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MAB投信だより

訪日客数の恩恵受けるインバウンド関連ファンド

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

● 2013年より外国人の訪日客数は一貫して増加基調を続けている。

● これに対して、訪日客数の増加をテーマとしたファンドは、他のテーマ型ファンドと比べ大きな変革は期待できず、目新しさにも欠けるため、多くは設定されず、数ファンドしか存在しない。

● これらのファンドのリターンは、好調な訪日客の恩恵を受け、比較的堅調に推移している。今後もこの傾向が持続することを期待する向きにとって、興味深い選択肢の一つだろう。

1.訪日客数は一貫して増加基調

日本では、2013年より外国人の訪日客数は一貫して増加基調を続けている。2012年までは年間1千万人以下だったものが2017年には3千万人弱と約3倍に増え、2018年に入っても年率10%を超える伸びを示している(図表1)。

アベノミクスにおいて訪日客の増加を通じた経済活性化を成長戦略の柱の一つに掲げ、観光客のビザ(査証)発給要件の緩和や国をあげての誘致といった積極的な取り組みが奏功した格好だ。昨年度の訪日客の消費は4兆円を上回り、最近では、私たちも旅行での宿泊先を確保するのにも気を揉むようになってきた。

世界経済に目を向けると、トランプ政権の鉄鋼・アルミへの輸入関税引き上げの表明、それに対する中国の報復関税などの報道により、米政権発足時に話題となった貿易赤字問題が再び注目を浴びている。日本でも貿易黒字が膨らんでおり、その影響が懸念される。

そういったなか、比較的堅調に増加している訪日客数の動向は、相対的に影響を受けにくい。政府はオリンピック開催も含め2020年に4千万人、2030年には6千万人の訪日客数の目標を掲げて力を入れており、今後も比較的安定した伸びが期待されている。

図表1:訪日客数の推移

2.意外と少ないインバウンド関連ファンド

それに対して意外かもしれないが、訪日客数の増加をテーマとした、いわゆるインバウンド関連を謳ったファンドは、図表2に示した、わずか3本しかない(MAB分類に基づく)。

この背景には、最近のテーマ型ファンドとして人気を博しているフィンテックやAI、モビリティといった将来性があり大きな変革が期待されるものと比べ、訪日客数の動向はある程度予想がつく世界であり、大きな変革が期待されるものではないことが影響しているものと思われる。

図表2:インバウンド関連ファンド

3.インバウンド関連ファンドのリターンは堅調

これらのファンドの設定時期は異なるが、平均リターンは、日本株式を投資対象とする公募投信全体の平均リターンを上回っている(図表3)。

もちろん、ファンドによって銘柄選択に違いはあるが、好調な訪日客数増加の恩恵を少なからず享受していることが窺える。

組み入れ対象銘柄は先端企業や新興企業のように業績が急拡大する期待は薄く、プレミアムが大きく高まり株価が急上昇することは期待しづらいが、安定した成長への投資を好む層には、こういった選択肢も面白い。

図表3:インバウンド関連ファンドのリターン

3ファンドにはそれぞれ特徴があり、上位に位置する業種や銘柄群も異なる。

「インバウンド関連日本株ファンド(ビジット・ジャパン)」、「日本インバウンドオープン」は、まさに訪日需要から恩恵を受ける企業を中心に銘柄選択を行うが、「野村サービス関連株ファンド(もてなしの心)」は、世界で高く評価される日本独自のサービスや高品質の製品を国内外で提供する企業に着目して銘柄選択を行うため、純然たる訪日需要だけに焦点を当ててはいない。

インバウンドに着目するのであれば、前2ファンドを選んだほうが良さそうだ。また、「日本インバウンドオープン」はJ-REITも一定割合を組み入れるファンドであり、株式中心に投資する「インバウンド関連日本株ファンド(ビジット・ジャパン)」とは、投資対象資産の組入れが異なる。

投資を考える際には、目論見書や月報で、自分のイメージに則しているファンドかどうかを確認することが大切だ。これらの情報も目論見書等に記載されている。

評価会社である私どもも、目論見書などの開示資料は真っ先に隅々までチェックしている。ぜひ、有効に活用してもらいたい。

図表4:インバウンド関連ファンドにおける組み入れ上位業種

 

(MABファンドアナリスト 勝盛)

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