MAB投信だより
毎月分配型における資金流入ファンドの変化
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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サマリー
● 資金流入上位ファンドの顔ぶれをみても、毎月分配型から低分配型へ資金フローが変化していることが確認できる。
● 資金が流入している毎月分配型ファンドでは、低リスクのアロケーション型ファンドがリタイア層から一定の支持を得ている一方、最も資金が流入しているインド債券ファンドはリスク水準が相対的に大きく、ポートフォリオの中心として保有するには適さないファンドといえる。
1.資金流入上位ファンドには大きな変化がみられる
投資信託市場の資金流出入動向は、毎月分配型から年1回決算などの低分配型へと大きく変化した。運用難による毎月分配金の削減や、金融庁による顧客本位の業務運営へ向けた取り組みによる影響が大きい。
図表1は1年前の2016年12月と直近の2017年12月における過去6ヵ月間の資金流入上位15ファンドを比較したものである。
1年前には15本中12本が毎月分配型であったのに対して、直近では、毎月分配型はわずか3ファンドに留まっており、その顔ぶれも変化していることがわかる。
図表1: 過去6ヵ月の資金流出入上位15ファンド
2.資金が流入している毎月分配型ファンドの特徴
図表2は直近の6ヵ月間で流入上位となった毎月分配型の3ファンドをまとめたものである。
特徴的なのは、「JPMベスト・インカム」や「スマート・ファイブ」といった低リスクのアロケーション型ファンドがそれぞれランクインしている点である。分配金利回りをみてもリターンの水準と比較して妥当な水準であることが確認できる。
毎月分配型ファンドを志向する顧客は、大きなリスクをとれないリタイア層に多く、機動的な資産配分変更により資産価値の保全が期待できるアロケーション型ファンドが選好されている点は望ましい傾向といえる。
過去の運用実績をみてもリスクを抑えながらリターンを獲得するなど、優れたパフォーマンスを残していることがわかる。
図表2: 直近の毎月分配型資金流入上位ファンド(年率・%)
他方で、最も資金が流入している「野村インド債券ファンド」の過去5年のリスク水準は約15%であり、相対的に大きくなっている。主な要因はインドルピーの為替変動リスクであり、過去のリーマンショック時には約2ヵ月間のうちに対円で20%超下落した。
また、図表4は当ファンドの債券種別の内訳であるが、利回り確保のため約7割が社債によって運用されており、インド経済の混乱期等にはクレジットの悪化により債券価格が大きく下落する可能性がある。
以上のように、当ファンドはリート型ファンドの受け皿として分配金ニーズを上手く捉えてはいるものの、潜在的なリスクは大きくポートフォリオの中心として保有するには適さないファンドといえよう。
当ファンドの主要な販売会社は地方銀行であるが、その多くで販売ランキングの上位となっており、顧客の投資意向やリスク許容度に即した投信販売が適切に行われているか留意する必要がある。
図表3:野村インド債券ファンドの投資方針
図表4:野村インド債券ファンドの債券種別内訳
(MABファンドアナリスト 標)