散らばったポイントを1カ所に集約できるメリットも
「マイナンバー×自治体ポイント」僕らにはどんなメリットが?
ことし9月25日から2018年3月31日までの間、マイナンバーカードを使ったポイント制度の実証実験が行われることを知っているだろうか。その内容は、地元密着型の「地域経済応援ポイント(自治体ポイント)」を貯められるようになるものらしいが、その仕組みとは?
まずはマイナンバーカードを発行し、自治体ポイントを管理するサイト「マイキープラットフォーム」で「マイキーID」を作成。すると、三菱UFJニコスや三井住友カード、JCB、JAL、ANA、中部電力、ドコモなど地域経済応援ポイント協力会社のポイントやマイレージを、各自治体のポイントに交換できる。このポイントは、各地域の商店や公共施設などでの買い物に使えるという。
具体的には、どのような場所で使えるのだろうか?
商店街や道の駅、美術館などで利用可能
●前橋市(群馬県)
9月25日からスタートした「前橋市ポイント」は、市内の美術館「アーツ前橋」や、萩原朔太郎を始めとする詩人たちが使用していた品を展示している「前橋文学館」などの入館料として利用できる。
JR前橋駅構内にある物産ショップ「ヴェント前橋」での買い物でも使える。地酒や前橋市のブランド認証品「赤城の恵ブランド認証品」、お土産として厳選された「前橋一番シリーズ」など、さまざまな特産品がポイントで手に入るのだ。
「市民の方から『使っていないポイントの有効期限が迫っていたところ、自治体ポイントに換えることで有効期限が300日延びることを知って、変換しようと思っている』という声をいただきました」(前橋市政策部未来の芽創造課・鎌田基喜さん)
ちなみに、「前橋ポイント」は2017年12月31日までスタートアップキャンペーンを実施中。変換ポイントの10%をプレミアムポイントとして付与してくれる(上限5000円、1人1回まで)。
●都城市(宮崎県)
ふるさと納税件数日本一の都城市が提供している「肉と焼酎のふるさと都城ポイント」は、都城圏域の農畜産物や加工品を即売している「道の駅都城」や、やぎ乳ソフトクリームが人気の「道の駅山之口」で利用できる。
ほかにも「青井岳荘」「観音さくらの里」「かかしの里 ゆぽっぽ」といった温泉施設や、星空の美しい街・高崎町の複合施設「ラスパたかざき温泉交流センター」、都城の歴史や文化に触れられる「都城市立美術館」「都城島津邸」でも利用できるため、地元住民だけでなく観光客も活用しやすいところが特徴的だ。
「9月から『肉と焼酎のふるさと都城ポイント』をスタートし、11月現在で100万円弱分のポイントを変換していただいております」(都城市総合政策課・佐藤泰格さん)
●豊島区(東京都)
東京都では、豊島区が11月1日から「豊島区ポイント」の実証実験を開始(2018年3月31日終了予定。以降の事業展開は未定)。池袋本町エリア・巣鴨エリアの商店街の一部店舗で使える、地元密着型の自治体ポイントだ。
「現在は実証実験中なので、期間終了後に利用者の方や参加店舗にアンケートを実施する予定です。商店街活性化の役に立てるとうれしいですね。合わせて、マイナンバーカードがもっと普及できればと思います」(豊島区政策経営部企画課・柳下啓介さん)
■自治体ポイント専用“通販サイト”も誕生
自治体ポイントが使える通販サイトも登場している。ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営しているトラストバンクが、新たに立ち上げた「めいぶつチョイス」だ。各地の名産品を、各自治体ポイントで買える。現金やクレジットカードと併用しての購入も可能だ。
「サービスを開始して約2カ月での人気カテゴリは肉・野菜・菓子で、お客様の約7割は、自治体ポイントを使って購入されています。生まれたばかりの通販サイトなので、今後さらに日本各地の魅力を感じていただける“めいぶつ”の充実を図っていきたいと考えています」(トラストバンク・「めいぶつチョイス」担当者)
全国各地の自治体が出店している「めいぶつチョイス」。都城市の肉や焼酎、前橋市の野菜やハム・ソーセージ、前橋産の原料を使った洋菓子なども出品されている。
「『めいぶつチョイス』で都城の名産を購入された方から、『ポイントでお得に購入できてよかった』『ふるさと納税ができない市民も、都城が誇る肉と焼酎を楽しむことができた』などのお声をいただいています」(都城市総合政策課・佐藤さん)
さらに、通販だけでなく投資にも活用できる。投資といっても金融商品を購入するのではなく、各地域が抱える課題や環境問題などを解決するために出資するクラウドファンディングと同等のもので、専用サイト「セキュリテ」では自治体ポイントが使える。
さまざまな地域の名産を買ったり、地域の文化を楽しんだりできる「自治体ポイント」。ユーザーにとっての大きな魅力は、企業ごとに分かれているポイントやマイレージを1カ所にまとめられることだろう。少ないポイントも集約すれば、少し贅沢するための資産や社会問題解決のための一助になる。
まずは、住んでいる地域や故郷で自治体ポイントが実施されているか、確認してみるところから始めてみよう。
(有竹亮介/verb)