フィンテックの最前線を追う!

“安くて通りやすい”をオンラインで一発確認

日本になかった住宅ローンのサービス「モゲチェック」

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■簡単な情報入力で、ローン審査の“合格率”を推測!

「人生で一番高い買い物は?」と聞かれたら、答えの“筆頭”に挙がるのは「住宅・不動産」ではないだろうか。だからこそ、住宅ローンを組む際はなるべく金利を低く抑えたいのが本音だ。

しかし、住宅ローン選びは簡単ではない。どの金融機関の金利が一番低いか比較するのも難しいし、何より「ローン審査に通るか」は金融機関に申し込んで、結果が出るまでわからない。必死に書類を揃えても「あっさり落ちた」なんてケースもある。

そんな中、住宅ローンにおいて画期的なフィンテックが登場した。オンライン住宅ローンマッチングサービスの「モゲチェック」だ。

特筆したい機能は2つある。ひとつは、140に及ぶ全国の金融機関の住宅ローンを比較し、金利及び融資手数料を踏まえて総返済額をランキングする機能。もうひとつは、その人が融資を受けられる確率を金融機関ごとに示す「推定融資確率の算出」だ。これらをオンラインで即座に見ることができる。

年収や職種/業種など、簡単な個人情報を11項目入れた上で、「4000万円のローンを35年で借りる」などの条件を入れる。すると、総返済額の低い順にランキングが表示されたり、「○○銀行:80%」など、ローン審査に通る推定融資確率が表示されたりする。これを見て、大まかな返済額や「融資を受けられそうな金融機関がどのくらいあるか」をイメージできる。

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「住宅ローンの比較は難しく、深く理解しないまま契約するケースや、もっと返済額を少なくできるのに途中で借り換えないケースを多々見てきました。加えて、金融機関がどんな基準でローン審査を行っているかは公開されておらず、ユーザーが他人と審査結果を共有することも少ないので、審査に通るかどうかの目安もありませんでした。それらを解消すべく作ったのがモゲチェックです」

そう話すのは、このサービスを提供するMFS代表の中山田明氏。住宅ローン業界に携わってきた彼は、海外には住宅ローンのスペシャリストがおり、金融機関や不動産業者とは別に金利が低いローンの新規借り入れや借り換えの紹介をする姿を見てきた。一方、日本にはその立ち位置の人がいないことを疑問に感じたという。そこで、最適なローン探しを補助するオンラインサービスを考えたそうだ。

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■なぜ推定融資確率を出せるのか。裏にあるデータ比較のカラクリ

気になるのは、ランキングや推定融資確率を数値化するシステムだ。前者は、各金融機関の出すローン情報を網羅することで試算できるという。問題は後者。金融機関が公開していない情報を、なぜ数値化できるのか。

「もともと弊社では、個人情報11項目からローン審査のカギとなるユーザーの信用力を測る『モゲスコア』を2017年1月に開発していました。加えて、私たちは実際にユーザーがローン契約を結ぶまでの媒介業務もしているので、その中でモゲスコアと各金融機関の審査結果を比較。データをためつつ、金融機関ごとの審査傾向を分析して数値化しました」

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モゲチェックは、オンラインで総返済額や融資確率を調べられるだけでなく、そのままプロの相談員にローン申し込みの作業を任せられる。この中で各ユーザーの審査結果をため、反映していった。

あくまで一例だが、たとえば借入額4000万円、30年返済のローンで検索すると、ネット系の金融機関が70%以上の高い推定融資確率を示す。しかし、5000万円以上に上げていくと、徐々にネット系が減っていく。こういった傾向を知ることができるのだ。

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「ローン審査の内容は公開されていないため、一般の人たちは信用スコアを上げる方法が分からなかったり、賢いローン選択ができず、人生設計に影響を及ぼしたりしてしまうケースがあります。そこを解消して、多くの人がフェアにローンを借りられる世の中にしたいですね」

今は、マイナス金利政策の影響もあり、ローンを借り換えると返済額が少なくなるケースも珍しくない。それにもかかわらず、審査の煩雑さやローン試算の分かりにくさで、借り換えをしない人が多い。そこを「もっと促進していきたい」と中山田氏は言う。

さらに今後は、モゲチェックを住宅ポータルサイトとリンクさせて、住宅を探しつつローン情報を確認できるような形も見据えている。

「平均寿命は延び、キャリアを退く年齢も上がるなど、シニアの人生設計はこれまでと変わりつつあります。となると、住宅ローンのあり方もまさに今が大きな転換期。その中で、私たちのサービスが皆様をサポートできればと思います」

ややこしく、難しいイメージの住宅ローン。「家を買う」という大きな決断の前に立ちはだかる“悩み”を、モゲチェックというサービスがやさしく解決していく。

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(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2018年7月現在の情報です

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