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MAB投信だより

つみたてNISAの動向を探る

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

●   つみたてNISAは好調な滑り出しと言われている。つみたてNISA向けファンドへの資金流入を見る限り、その傾向が伺える。
●  インデックス型ファンド全体との比較でつみたてNISA向けファンドへの資金流入の特徴を推察すると、外国株式(先進国)の流入が多い。また、複合資産型が注目されている。
●  複合資産型では、内外株式・債券の伝統的4資産にREITや新興国などを組み入れた幅広い資産分散タイプが人気のようだ。

1.つみたてNISA向けファンドは着実に資金流入

つみたてNISAが始まって早くも半年超が経過した。新聞社による主要金融機関へのヒアリングによると、半年で口座数は50万を上回り、200億円を超える累計買い付け額となっているようだ。iDeCoの加入者数が2年間で約50万人増えた以上の動きを示し、しかも30代までの若い世代が過半を占めるなど、当初に懸念されたことを鑑みれば上々の滑り出しとなっている。

つみたてNISAの資金動向を正確に把握することは難しい。それは、つみたてNISA専用のファンドはほとんどなく、多くは公募販売として取り扱っているファンドや確定拠出年金(DC)向けファンドと併用されているファンドが多く、口座情報を有していないとつみたてNISA部分だけを切り出すことができないからだ。口座を管理していて、幅広く商品を取り扱い、多くの口座数を獲得しているとされる大手の販売会社でなければ全体的な傾向は把握しづらいだろう。そういう前提のうえで、ここでは、つみたてNISAの中心となるインデックス型について、投信全体との比較の中で、どのようなタイプや資産にお金が流れていそうなのか探ってみたい。

図表1は、つみたてNISAが始まった2018年初以降におけるネット資金流出入の累積額について、インデックス型ファンド全体とつみたてNISA向けのファンドを比較したもの。加えて、つみたてNISA向けに2017年後半に設定されたファンドだけを切り出して示している。

図表1 インデックス型全体とつみたてNISA向けファンドへの資金流入累積額の推移

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※2018年1月~7月、図表2、3も同じ

インデックス型全体は、短期的な取引にも利用されるノーロードタイプの日本株式ファンドの売買による影響を受けるため変動も大きいが、つみたてNISA向けファンドにはコンスタントに資金が流入していることが見て取れる。足元では、つみたてNISA向けファンドには2千億円弱の資金がネットで流入し、2017年後半以降に設定されたファンドに限っても5百億円弱が流入している。

2.外国株式(先進国)の資金増加が目立つ、複合資産型も注目

では、つみたてNISAではどのようなタイプの資産カテゴリーが選好されているのか、さきほどと同様に、インデックス型ファンド全体とつみたてNISA向けファンドへの資金流入の違いから推察してみたい。図表2は、つみたてNISAが開始される直前の2017年12月末の純資産残高に対して、今年に入ってからの資金流入額がどれくらいの割合であったのかを示したものだ。この割合が高いことは、直近残高に対して大きな資金流入があったことを意味する。

図表2 インデックス型全体とつみたてNISA向けの資産カテゴリー別の資金流入割合の比較

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図をみると、つみたNISA向けファンドはインデックス型全体よりも資金流入の割合が高く、特に外国株式(先進国)に対する選好が強い(棒グラフの高さ) 。また、インデックス型全体との比較(棒グラフの差)で言えば、バランス型とも呼ばれる複数の資産を組み入れた複合資産タイプが選好されていることがわかる。一方で、エマージング株式やターゲット・デート型はインデックス型ファンド全体と大差がないことから、つみたてNISAにおいて強く選好されていないことがわかる。

長期の資産形成に適しているとされるターゲット・デート型が十分に利用されていないことは残念だが、投資対象がやや限定的なエマージング株式ではなく、先進国全体の株式と、資産分散が図られる複合資産タイプに資金が流れていることは、傾向としては悪くない。これは、つみたてNISA向けのファンドとして、それらのタイプのファンドが数多く用意されていることが反映している可能性も高い。

3.複合資産型では、分散効果の高いタイプが伸びる

最後に、複合資産型を伝統的4資産と呼ばれる国内外の株式・債券を組み入れるタイプと、それに加えて新興国や不動産投信(REIT)等までを組み入れるタイプ(図上では「それ以外」と表示)で比較してみる(図表3)。

図表3 伝統的4資産と、それ以外(より多くの資産を組み入れるタイプ)における資金流入割合の比較

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つみたてNISAでは、より多くの資産を組み入れるファンドが選好されている。これも、そういったタイプのファンドが多く提供されている影響もあるが、「長期・積立・分散投資」のスローガンにあるように、分散投資によるポートフォリオ効果のメッセージが多くの投資家に伝わっていることの表れだろう。

(MABファンドアナリスト 勝盛)

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