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マルイが証券会社を設立!

投資の一歩目を担う「tsumiki証券」の工夫とは

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「金融業のマルイ」だからできる、資産形成のサポート

小売業の代表格である丸井グループが、新たに証券会社を設立した。8月末からスタートしたtsumiki証券だ。

同社のサービスはシンプルで、「つみたてNISA」対象の投資信託を4本用意。これらの中から商品を選択し、毎月3000〜5万円の範囲で定額積立ができる。最大の特徴は、丸井グループの発行するエポスカードで購入代金を月々支払えること。クレジットカードで投資信託を購入できるのは日本初となる。

手数料などは一切なく、エポスカード自体も年会費がないため、余計なコストはかからない。何より、毎月購入するたびにクレジットカードのポイントが還元されるので、投資しながらポイントも貯まるという構造だ。

それにしても、なぜあの“マルイ”が証券会社を作ったのか? サービスの詳細よりも、まずその疑問が浮かんだ人も多いかもしれない。いったい、どのような背景があるのだろう。tsumiki証券 代表取締役CEOの寒竹明日美氏に聞いた。

「エポスカードは20〜30代の若い方、なかでも女性の利用者が多いのが特徴です。若い方は『お金』に対する不安が大きいんですね。たとえば新成人への調査では、将来の抱負として『貯蓄』や『節約』と答えている方がたくさんいます。公的年金などの減額が予想される中で、若者は『何か備えたい』と考えているんです。ただ一方で、彼らは貯金に励んでいるものの、『それだけでは足りない』という危機感も抱いていると感じます」

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その状況下において、何ができるか。「私たちのグループは、金融の力でお客さまを応援してきた歴史があります。今回は資産形成サービスによりお客さまをサポートしたいと考えました」という。

今では小売業のイメージが強い丸井グループだが、もうひとつ「金融業」の大手という顔もある。もともと月賦払い(今でいう分割払い)の家具店として創業しており、日本で初めてクレジットカードを発行したのも同グループなのだ。

不思議な「オマモリ」に込められた狙いとは

「若い方はお金の不安が大きいものの、資産運用を行う人はまだ少数。その理由を聞くと、やはり『難しそう』『損しそう』という声が多数です」

だからこそ、そのイメージにも徹底的に向き合った。むしろ、それを解消することがこのサービスのメインとも言える。4本という投資信託の本数や、商品のラインナップには、その工夫が込められている。

「いきなりたくさんの商品を並べても、お客さまが選ぶのは難しく、ハードルを高くしてしまいます。そこで4本に絞りました。加えて、つみたてNISAならば、国の基準を満たした商品であり、税制の優遇があります。それも安心感につながるのではないでしょうか」

個々の商品においても、すでに市場で商品として評価され、投資信託としての透明性もある4本を選定したという。

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サイトのデザインについても、デザイナー・佐藤オオキ氏のデザイン会社「nendo」に依頼し、シンプルさとわかりやすさにこだわった。口座開設などはウェブで手続きできるが、10月以降はマルイ店頭での投資初心者向けの入門セミナーやフォローセミナーの開催、社員による相談窓口や講座申込みのサポートなど、ウェブだけでは完結しないサービスや学びの場を提供していく予定だ。

「エポスカード会員であれば誰でも購入できますし、申し込み時の情報入力についても、カードに登録されている情報を利用できるので、通常の証券口座を開設するより手間が省けます」

そして、このサービスのもうひとつの特徴が「オマモリ」だ。アクセサリとして持ち運んだり、大切な人へ気持ちを込めてプレゼントすることなどを目的としたもので、先端の四角い部分を開くとQRコードが描かれている。スマホで読み込むと、直接tsumiki証券のウェブサイトに飛ぶ仕組みだ。

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「今の投資はウェブ上で完結するので、リアリティがありません。これも、投資に親しみがなく、『お金がなくなるのでは?』という不安を持ちやすい若者にはハードルとなります。そこで、見て触れることで親しみやすさや安心を生み出すツールを作りました」

オマモリ自体は非常にシンプルだが、そこには投資を身近に感じるための工夫が詰まっている。

「弊社のサービスにより、投資への怖さがなくなり、皆さんの生活の一部になってくれたらうれしいですね」と寒竹氏。「数十年後、『積立投資のおかげで孫の結婚費用をサポートできた』というような、利用者の喜ぶ声を聞きたい。それが私の夢ですね」と笑顔を見せる。

8月末からスタートしたtsumiki証券。投資への安心と身近さに力を入れたサービスの今後が楽しみだ。

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(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2018年9月現在の情報です

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