投資ブロガーが語るリアル体験

「皿洗いの時間も耳から投資の真髄を学ぶ」

堅実すぎる医師ブロガー・フクリさんのインデックス投資生活

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医師として働きながら、インデックス投資で資産形成を行うフクリさん。両親、兄弟、さらには親戚一同も「だいたい医者」という根っからのエリートだ。しかし、意外にも(?)その投資スタイルは堅実そのもの。

ブログを覗いてみると、「楽天ポイントを少しでも増やすコツ」や「家計簿を毎日ながめている」といった、その華々しい来歴といささかのギャップを感じる“庶民的”なエントリーが並んでいる。長期投資で着実な積み上げを狙うインデックス投資を選んだところにも、そんなフクリさんの性格が表れているのかもしれない。フクリさんに、投資にかける想いなどを聞いた。

タワーマンション購入目前で心機一転、倹約&コツコツ投資生活をスタート

投資に気持ちが向いたのは、研修医時代。初任給は一般的な会社員と変わらないくらいだったというが、しばらくして劇的に収入が上がった。「たぶんもともと浪費家気質なんです」と自己分析するフクリさんは、手にしたお金を旅行やブランド品につぎ込んでしまう。そして、物欲の果てに辿りついたのがタワーマンション。

「何となく憧れがあって、8000万円くらいのタワマンを見学するようになりました。ローンで支払える範囲だったので、最初はまったく躊躇していませんでしたが、ふと頭金に充てられるほどの貯蓄もないことに気づきハッとしました。給与水準は高いはずなのに、なんでこんなに貯まってないんだろう……と。その瞬間が転機だったと思います」

そこで現実に立ち返ったというフクリさん。お金を貯めるにはどうしたらいいか、持ち前の頭脳をフル回転して、約1カ月、調べに調べまくった。

「ネットや書籍でいい方法がないか探したのですが、これだと思えるものに出会えませんでした。そんな時、本屋で『ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド』という本を見つけたんです。手堅くて、自分に合っているなと思いました。あやしげな謳い文句も書いてなかったですし、将来的にはかなりの確率でリターンも達成されることが分かって、これは信頼できる方法だと。これなら自分にもできそうだと思いました。以来、8年間、インデックスファンドで資産を運用しています」

早い段階で、短期で資産を形成する“美味しい話”はないという結論に達したフクリさん。家計を見直し、黒字分は預金と投資で増やしていくことを決意。たとえばウォーターサーバーをやめてコスパが良い浄水器に切り替えるなど、意識の変化を具体的な行動に落とし込んでいった。

「毎月、5万円から6万円を積み立て投資しています。市場が落ち込んで含み損が続いた時期もありましたが、気づいたら結構貯まっていました。iDeCoでは含み益が100万円くらい。最初はリターンもわずかでしたが、こちらもあまり考えないようにほったらかしていたら貯まっていましたね。生活防衛資金は貯めて、それ以外はすべて投資に回そうと思っています」

なお、投資をはじめるにあたって最初の関門になるのは、「何の商品を購入すればいいのか」だが、フクリさんによればある程度有利な商品はいくつかに絞られているという。

「いま注目しているのは、全世界株式を対象にしたインデックスファンド。これは文字通り、全世界の市場経済に連動するタイプのものなので、迷っている人にはとりあえずこのタイプを勧めたいです」

明治期の投資家が心の師! 投資と家計管理は表裏一体。家計簿管理も余念なく

しかし、リスク耐性は人それぞれ。なかには、1円たりとも損をしたくない人もいるだろう。そんな人向けに、シミュレーションの徹底に便利なツールもある。フクリさんも、具体的な商品を検証してポートフォリオを組むにあたっては、「わたしのインデックス」というサイトを活用しているようだ。

「ポートフォリオを打ち込むと過去のデータと照らし合わせて、平均リターンとリスクを算出してくれます。私は、平均リターンが年間7%になるように設定しています。これは株式市場全体のリターンの平均値と足並みを揃えたいと考えているためです」

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「世界を先進国と日本と新興国に分けて考える」という方針のもと、このポートフォリオに落ち着いた

ホームランは狙わず、ひたすら続けること。それがフクリさんの投資スタイルだ。いまは、1年に1度、運用成績をチェックするくらいで、特に何もしていないというが、投資の勉強は欠かさない。なかでも、「投資をはじめるなら、これは絶対に読んだ方がいいです」と勧めてくれたのが、日本が誇る明治期の投資家、本多静六の書籍『私の財産告白』だ。

「林学博士だった本多静六は、貧しい暮らしを余儀なくされていましたが、生活費を切り詰めて、収入の4分の1を投資に充てました。途中、食べる物にも困るくらいまで困窮するのですが、その生活を続け、利子が戻ってくると生活は楽になり、最終的には山を買って林業をはじめ、莫大な冨を築きます。本多博士の教えで肝になるのは、投資は『家計の管理』と密接につながっているということなんです」

と、本多静六の素晴らしさを、立て板に水のごとく語ってくれたフクリさん。「オーディオブックで繰り返し聞いています。皿洗いしているときも流しているので、家族は嫌がっているかもしれませんが」と笑う。

ちなみに、3年ほど前からは、シンプルライフやミニマリストといった新しいライフスタイルにも関心を寄せているという。

「無駄なものを買わないのはもちろん、身の回りを整理整頓にすることに注力しています。掃除・整理整頓の習慣化は、資産運用の成功にも関わってくると思うんです。生活空間や職場が整っていると、何かを探す時間など余計な時間を取られないので、浮いた時間で勉強できます。散らかった部屋に暮らしている人はお金に嫌われると思います」

そんなフクリさんの目標は、「55歳までに2億貯めること」。理由は早期リタイアだそう。「でも、妻にはボケるから働き続けるように言われています(笑)」。

最後に、投資に一歩踏み出せない人にアドバイスを求めたところ、医師ならではの観点から、次のように続ける。

「苦しい老後を送りたくないなら、早めに準備した方がいいです。患者さんを診ていると、老後の貯えの重要さがよくわかりますよ。お金がないから転院できない、退院後の生活に困るといったケースも少なくありません。身体が弱わったとき、高齢になったときの自分に想像を巡らせ、将来の自分を救うために、投資に目を向けることが大事なのではないでしょうか。特に、コツコツ積み立てるタイプの投資は早くはじめないと機会を失います。仕組みや知識を早く身につける意味でも、できれば20代くらいから少しずつやっていくに越したことはないですよ。もちろん家計管理もぬかりなく」

どこまでも堅実なフクリさん。別れ際に、「週末に楽天のポイントアップキャンペーンがありますよ」と教えてくれた。もし研修医時代に8000万円のタワーマンションを手にしていたら、そんなフクリさんはいなかったかもしれない。あらためて、知見を広げることの大切さを感じるのであった。

(末吉陽子/やじろべえ)