お小遣いは子どもの金銭感覚を磨く? 鈍らせる?
子どものお小遣いって、何歳からあげるべき?
子どもが大きくなってくると直面するのが、「お小遣い問題」。何歳から、いくらあげるべきなのか。そもそも、あげない方が、金銭トラブルに巻き込まれなくて安心? などなど…。
子どものお小遣い事情を明らかにしつつ、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに子どものためになるお小遣いのあげ方を、教えてもらった。
小学生の月々のお小遣いは1000円前後
今の子どもたちのお小遣い額を、金融広報中央委員会が発表している「子どものくらしとお金に関する調査」(小学校から高校までの児童・生徒5万149人を調査)から見ていこう。
●月々のお小遣い平均額
小学生低学年 1004円
小学生中学年 864円
小学生高学年 1085円
中学生 2536円
高校生 5114円
小学生は6年間通して1000円前後が相場。中学、高校に上がると、友達付き合いで使う金額が増えるためか、お小遣いの額もグッと上がっていく。
「家計の相談にいらっしゃる家庭の話を聞いていても、お小遣いの額はこのデータと同じぐらいの印象です。ここ数年でも、大きく変わってはいないと思います」(氏家さん・以下同)
お小遣いを“あげない”家庭が増加傾向
時代が変わっても、平均額はあまり変わらない印象があるが、「最近は前提の部分で変化が見られる」と氏家さんは話す。
「お小遣いをあげない家庭が増えているように感じます。小学3年生ぐらいになると、保護者会で“お小遣いをあげるべきか”ということが議題にのぼりやすくなるんですが、『子ども同士のトラブルを避けるためにあげない』という家庭も多いんです」
例えば、子ども同士で駄菓子屋に行き、お小遣いをもらっている子が、もらっていない子にご馳走するなどが原因で、小さなトラブルが起こることがあるそう。
「お小遣いの額は年齢が上がるごとに上がっていきますし、高校生で部活帰りに毎日買い食いをしていると、5000円でも足りない場合もあるので、お小遣い制ではなく必要な時にお金を渡す方式にしているのかもしれません」
ただし、家計を圧迫したくなければ、お小遣い制の方が有効なのだそう。
お小遣い=お金の使い方のトレーニング
「私は小さい頃からお小遣いをあげてほしいと考えています。必要な時にお金を渡していると、子どもは歯止めが利かなくなりますが、『500円あげるから、1カ月間この中でやりくりしなさい』と言うと、我慢するものなんです」
人のお金だと甘える子も、自分のお金だと思うと欲求をコントロールし、使わなくなるという。「あのゲームを買うために、今は我慢しよう」など、お金を使うことのトレーニングになる上、実際にゲームを買えた時の達成感が、将来的に働くモチベーションにつながるのだとか。ただし、幼いうちはお小遣いのあげ方を工夫することも大切。
「小学校低学年のうちは、週1回とか、お手伝いをするたびに10円とかがいいと思います。幼いうちは長期的な計画を立てられないので、もらったお金をすぐに使ってしまいがちなんです。中学年にもなると徐々に計画的になるので、月1回に変える家庭も多いです」
幼いうちからお金を持ち、トレーニングしておくことで、思春期に入ってからの金銭トラブルの予防にもなる。
「現代はキャッシュレス化が進んでいて、電子マネーやスマホで何でも買えますよね。中高生にもなると、子どもがスマホで何をしているか、親は把握しにくくなります。そうなってから多額の買い物やゲームへの課金、金銭的なトラブルに巻き込まれては遅いので、小さい頃からお金の使い方を学ばせてあげましょう」
子どもの金銭感覚を鍛える効果が期待できるお小遣い。家計への打撃を与えないレベルで捻出し、子どもに使い方を考えさせてみては。
(有竹亮介/verb)
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氏家祥美
家計研究家。ハートマネー代表。2010年にFP事務所ハートマネーを設立。お金・仕事・時間のバランスがとれた幸福度の高い家計を追求する。著書に『いちばんよくわかる!結婚一年生のお金』『子どもの年代別大学に行かせるお金の貯め方』など多数。