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東証マネ部×インベスターZ特集

『インベスターZ』作者・三田紀房の哲学「投資の本質は、自分自身の純粋さを求めること」

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全国屈指の進学校・道塾学園に全教科満点で入学した財前孝史が入った部活は、「投資部」なる怪しげな極秘活動。そこで稼いだ途方もないお金は、授業料無料という学園の運営資金になっていた…。戸惑う財前だったが、やがてその才能を開花させていく。そんな“金言だらけの名作”として知られる本格投資漫画『インベスターZ』が、この度テレビ東京でドラマ化する。

『インベスターZ』の人気の裏には荒唐無稽な“マネーゲーム”に説得力を持たせるほどの、含蓄ある投資・お金に関する名言たちの存在がある。今回は、“物事の本質”に迫る物語を作り上げた原作者の三田紀房先生にインタビュー。『インベスターZ』ドラマ化への想いとあわせて、お金や投資に対するご自身の考えを聞いた。

「テレビ東京は作品と好相性。ドラマ化には期待しています」

昨年大団円を迎えた本作。そのドラマ化への感想を問うと、まずはこんな言葉が飛び出した。

「『インベスターZ』という作品と、テレビ東京さんというテレビ局。非常に相性がいいと感じます」

ドラマ『インベスターZ』が放送されるテレビ東京は、民放の中でも特に経済分野に強いテレビ局。三田先生も「ドラマ化するなら、テレビ東京がいいんじゃないかなって、ぼんやりと予感していました」と話す。

「経済のことをちゃんとわかっている局なので、漫画とドラマの相乗効果が生まれたら、いいんじゃないかなと思いますね。何にせよ、映像化はやっぱりうれしい。どんな作品であっても、役者さんがキャラクターを演じられるのは楽しみです。期待していますよ」

メディア展開でより多くの人に作品に触れてもらいたい

現在は漫画家として活躍している三田先生だが、会社員として企業に勤めた後、実家の商店を継いだという経歴を持つ。その経験から、漫画制作はビジネスとして捉えている。

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「ビジネスの基本は、より多くのお客さんを獲得して、より多く売上を上げること。僕にとっては漫画も、たくさんの人に読んでもらうことが、最大の目的です。飲食店で回転率を上げることが大切なように、作品もドラマになったり関連本が出たり、どんどん回転して外に広がっていくことを目指しています」

品揃えが豊富な店の方が幅広いユーザーを取り込めるように、作品も漫画にとどまらずあらゆるメディアで展開していくことで読者が増えていく。

「それに漫画って、意外と読む技術がないと理解できないメディアなんです。だから、僕はコマ割りをシンプルにして、台詞もどの登場人物がしゃべっているか一目でわかるようにしています。凝った作りにせず、スキルはなくとも読めるものにした方が、読者が獲得できるんじゃないかって考えています」

“環境を整える”ための投資がモチベーションを上げる

では、そんなビジネス観で漫画と向き合う先生にとって、お金はどのように使うべきものと心得ているのだろうか? 聞けば、「現金は貯めないでいいと思うので、投資しています」とのこと。

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「とくに環境を買うことですね。いわゆる設備投資。お金を貯めるって、自分の自由や時間を犠牲にすることと等しいんですよ。例えば、新幹線のグリーン車と普通車の自由席、どちらに乗るか。自由席は安いけど、狭いし慌ただしいし座れないリスクもある。一方でグリーン車は座席が広くて快適。お金を貯めるためにストレスを被るくらいであれば、僕はグリーン車に乗った方が得だって考え方なんです。

差額の数千円を貯めたとしても、大した効果は生まないけど、グリーン車に乗れば身体的な効果は大きい。国際線の飛行機ならビジネスに乗るし、旅行先ではいいホテルに泊まる。お金は環境を整えるために使った方が、自分に返ってくると思いますね」

この考え方は、住環境にも影響している。漫画家としての生活を始めた頃は狭い木造アパートに住んでいたが、現在は住居兼職場を建て、漫画制作スタッフが働きやすい環境を整えている。

「できた資金は、次の環境づくりのために投資して、なるべく快適に仕事ができる場を用意してきました。狭いとか不便ってストレスを生むんですよね。でも、少しずつでも快適な環境を手に入れれば、モチベーションも上がる。『もっと上を目指そう』って思えた方がいいじゃないですか」

「投資とは期待値」ピュアな思いを貫くことがカギ

『インベスターZ』のテーマである“金融商品への投資”の経験を聞くと、「過去にはやっていた」という。

「もともとは金融の世界に対して無知だったんです。でも、何も知らないまま過ごすのも面白くないと思って、やってみようって好奇心で始めました。少額でしたけど、株式とか外為とか」

しかし、その時の成功体験は『インベスターZ』にはほとんど反映されていない。むしろ、反省の意を込め、三田先生ができなかったことを登場人物たちに実践させているらしい。

「僕も損したことがありますが、やっぱり欲を出すとダメですね。最初にビギナーズラックを経験して、『もっと儲けよう』と思った時点で目が濁るし、心が汚くなっているので、大体失敗する。『お金を増やしたい』『老後の年金の代わり』って目的を持つと、うまくいかないんですよ」

初めての株式取引で、信じた会社の株を購入し、大当たりした主人公・財前孝史(『インベスターZ』第1巻より)

失敗体験から学んだ投資の哲学は、“自分自身の純粋な部分を追い求めること”だった。目的達成のための手段ではなく、「この企業が好き」「この企業は世の役に立つと思う」というピュアな思いを軸にすること。

「以前、とある投資家さんとお話しした時に『投資とは期待値だ』と言っていたんですよ。『この企業は成長するはずだ』という期待に対して、自分のお金を預ける行為が投資というわけです。ウォーレン・バフェットも『買ったら俺は一生持つ』ってずっと株式を持ち続けたことで、何兆円も持つ資産家になるんですから、投資は人間性が試されるものかもしれませんね」

ちなみに投資に失敗した際、三田先生はどのように乗り越えたのか。

「負け惜しみなんですけど、損を損だと思わないことですね。損したと思うと夜も眠れないし、引きずると体にも悪いから、一つの勉強だと捉える。損も笑ってすませる肝っ玉を買ったと思って、自分を慰める方がいいと思うんです。そう考えるためにも、資産を注ぎ込みすぎないことも大切。投資額を年収の1割くらいに抑えれば、ゼロになっても大打撃にはならないですから」

この考えが色濃く出ているのが、作中にも度々出てくる「たかが金」という格言。物語の中では、半強制的に投資を行うことになった主人公らに対して「ゼロになってもお前に責任はない」という意味が込められているが、現実世界でもそのくらいの気持ちで行う方がいいという。

投資部長の重圧から一度は逃げ出してしまった新部長・渡辺。そんな彼を、前部長・神代から代々語り継がれてきたという言葉を投げかけられる(『インベスターZ』第17巻より)
投資部長の重圧から一度は逃げ出してしまった新部長・渡辺。そんな彼を、前部長・神代から代々語り継がれてきたという言葉を投げかけられる(『インベスターZ』第17巻より)

投資が企業を育て、社会を支えていく

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最後に、三田先生が考える“投資をする意味”とは…?

「社会とのつながりの一つだと思うんです。ボランティアに求める人がいれば地域活動に求める人もいて、投資で社会と関わる形もある。みんなが企業にお金を投資して、企業を育てることで雇用が生まれて、社会を支える。そういう循環が続く国が、安定した社会を築けるんだと思いますね」

(有竹亮介/verb)

(プロフィール)
三田紀房
漫画家。代表作『ドラゴン桜』で第29回講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。現在は『週刊モーニング』で『ドラゴン桜2』、『ヤングマガジン』で『アルキメデスの大戦』を連載中。
三田紀房公式サイト https://mitanorifusa.com/
漫画家 /三田紀房 (@mita_norifusa) | Twitter

『インベスターZ』
株式やFX、不動産投資といった資産運用をコミカルに学べるドラマ作品。主人公の財前孝史を清水尋也が熱演。ヒロインの藤田美雪に早見あかり、不敵な投資部部長・神代圭介に柾木玲弥など、フレッシュな顔ぶれが揃った。そして作中には、今をときめく実在企業の社長たちもキャスティング。お金の見方が変わること間違いなしの、この夏の注目ドラマだ! テレビ東京ほか「ドラマ25」で7月13日からスタート。毎週金曜深夜0時52分~1時23分放送。初回は深夜0時57分から放送

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