東証マネ部×インベスターZ
お金に無頓着なブラザートム「どうやったら投資してもらえるんだろう…」
「喫茶店を営む老夫婦の主人で、お店をたたむにあたって店を人に譲渡するという話で。どのくらいのお客さんが1日に来店して、コーヒー1杯がいくらでどれだけ利益が出ればお店が成り立つか、というストーリーです」
ブラザートムさんがドラマ『インベスターZ』の第8話に喫茶店のマスター・沖 正雄役でゲスト出演する。店を譲る相手はMEGUMIさん演じるシングルマザー、渡辺香里。話がまとまりそうなところで、香里の娘である隆子(柳 美稀)がいぶかしんで喫茶店を訪れるのだ。
繁盛していない喫茶店がどうやって儲けているのかが一発でわかるドラマ
「最初組み立てたのは、ふざけたことを言う高校生を怒鳴り飛ばすような役のイメージだったけど、監督からはそうじゃない方向ということで、諭すような形の役柄に変わりました」
高校生たちとは、藤田美雪(早見あかり)をはじめとする道塾学園・投資部の面々。投資の知識を持つエリート学生たちだが、彼らの付け焼き刃の知識をことごとく一蹴する。
「1日どれだけのお客さんが入ればお店が回って、コーヒーを安い時に大量に購入して、店で焙煎した後、一杯いくらの価値になって、これだけお客さんが来てくれればお店は続けられるんだという店主に対して、高校生たちは商店街の店がどんどん潰れているのにこの店がやっていける訳がないという」
ただ、実際は意外とやっていけるらしい。そのからくりはもちろんドラマ本編で。
「こういう風にして潰れない店ってあるんだなあと。家の近所にもこういう店ってあって、とても勉強になっちゃいました。ただうっかりこのドラマの内容を見た人が喫茶店を始めない方がいいとは思いますけどね」
バブルのイメージがあるかもしれないが、その素顔は「お金にほとんど無頓着」
もともとトムさん、飲食店で働いていた経験があるらしい。芸能界に入る前の20歳くらいのころ、バイトでバーテンダーをしていたそうだが、「自分の時給がいくらか、くらいしか考えていなかったですね」と振り返る。まあアルバイトという立場で経営について頭を巡らせるケースは多くないだろうけど、トムさん自身、そのあたりに無頓着な人なのだ。
「おおらかなんですかね。芸能界入ってから銀行に行ったことがないし、奥さんに渡されるお小遣いでやってるから、自分がいくら稼いでるかも知らない」
ある意味それは幸せなことかもしれない。芸能界という浮き沈みの激しい世界で、お金の心配をせずにやってこられたことにほかならないのだから。ただ、無頓着だからといって金遣いが荒いわけじゃない。バブリシャスなイメージとは裏腹に。
「外食より、家で飲むお酒が一番おいしい、家族と食べる食事がおいしいし、自分の家に人呼んで食事するし、車も軽でも何でもいいし何にも欲しいものがない。昔から」
とまあ、こんなカンジなのだ。だからこそバブル期以降の荒波をひょうひょうと乗り越えてきたのかもしれない。とはいえ、お金にまつわるエピソードがないわけじゃない。
「お金を貸して返ってこなかったことはあるよ。貸した相手が飛んで連絡がつかなくなって、もう返ってこないと思ってたら、あるとき連絡があって。そいつは仲間と不動産会社を経営していたんだけど、人からお金を借りてトンズラしちゃった人たちばっかりの集まり…なのにその会社はうまくいっちゃってる。で、お金返してくれるのかと思ったら、そうではなくて、用件はその会社のパーティーの司会の依頼。もう話しているのも嫌でね、その日は泣けてきたよね」
お金を増やしたいわけじゃないが、投資はしてもらいたい
そんな経験を経て、「お金を増やしたい」という意識はないという。だが実は今、「どうやったら自分に投資をしてもらえるか」を考えているのだとか。
「具体的には秘密ですが、大きいステージを舞台で使って、すごく面白いステージができるという構想があるんです。演者寄りのものをやりたくて、特許も取りたくて。最近だとクラウドファンディングもあるけど、会議で議論したけど、それだと多くの人にネタばらしすることになってしまう。お客さん予備軍が楽しめなくなってしまうんだよね。ので本末転倒ですよね。この前六本木で飲んでいたら、若い30歳くらいの連れが空きビルを買おうかなと言ってて。『それなら僕に投資しろ』といったけど笑って終わってしまって。難しいよね」
トムさんは投資をする側ではなく、受ける側。そもそも芸能界とは、音楽、笑い、演技など数ある才能に誰かが投資することで成り立つ。長くやってこられたということは、それだけ投資対象として一流だということだ。
「お金についてはよくわからないけど、そうじゃないところですごく幸せ。ただ若いころ世間をいろいろ知ってるお坊さんに大器晩成型と言われたものの、『いつ大器晩成するの?』って奥さんに言われるんだよね」
(取材・文/吉州正行 撮影/小島マサヒロ)
【プロフィール】
ブラザートム
1956年ハワイ州マウイ島出身。80年『お笑いスター誕生!!』で脚光を浴び、83年バブルガム・ブラザーズを結成。以来、音楽活動のほか、タレントや俳優として幅広く活躍している。
株式やFX、不動産投資といった資産運用をコミカルに学べるドラマ作品。主人公の財前孝史を清水尋也が熱演。ヒロインの藤田美雪に早見あかり、不敵な投資部部長・神代圭介に柾木玲弥など、フレッシュな顔ぶれが揃った。そして作中には、今をときめく実在企業の社長たちもキャスティング。お金の見方が変わること間違いなしの、この夏の注目ドラマだ! テレビ東京ほか「ドラマ25」で7月13日からスタート。毎週金曜深夜0時52分~1時23分放送。初回は深夜0時57分から放送