか?』というアンケートを、全ての年代の女性を対象に、政府が実施した結果をお伝えします。全年代の女性は、1位から3位まで全く同じことを挙げているんですよ。」
「1位は『貯金』です。みなさんこれは同意なのではないでしょうか。2位は『宝くじ』。僕は宝くじを買うくらいなら競馬かパチンコのほうがいいと思いますけどね笑。実は、宝くじの55%は運営元に取られてしまいます。残りの45%を、宝くじを購入した人たちで取り合っているんです。知っていましたか?勝ち目の薄いゲームですよね。」
「3位は『不動産投資』です。大家さんは儲かるというイメージがあるんでしょうね。でも、不動産が高収益なのは、それだけ高いリスクがあるからですよ。主に流動性のリスクです。すぐにお金にしにくい資産だから、その分だけ利益が高いんですね。国債なら一瞬でお金に変えられますが、利回りが低いんですよ。低リスク低リターンですね。ですから不動産で儲けようというのは甘いかなと。僕は以前、自分で不動産をもっていましたが、1度住人が出て言ってしまうと次探すのが大変でね。ローンだけ出て行く生活になると大変。想定外の出費もかなり多くて、割に合わないと思ってやめてしまいました」
15年前と比べて、日本人の総資産は300兆円アップ、米国人は4500兆円アップ!その違いは?
中野 「現在の日本人の個人資産は総額1800兆円です。現金と預金の合計金額はおよそ1000兆円あります。つまり、現預金が総資産の53%を占めているのです。これだけ現預金の割合が多いのは世界的に見ても他にありませんよ。1000万円の資産があったら、半分以上は現金にしてないと不安だという気持ちが反映されています。ところが、アメリカ人の総資産に対する現預金の割合は13%です。1000万円財産があったら、100万円の現預金ですね。少ない!と思いますか? アメリカ人はそう思わないんですよ」
「日本人とアメリカ人の総資産は、ここ15年で増えています。ところが現預金の割合によって、お金の増え方が全く変わります。日本人の15年前の現預金は1500兆円で、 現在は1800兆円です。300兆円増えているので凄いですよね。でもアメリカ人はどうでしょう。アメリカ人の15年前の現預金は4500兆円で、現在は 9000兆円です。53%現預金にしている日本人と、13%現預金にしているアメリカ人の差が、結果として数字に大きく現れてしまいました」
「アメリカ全体で投資信託の市場規模は2000兆円。一方で、日本は100兆円です。アメリカ人はお金を経済活動の中に働きに出しており、日本人はお金を金庫にいれて無理やり休ませている……。僕にはそう思えてなりません」
お金の気づきを与える話「iDeCo」と「NISA」
中野 「金融庁は日本の総資産が増えない、つまり日本の実体経済が大きくならなかったとしても、一人一人がお金を動かせば豊かに暮らせるかもしれないと考えました。そうして、今年の最初からiDeCoが始まりました。大変いい制度ですよ。60歳までは積立てる必要がありますが、お金を育てる手段として最高です」
「金融庁は次に、つみたてNISAを作りました。このメッセージはシンプルです。長期、積立、分散で資産形成する。この3つです。アメリカでは確定拠出年金の過去20年間の平均利回りは9.8%でした。これだけ利回りがあれば複利で増えるんです」
「僕は、国際分散投資を推奨しています。通称、『地球丸ごと投資』です。これからの投資先は世界全体です。なぜかというと、世界経済は長期で安定して成長しているからです。今の世界経済の時価総額は歴史上最大です。長期でお金を大きくするというのは、この右肩上がりの経済の仕組みの上にお金を置こうよ、というだけです。これがつみたてNISAであれば、20年の長期積立投資が非課税でできるんです。20年後にお金が増えたことを確認すると、老後生活の不安が薄くなるでしょう。iDeCoとNISAは、我々が政府から受けているメッセージです。みなさん自身がこの制度に意義を見出して、活用ほしいと思います」
(著者:和田 歩波)
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