再就職のために資格取得も目指せる!

「ハロートレーニング(離職者訓練)」で学べることとは…

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会社が倒産して突然職を失ったり、経験のない職種に興味が湧いて転職を決意したり…。さまざまな事情で無職の状態になることがある。しかし、なかなか再就職が決まらない場合も。

そんなときに、頼みの綱となるのがハローワークで実施している「ハロートレーニング」。職業訓練と呼ばれるもので、専門的なスキルを学ぶ講座を原則無料で受講できる制度だ。

今回は、ハロートレーニングについて、厚生労働省職業安定局の鈴木健一さんに教えてもらった。

雇用保険を受給しながら受講できる

そもそもハロートレーニングは、誰でも受講できるものなのだろうか。

「ハロートレーニングは、離職中且つハローワークで求職活動をしている人が対象となります。また、大きく2種類に分かれていて、原則として雇用保険を受給している人向けの『公共職業訓練』、受給していない人向けの『求職者支援訓練』があります。原則として受講料はかかりません(※)」(鈴木さん・以下同)
※テキスト代等を除く。
※在職者向けの有料のハロートレーニングもある。

「公共職業訓練」は、離職して間もなく再就職に動き出している人向けで、金属加工・住環境計画などのものづくり分野から介護系、情報系まで、幅広いコースが揃っている。訓練期間はコースによって異なるが、短いもので3カ月程度、長いもので2年となっている。

「求職者支援訓練」は、主に失業保険の受給資格を失った人や職務経験がない人向け。ビジネススキル等から学ぶ基礎コースと、介護系、情報系、医療事務系などの実践コースが用意されている。訓練期間は2~6カ月程度が一般的だ。

「自己都合で離職した人の場合、雇用保険の基本手当を受給するのに90日の給付制限がありますが、給付制限期間中に『公共職業訓練』を受講し始めると、給付制限がなくなり、最短で訓練開始翌月から基本手当を受け取ることができるようになります。また、訓練受講中に雇用保険の所定給付日数が終了した場合でも、公共職業安定所長の受講指示を受けている場合には、基本手当が延長になる場合もあります」

また、雇用保険を受給できない人でも、求職者支援制度の職業訓練受講給付金を受給できる場合がある。収入用件や資産用件などがあるが、訓練期間中は月10万円の受講手当や通諸手当(交通費)などが支給される。

面談や試験を幾度も重ねる必要あり

ハロートレーニングは、どのような手順で申し込みを行えばいいのだろうか。

「まずはハローワークで求職申し込みを行い、窓口で職業相談をしてください。その際に、ハロートレーニングの受講を検討していることをハローワークの職員に伝えましょう。ハロートレーニングの受講は、希望職種や自身のスキルによって必要性があるかどうか、職員と話しながら決定していくものです。何度か相談を重ね、ハローワークが『職業訓練が必要』と判断した人に受講をあっせんすることになります」

相談の結果、受講申込を行うことになったら、都道府県の職業能力開発校や民間教育訓練機関など、ハロートレーニングを実施する施設で行われる事前説明会に参加し、希望のコースに受講申込書を提出するのが一般的。ちなみに、受講申し込みは訓練が始まる1カ月半程度前に締め切られるため、早めに動くことが肝心だ。受講開始日に離職していれば、在職中に申し込むこともできる。

申し込み後、訓練実施施設で面接や筆記試験などを受験し、合格したら、ハローワークにおいて受講あっせんを受ける必要がある。

時間をかけて資格取得を目指す訓練も

ハロートレーニングを受講した人は、どのような職種に就いているのだろうか。実例を教えてもらった。

長年プログラマーとして働いていた男性(41歳)は、専門言語の市場に将来がないと考え、新たな分野に飛び込むために離職。CAD(コンピュータ支援設計)による機械部品図・組立図の作成を学ぶ訓練(6カ月)を受講した後、機械設計技術者として正社員採用された。

夫が経営する会社を手伝っていた女性(50歳)は、会社倒産後、求職活動を開始。関心のあった福祉介護業界の求人を調べると、経験や資格が求められることを知り、介護職員基礎研修科(6カ月)を受講。訓練修了後、有料老人ホームに生活相談員として正社員採用された。

「訓練の中には、2年ほどの時間をかけて、保育士や介護福祉士などの資格取得を目指すものもあります。専修学校や大学など、民間の教育訓練機関に委託して実施している訓練は、学生と同等の教育内容となります」

受講までには試験を受ける必要があるなど時間が必要だが、スキルを磨き、訓練内容によっては資格が取得できるのだから、未経験の分野に挑戦したい人は活用しない手はないだろう。再就職に有利に働くことも間違いない。離職した際には、ハローワークで相談してみよう。
(有竹亮介/verb)

※記事の内容は2018年6月現在の情報です

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