こよみ ~コールセンターからの小さなよみもの~
純資産総額とは?
提供元:日興アセットマネジメント
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コールセンターには純資産総額の増減についてのお問合せを多くいただきます。お客様の中には 純資産総額の大きさが、パフォーマンスの判断材料として何よりも重要だと考えている方もいらっ しゃいます。
純資産総額ランキングの順位が下がったことをご覧になって、「このファンドはパ フォーマンスに見込みがないのではないか?」といったお問合せをいただくこともあります。
そこで今回は「パフォーマンスの判断材料」と「ファ ンドの資産規模」について、次の2点を押えていただきたいと思います。
1.パフォーマンスの判断材料は?
お客様から、パフォーマンス(運用成果)を判断する際に、「純資産総額の動き」と「基準価額の動き」、どちらが適切なのかというお問い合わせを多く受けますので、この2点を一度整理してみたいと思います。
純資産総額は、ファンドが保有する有価証券の時価総額などから、信託報酬などの手数料(コスト)を差し引いたものです。この純資産総額は、主に以下の2つの要因により変化します。
1)ファンドが保有する有価証券の時価の変動
ファンドが保有する株式や債券などの有価証券は日々市場などで取引が行なわれることで価格が変動しています。純資産総額を計算する際には、株式では各取引所の終値を原則として用いています。また、海外の資産に投資するファンドでは、為替レートの変化の影響を受けます。
2)ファンドの購入や換金
お客様がファンドを購入すると、その購入代金がファンドの運用資産の中に繰り入れられ、純資産総額が増加します。反対に換金の場合、その換金代金がファンドの運用資産から引き出され、純資産総額が減少します。
このように、純資産総額は有価証券の時価の変動に加えて、お客様の購入(換金)によっても増減することになります。
一方で、基準価額は、原則としてファンドが保有する有価証券の時価の変動の影響で動きます。基準価額は、「1口あたりの純資産総額」であり、純資産総額を受益権総口数(全ファンド保有者の口数合計)で割ることで算出されます。
下記の図で説明すると、ファンドの購入資金が入ると純資産総額(分子)が増加し、同時にそれに見合う受益権総口数(分母)も増加するので、保有する有価証券の価格などに変化がなければ、基準価額に変化はありません。
つまり、ファンドが保有する有価証券の時価の変動のみが反映される「基準価額」でパフォーマンスを判断することが大切です。
2.ファンドの健全性確保のために規模をコントロールしています
多くのファンドでは、純資産総額や総口数に上限や下限を定め、ファンドの規模をコントロールしています。
ファンドの上限額は、投資対象の市場規模や流動性などから、健全性の確保のために「信託金限度額」として定めています。市場規模が1兆円の資産に対して、ファンドが8,000億円も保有してた場合、市場の流動性が少なくなり、そのファンドの売買によって資産の価格が大きく上下してしまい、運用が難しくなる可能性があります。このような状況は健全性があるとはいえません。
そのため、定められた上限額に近づくと、通常、ファンド購入の申し込みの受け付けは停止されますが、それによる運用上のマイナスはありません。ファンドマネージャーはファンドの規模に応じ、投資先の変更や資産配分の見直しを行ない、それまでの運用が継続できるようにしているからです。もちろん、ファンドが保有する有価証券の時価の変動の影響を受け、基準価額は継続して算出されます。
なお、信託金限度額は、ファンドの運用開始時に、投資対象の市場規模などをもとに判断したもので、市場規模が拡大した場合などは信託金限度額も引き上げられることがあります。
一方、ファンドの下限の基準として、「繰上償還」に関する決まり事があります。ファンドの純資産総額が減少し、ある一定規模を下回り、方針に沿った運用が難しいと運用会社が判断した際には、ファンドを保有する方に、運用終了についての賛否を確認した上で、運用を終了することがあります。
なお、純資産総額が縮小傾向になったとしても、それだけで基準価額が値下がりすることはありません。
ファンドの純資産規模やその増減だけで、運用の良し悪しを判断することは出来ません。純資産総額と基準価額の違いを理解し、ファンドのパフォーマンスをチェックすることが大切ですね。
(日興アセットマネジメント)