建設的な貯蓄には夫婦のコミュニケーションが必要不可欠!?
「お金が貯まる家庭」になるための4つのポイント
子どもの教育や夢のマイホームのため、夫婦で毎月貯金しているはずなのに、残高が思うように増えていかない…と悩んでいる家庭は多いかもしれない。着実に貯めている家庭とは、どこが違うのだろう。
ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、お金を貯められる家庭の特徴を教えてもらった。
“ふわふわした支出”に注意!
そもそも、お金が貯まらないのはなぜだろうか。考えられる理由を、氏家さんが挙げてくれた。
「月々の固定費が大きい場合が多いです。住居費や保険料、通信費、習い事の費用が多いと、自由に使えるお金が少ないので、貯蓄に回す額も低くなります。あと、せっかく貯めた定期預金を取り崩しているケースもあります」(氏家さん・以下同)
例えば、毎月4万円を先取り貯金しても、「今月ちょっと苦しいから」と預金口座からお金を下ろしたら意味がない。住宅資金や教育資金などライフイベントに備えるお金と、旅行などのレジャー費を分けずにまとめて貯金していると、取り崩してしまいやすいそう。「無理に先取りせず、現実的に捻出できる額で積み立て、貯まったお金に触らないようにすることが大事」とのこと。
通帳記帳しない、クレジットカードの明細を見ない家庭も、お金は貯まりにくい。自分や家庭の収入・支出を把握できないからだ。
「お金が貯まらない家庭のもっとも大きな特徴は、ふわふわした支出が多いこと。食費を削ったり、固定費を最低限に抑えたりしても貯まらない家庭は、『ついカフェに寄っちゃう』『子どもが好きだから、よくドーナッツを買っちゃう』など、なんとなくお金を使いがちなんです」
“使途不明金”のような支出が、月々いくらかかっているか把握することが重要といえそうだ。その上で、ふわふわした支出を減らす努力ができれば、お金も貯まっていくかもしれない。
ポイントは貯める仕組みを作ること
逆に、お金が貯まる家庭の特徴としては、以下のようなものが考えられるそう。
●貯まる過程が仕組み化されている
「貯める仕組みを作ると、自然と貯まっていきやすいです。例えば、子どもが18歳になるまでに教育費300万円貯めたいから、5歳から毎月2万円の積立を始めるなど、意識せずに貯められる環境を整えている家庭が多いです」
さらに、共働きであれば、妻が教育費を貯め、夫が住宅ローンの繰り上げ返済のために貯めるなど、仕組みを作った上で役割分担ができていると、貯まりやすいそう。
●貯め時を把握している
「長いスパンで家計を見られると、貯まりやすいです。子どもが中学に上がってから受験対策で塾に通わせると想定したら、塾代が発生しない小学生のうちが貯め時だと判断できますよね」
どの時点でお金が必要になるか、あらかじめ把握するためには、夫婦で将来設計を立てる必要がある。行き当たりばったりでは、お金も貯まりにくいというわけだ。
●家計簿アプリを使っている
「いままで家計を把握しきれていなかった共働き家庭の方から、『家計簿アプリを導入して、家計に対する意識が高まった』と聞く機会が多いです。手元で家庭内のお金の動きが見えるので、貯金に割ける額も見えてくるのでしょう」
最近の家計簿アプリは、口座やクレジットカードと連動させることで、出入金や支払いの情報も見ることができる。情報を1カ所に集約できるため、お金の流れが把握しやすくなるのだ。
夫婦で話し合うことが貯金の第一歩
さらにもう一つ、貯まりやすい家庭の特徴があるという。
「将来のイメージやお金のことに関して、話し合えている家庭や夫婦は、現在の収入や貯蓄残高に関係なく、貯まりやすいと思います。夫婦の認識がズレていると、同じビジョンを目指せないし、お金を貯める仕組みを作るのも苦労しますね」
家計の話になると、お金を稼いでいたり数字に強かったりする方が主導権を握りがちだが、家庭のことという前提のもと、夫婦が対等に話せる関係を作ることが重要といえる。
「転職で収入が増えたり、子どもの成長に合わせて食費が増えたり、家計は変わっていくので、年に1回は話し合う機会が作れるといいと思います。変化を理解していないと、生活費の上限は変わらず、支出だけが増えていくという現象が起こりやすいです」
夫婦のどちらかが家計に配慮するのではなく、共通の認識を持ち、同じ未来を目指していくことが重要。お金を貯めるためには、夫婦のコミュニケーションが欠かせないというわけだ。
(有竹亮介/verb)
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氏家祥美
家計研究家。ハートマネー代表。2010年にFP事務所ハートマネーを設立。お金・仕事・時間のバランスがとれた幸福度の高い家計を追求する。著書に『いちばんよくわかる!結婚一年生のお金』『子どもの年代別大学に行かせるお金の貯め方』など多数。