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保険とテクノロジーを融合した“インシュアテック”

必要な時だけ掛けられるオンデマンド保険「WarranteeNow」

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友達に貸したカメラが壊れても、気にならなくなる?

友達にカメラを貸したところ、壊れたり画面が割れたりした状態で返ってきてイヤな思いをしたことはないだろうか。あるいは、海などでSNS用の写真を撮ろうとした際、カメラが水に濡れて壊れた…なんて思いをした人もいるかもしれない。

もしもそんな時、壊れたカメラを直してくれる保険があったら、どんなに嬉しいことか。いや、実際に壊れなくとも「壊れた場合は直してくれる」という安心感があれば、まったく違うはずだ。

そんな保険サービスが“オンデマンド保険アプリ”として登場している。「WarranteeNow」だ。これは、「24時間単位で保険に加入できる」日本初のもの。カギとなるのは、保険とテクノロジーの組み合わせだ。

通常、カメラはメーカー保証期間内に自然故障をすると、メーカー等が無償で修理してくれる。しかし、保証期間を過ぎた場合や、破損や水漏れといった事由については、修理費用がかかってしまう。

対して、WarranteeNowでは発売から3年以内のデジタルカメラ、アクションカメラに対して、24時間単位で保険に加入することができる。すると、補償期間内に発生した破損や故障等について、修理サービスを提供してくれるのだ。(注:WarranteeNowで加入できる保険は、東京海上日動火災保険株式会社をはじめとした損害保険会社が引受けを行う)

「友達に貸したカメラが壊れて返ってきたら、ケンカの種になりますよね。あるいは、壊れていることを言えずモヤモヤする人もいるかもしれません。また、レジャーで写真を撮りたいけど水漏れなどが怖くて満足に使えないこともあります。そんな中で、“大切なモノに必要な時だけ”保険加入できるアプリです」

こう話すのは、WarranteeNowアプリを提供するワランティの代表取締役・庄野裕介氏。WarranteeNowの24時間あたりの保証料は39円〜となっている。商品により保証料は異なるが、この金額で修理できるのは心強い。

約65万件の製品データを活用し保証料を算定

WarranteeNowは、フィンテックのサービスであり、インシュアランス(保険)とテクノロジーを融合させた「インシュアテック」のど真ん中でもある。

「保険の加入から壊れた場合の損害報告まで、すべてアプリで行えるのが特徴です。まずは保険に加入したい自分おカメラをアプリ上で検索。次に重要事項に同意いただきます。その後、補償プランを3プランの中から選び、動画で保険の対象を撮影しアプリ上で送信。これは加入前に損害が発生していないことを確認するためです。あとはクレジットカードを登録し、加入ボタンをスライドすれば加入手続き終了です」

すべてアプリで行えるのは、まさにテクノロジーの発達がもたらしたものだ。

ちなみに、保険といっても、損害が発生した場合に保険金が支払われることはない。保険期間中にわざと壊して、不当に保険金を得ようとするケースを阻止するためだ。WarranteeNowでは、保険会社が保険の対象を修理するサービスを提供する。

「もともと弊社は、アプリ上で家電の保証書や説明書を管理し、修理依頼や売却も行えるサービス『Warrantee』を提供してきました。実はこのサービスを提供するために、1980年代から発売された国内外の家電製品について、商品マスターと言われる詳細な製品データを約65万件持っています。これをWarranteeNowにも活用し、製品ごとの保証料を算定しています」

約65万件のデータには、本体のサイズや年間消費電力といった詳細な内容も含まれている。
約65万件のデータには、本体のサイズや年間消費電力といった詳細な内容も含まれている。

今後は、順次他の家電製品も保険の対象とする予定だ。

「民泊やカーシェアリングなど、消費活動が『所有』から『使用』へと変わりつつあります。ただ、みんなで同じものを使用するとき、壊した責任を誰が負うのかは不明瞭。その一助にしたいですね」

貸し借り以外にも、WarranteeNowの使用ケースはさまざまに想定される。たとえば民泊は、外国人の宿泊者が多く、備え付けの家電が壊されてしまうこともある。そこにもニーズはあるかもしれない。

所有から使用へと消費者の行動が変わる中、呼応するように登場したWarranteeNow。「必要な時だけ」という新たな保険の形は、数多くのテクノロジーによって支えられ、今後も進化していく。

IoTによるサービスの進化も「すでに動いている」とのこと。若きトップの次なるアイデアが実現する日も遠くない。
IoTによるサービスの進化も「すでに動いている」とのこと。若きトップの次なるアイデアが実現する日も遠くない。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2017年12月現在の情報です

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